松森さんは1975年生まれ。小学4年から右耳が聞こえなくなり、
高校で両耳が聞こえなくなった中途失聴です。
途方にくれていた彼女が「筑波技術短期大学」(現・筑波技術大学)の存在を知り、
聴覚部に入学して、聞こえる世界と聞こえない世界をユニバーサルデザインでつないで
いきたい、と思うようになるまでが第3章に書かれています。
音のない世界と音のある世界をつなぐ――ユニバーサルデザインで世界をかえたい! (岩波ジュニア新書)/松森 果林

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2017年までに、つけられるすべてのテレビ番組に字幕をつける方針(総務省)だそうですが、いまでもこれだけ字幕がついているんですね。
総務省 情報バリアフリー環境の整備
<平成9年11月、平成19年度までに新たに放送する字幕付与可能な放送番組のすべてに
字幕を付与することを目標とする「字幕放送普及行政の指針」を策定、平成19年度実績
では、字幕付与可能な放送時間に占める字幕放送時間の割合は、NHK(総合)で
100%、民放キー5局平均で89.0%となりました。>
<ところが、全放送時間の約18パーセントを占めているCMには、字幕をつけることができません。>182ページ。
そうだったのですね。
2011年2月。著者は、テレビCMを年間200本ほど放送しているK社で
ユニバーサルデザインの講演をしました。
<「K社さんのCMはあらゆる人に伝わっていると思いますか」「K社さんのCMを
聞こえる家族や友人と一緒に楽しみたいです」>と訴えたところ、
講演が終わって真っ先に同社の広告総責任者が手をあげ、
<「これまで工夫を凝らしてつくっていた我々のCMが伝わっていない人が
いるということに衝撃を受けました。明日からCMに字幕をつける
プロジェクトを立ちあげます」>187ページ。
<これは私の人生の中で幸せな出会いの瞬間でした>と著者。
同社は、その年のうちに字幕付きのCMのトライアル放送を開始、現在も
継続しているそうです。
想像もつかなかったのは、「電話リレーサービス」です。
202ページから。< >なしですが、ほとんど引用です。
日本ではほとんど普及していないのですが、メールで済まないとき、
たとえば、
「体調が悪いので、今日は欠席したい」
「美容院の予約をしたい」
「子どもが急に病気になった。救急車を呼びたい」
といった急ぎのとき。
事前に利用者登録をし、オペレーターが間に入って通訳して、
聴覚障害者は電話を利用できます。
オペレーターとのやりとりは、テレビ電話を通した手話やチャットなど
自分で選べるそうです。
<実際は>
たとえば、美容院の予約をしたいとき、サービス提供会社に、連絡先や希望日時などを
チャットで伝えます。
すぐにオペレーターが電話をかけ、先方と電話で話しながら相手からの返事を
同時にチャットで伝えてくれる。
とてもタイムリーなので、まるで自分が電話をしているかのように相手とやりとりが
できる、そうです。
アメリカのシステムでは聴覚障害者は無料で24時間気兼ねなく、健聴者と同じように
電話を利用でき、ヨーロッパ15か国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、
アジアでは韓国、タイと世界21か国でこのサービスを提供しているそうです。
日本で普及しない理由は、
「聞こえない当事者が電話の便利さを知らない」
「有料である」
「法整備が進んでいない」などだそうです。
それでも「日本財団」が調査・研究のため、無料で利用できる電話リレーサービスの
モニターを募(つの)り、2014年5月現在1000人のモニター利用者がいるそうです。
このサービスが普及するということは、、聴覚障害者が電話をかけるだけでなく、
健聴者が聴覚障害者とすぐに連絡を取りたい、というときに使えます。
これは便利ですよね。ちっとも知らなかった(^_^;)
そして会議支援アプリの「UDトーク」。音声認識で発言を文字化してiPadや iPhoneで
聴覚障害者も会議や話し合いに参加できると。
この本を読んで、ユニバーサルデザインが意外に身近にたくさんあるのがわかりました。
だれにも便利だから自然にとけこんでいる。
羽田の国際線旅客ターミナルビルが先進的とあるので、こんど山からふもとへ
下りていくときは羽田へ遊びに行こうかと思います(^_^)
音カタログ
「おとみちゃん」と聴導犬「りんりん」が、きこえる世界ときこえない世界を疑似(ぎじ)体験
させてくれます。
「家の中」「会議中」「地震(家)」「地震(駅)」の4つの場面で
<きこえる世界へ⇔きこえない世界へ/どうすればいいの?>をクリック。
朝から雨でちょっとすずしい日でした。外でお仕事の人は濡れる一日でしたね(^_^)
楽体院