あたしをネコ派に引きずり込んだのは、 敬愛する叔母と、当時彼女が飼っていたえらく気立てのよい飼い猫の所作だった。

その叔母は、飼い猫をネタにしたエッセイをつづっている。その中に、ネコが家から家へともらわれていく様は まるで過去の日本の嫁取りで、おネコ入りと呼びたい、という話があった。


本ニャンに相手の好き嫌いを問うことなくアレンジドマリッジをさせ、実家にはろくすっぽ(あるいは決して)返さない。

なるほど。


本日はお日柄もよく、楽助はうちにおネコ入りした。 母のなかった彼とその兄弟を一ヶ月近く育ててくれた心優しい人間母が、 兄弟の匂いのついたぬいぐるみと、 彼のサイズにぴったりのトイレ、 慣れ親しんだ哺乳瓶とご飯をネコ入り道具に持たせてくれた。叔母が、ご祝儀にと彼の家やキャリー、爪とぎから爪きりまで用意してくれた。叔母の友達が、晴れの日の記念撮影をしてくれた。まだあったこともない人たちが、彼の門出を祝ってくれた。

電車で一時間。この先、彼にとっての「全世界」となるマンションの一室についた。 10分程、不安を隠し切れずミューミューと泣いたが、 その後何かを観念したように、ふっと静かになった。

ああ

健やかなる時も 病める時も
喜びの時も 悲しみの時も
富める時も 貧しき時も
これを愛し これを敬い(それはどうだか)
これを慰め これを助け
死がふたりを分かつまで
あなたに楽をさせることを誓います。

だから幸せになってや