助産師&針灸師で養蚕やって糸とか紡いでいる人と言えば岐阜県郡上に住んでる加藤祐里のことです -2ページ目

私にとって糸を紡ぐことが、生きること

岐阜県郡上八幡の
助産師&針灸師
加藤祐里です。

郡上もりのこ針灸院
(はちまん幼稚園そば)
予約電話
TEL0575-65-2190

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一年に一回ですが
約15000頭ほど
お蚕を飼っています。

畑で木綿と藍を
育てています。

自分で糸を
紡ぎます。

もとから
こういうことが
好きだったわけでも
なくて、

都会っ子だから
土に触るのも
苦手だし

お洒落は中学生の
ときから好きで

毎月、雑誌を買って
読んだり

ファッションデパートが
ある街の中心地まで

自転車で行けるような
場所に住んでいたから
何にも買わなくても
一日中、お店を
みてまわったり

10~20才代の頃は
自分で働いた
お金のほとんどは
ファッションに
使っていたけど

素材が作られた
背景までは
考えたことも
ありませんでした。

自然に憧れて
田舎には
引っ越したけど

畑とかやるつもりは
なくて

そんなこと
やってる暇があるなら
ガッツリ仕事したい、って
最初は思っていました。

それが、今では…。

昨日は5時間くらい
糸紡ぎしてました。

stayホーム中も
毎日、ガッツリ
糸のおしごとが出来て
有り難かったです。

落ち込むことが
あっても
とりあえず
今日だけは
集中して
ここまでやろう、と

小さな目標を
作って
こなしていく
うちに

あっという間に
1日が過ぎていた、
ということは
よくあります。

ずっと糸紡ぎを
していると
瞑想している
みたいになります。

こうやって
昔の女性たちは
人生で苦しみ、悲しみが
あっても

日々、創り続けることで
思考をクリアにして
感情を整え
生き抜いてきたのだと
思います。

助産師と
針灸師の仕事と

糸を土から
創るおしごとは
まったく共通点が
ないように
感じますが

私のなかでは
全部繋がっています。

地球上の生き物の
なかで
人間だけが
体毛をもたず
裸で生まれます。

生まれたての赤ちゃんに
とって
実は食べ物より
住まいより

衣服のほうが
生命維持に直結します。

衣服は
第二の皮膚であり

痛みや傷を治したり

柔らかく
暖かみのある布には
心を落ち着ける
作用があったり

色やデザインで
気分をあげて
自分を強くみせる
効果があったり

針灸で身体を
元気にするように

正しい衣服選びは
それ以上に
人間の体と心に
影響を与えます。

長い長い人類の
歴史で

衣服も
自給自足が
当たり前でした。

母親たちは
土から糸を紡ぎ
染めて
機織りをして

自分のため
家族のため
布を作ってきました。

日本には
昔から機織りに
まつわる昔話は
たくさんあって

「七夕の織姫」
「鶴の恩返し」とか。

聖徳太子が
亡くなったとき

奥さんが
刺繍をして
亡くなった悲しみを
乗り越えたと
言われる布が
まだ存在します。

もっと近代で言えば
江戸時代は
身分制度があって
自由に住む場所や
仕事が選べなかったけど

明治になって
海外に日本で
作った絹糸を輸出する
ために

日本中で
製糸工場が作られて
女性たちが働きました。

一番腕の良い人は
当時の男性の
学校の先生くらい
(今でいう
大卒公務員初任給)
お給料が
もらえたそうです。

親にも頼れない
ような
貧しい女性たちに
とっては
創ることが
生きることでした。

今の時代、
そんな苦労しなくても
簡単に服なんて
手に入るし、

私には
関係ないわって
思うかもしれませんが

私たちが
バーゲンセールで
安くて、お得に買えて
ラッキーって
思って手にいれた服は

地球のどこかで
誰かが
石油を掘って
海を渡って運ばれて

第三国の
貧しい労働者が
劣悪な環境で
作ってくれた服です。

化繊の服は
サランラップと同じで

燃やせば有毒ガスを
発生させて
植えても
土に還りません。

自分たちは
面倒くさい役割を

もっと貧しくて
弱い人に
押し付けて
知らんぷりしているだけ。

今、世界で起きている
服の問題をみていくと

必ず女性たちの
生きる問題に
たどりつきます。

逆に
世界中どこでも
素晴らしい
手仕事の服づくりが
栄えた時代には

戦争がなく

女性たちは
大切にされ
尊敬されていました。

私が助産師の
仕事に一番魅力を
感じているのは

色んな女性たちの
生き方を知ることが
出来るから。

女の幸せって
なんだろう?

お金?
結婚?
子ども?
仕事(資格)?

いまだに
正しい答えには
出会えないけど

過去の布作りの
長い歴史に
そのヒントがあるように
感じるのです。

私にとって
糸作りを学び
腕を高めていくことは

助産師として
針灸師として
同じくらい

誰かを幸せにして
未来の子どもたちの
ために
よりよい地球を
残すための
おしごとだと
思っています。