<私の日本アルプス登山-8->・白根三山縦走(2) | 「楽笑会8.15」は在日朝鮮・韓国人(コリアン)の登山会です。

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山を愛するチング(ハングル:友)達。毎月1回の定例登山。語呂合わせの駄洒落で楽しく笑いトレッキング。健康の秘訣は足腰を鍛え常に明るく笑うことと我がチング達は思っています。

<私の日本アルプス登山-8->

白根三山縦走(2)
(白峰三山)

著者:徐根植

 間ノ岳の頂上で右腕をぐっと握って「ヤッター」と叫んだ。その展望に感動し思わず出てしまった。天候は晴れてまさにピーカン、雲が少しあり、多少ガスっていたが遠くまで見渡せ雲上の散歩だ。快適な稜線歩きだった。農鳥小屋に着いた。小屋は幅の広くない尾根の稜線上に建っていた。トイレも西向きに一列の並んでいた。用を足した。山の斜面にそのまま落とすのだ。もちろん下を覗くと斜面に落ちた物が見える。これには驚いた。きっと冬になると雪に覆われ春になり溶けて流れてゆくのだと思ったが自然環境には悪いだろうと思いながらトイレを出た。少し登ると3051mの西農鳥岳だ。ここを少しくだって農鳥岳に着いた。標高は3025mだ。このあたりになると山の斜面からガスが湧き雲が大きくはり始めた。大門沢下降点を12時47分に出発した。ここから今日泊まる予定の大門沢小屋まで標高1100m下山する。体調が良かったので急いで降りた。場所によっては走るように進んだ。なんとコースタイム2時間30分のところを1時間で歩いた。小屋でビールを一缶飲んだ。時間が早かったので奈良田まで行こうと決めた。13時47分に出発した。ここから車道に出る奈良田第一発電所まで標高差845mある。コースタイムは3時間だ。山小屋でなく旅館に泊まってゆっくりしたかったので急いで降りた。第一発電所には16時15分に着いた。道路に木で作ったバス停のようなものがあった。小雨が降ってきたのでその中で雨宿りした。奈良田の村まで徒歩30分かかる。
 カッパを着て行こうかと思ったらワゴン車が近づいて来た。奈良田の民宿の車だ。運転をしていたおじさんが「今日は奈良田で泊まるんですか」と聞いてきたので「そうです」と答えるとうちの民宿で泊まって下さい、車で案内しますといった。これはラッキーだった。歩く時間と泊まり先を探す手間が省けた。
 この日、奈良田では「南アルプス登山安全祈願祭」が行われるという。民宿の人がいうには参加すると粗品がもらえると言うので行ってみた。神主さんの祝詞を聞き手をたたいてお祈りをした。ビール一缶とおつまみ、記念品に木で作った首掛けペンダントをもらった。 山岳写真家で有名な白旗史朗さんの写真館がオープンしたばかりで無料で入れた。お風呂も民宿の風呂とは別に出来たばかりの檜の温泉に無料で入れた。肌がつるつるになり気持ちのいい湯だった。
 無理して奈良田まで降りてきて本当に良かった。うれしくて幸せな気分になった。次の日、朝9時45分にバスで奈良田を出た。2時間45分かかって身延に着きここから急行列車で1時間かけて富士まで行った。そこから静岡に行き新幹線で大阪に着き家に戻ったのは17時30分だった。
 初の南アルプス登山は大成功だった。白峰三山を縦走し、山深い奈良田温泉に泊まって外湯の大きな湯船で肌がつるつるになる湯につかり、地元の山登り祈願祭にも参加できてとても楽しかった。また 南アルプスの雄大さ、山深さを感じた登山だった。
 この 南アルプス初体験でその魅力にとりつかれ、その後、南アルプス通いがはじまった。