Moi(モイ、フィンランド語で”こんにちは!”の意)

 

Pitkasta aikaa(おひさしぶりです)

長いことご無沙汰して申し訳ありません。

 

今回は、2024年9月7日(土)

山口市で駐日フィンランド大使の講演で

ジェンダー・ギャップを学ぶ機会がありましたので

報告させていただきます。

 

この講演は

NPO法人 やまぐち男女共同参画会議によって開催され

正式なテーマ名が

 

”やまぐちの女性活躍新時代

~世界の先進国フィンランドの挑戦から学ぶ!

 

というタイトル名になります。

 

 

ここでは便宜上

”ジェンダー・ギャップについて学ぶ”に変えて

ご案内しますので予めご了承下さい。

 

”ジェンダー”という言葉ですが

男女差ということになりますが、男女の生物学的な構造的違いを

セクシュアリティというのに対して

 

 

ジェンダーは、

生活をするうえでの社会的・文化的な性差になります。

 

 

日本の社会生活における男女差の一例ですが

就業では、就職や昇進の男女間で違いがあったり

出産や育児に対しての役割の問題があげられるかと思います。

 

 

学校でも男女で教育内容に違いがありました。

その例として、昭和期には男子は技術科、女子は家庭科を学ぶように

なっていたことがありました

 

 

近年、

日本でもジェンダーギャップ解消の取り組みに

関心が高まるなかでの、今回の講演になります。

 

 

前半は

タンヤ・カトリーナ・ケースライネン駐日フィンランド大使の講演で

フィンランドにおけるジェンダー・ギャップ解消の取り組みと

その状況をスライドを使いながら丁寧に説明して下さいました。

 

 

ご存じの方も多いと思いますが

フィンランドは7年連続で幸福度世界ナンバーワンの国

 

 

そのワケには

ジェンダー・ギャップ解消の積極的な取り組みがあげられ

ジェンダー・ギャップの格差が少ない国として

アイスランドに続いて世界第2位にあげられています。

 

 

フィンランドが1917年独立以前の

1906年にヨーロッパではじめて国政選挙で

女性参政権が認められ

 

 

その後、国ぜんたいをあげて

・就業や賃金、政治など社会参加における男女の平等

・給食も含めて学校教育の無償化

・ネウボラの相談機関や保育所など出産・育児のバックアップ体制

と、単に女性の権利向上につながる施策だけでなく

 

 

出産や子育ても国・地方自治体が応援して

バックアップする施策をとりつづけたことで

ジェンダーギャップの解消に取り組んだというのでした。

 

 

興味深い制度としては

1978年の時点で、両親が育児休暇を男女の間で分割できる

権利が確立したと言うことです。

 

 

いまや日本では

母親だけでなく、父親に育児休暇の取得が

話題になっていますが

 

 

フィンランドでは

育児休暇が2人の親が合わせて14ヶ月取得することができます。

実際に父親の育児休暇取得率が80パーセントになると言われています。

 

 

男女平等の制度的保障と

出産・育児そして教育の手厚いバックアップ体制が

安心して出産・子育てと、そして仕事もできるわけです。

 

 

その結果

フィンランドの労働力の49パーセントは女性によって

占められているというのです。

 

 

法制度が円滑に運用され、充実した中身になるためには

各種手当ての支給のほか、病院や支援施設に保育所など

多くの予算が必要となります。

 

 

フィンランドも含め北欧諸国は

社会保障が高レベルに整っていることで知られていますが

その財源として国民から徴収する税金がどうしても高くなります。

 

 

税金が高くとも

社会保障という形で、国民全体へ再分配され

自分たちの生活を豊かにするために有効に使われているという信頼感

 

 

そして何よりも

自由な民主主義国家というフィンランドでは

国民の政治への関心が高く、さらに政府への信頼が高いということを

タンヤ駐日フィンランド大使は強調されていました。

(左側の女性が、タンヤ・カトリーナ・ケースライネン駐日大使)

 

とちゅう休憩をはさんで後半は質問会

 

 

男女共同参画にかんして

たいへん熱心な方も多く出席されて

活発な質問が相次ぎました。

 

 

そのなかで

ひとつ興味深いのは”クオーター制”の導入への

質問でした。

 

 

ジェンダー・ギャップ解消によるクオーター制とは

政治や社会集団において、ポストの一定以上を女性が

就かなければならないという制度ですが

 

 

ノルウェー、フランスなどが導入しているのに対して

フィンランドでは多くが導入されていないというのです。

(一部政府の委員会や地方自治組織などでは導入している)

 

 

その理由として

もともとフィンランドは女性の政治参加が積極的だったということです。

 

 

ちなみに

2000年にはフィンランド初の女性大統領(現タルヤ・ハロネン元大統領)

2003年には初の女性首相としてアンネリ・ヤッティーンマキ氏

 

 

そして昨今ではロシアのウクライナ侵攻で

フィンランドがNATO加盟を表明し、日本にも来日したことでも知られる

サンナ・マリン前首相など、多くの女性が活躍しているとのことです。

 

(サンナ・マリン フィンランド前首相)

 

それを裏付けるために

サンナ・マリン前首相の内閣では

半数近くが女性の閣僚だったと言われています。

 

 

また政府内の部署によっては、

女性スタッフが大半を占めているということもあるそうです。

 

 

もともと女性の社会進出がさかんなフィンランドでは

下手にクオーター制を導入して、女性の比率が極端に高くなると

男女間の逆不平等感がでるのではという懸念があったり

 

 

いっぽうでジェンダーの観点よりも

ポスト登用については、人物そのものを重視すべきだという趣旨の

説明がありました。

 

 

フィンランドをはじめ欧州の文化と歴史的な経緯と

日本の歴史的ながれと、独特な文化がお互いの生活基盤と

なるので、一概に他国の状況を自国と比較して

どっちが良くて、悪いという評価を即座に下すのは

早計すぎると思いますが..

 

 

「フィンランドの状況を観る」という視点を変えることで

今後のジェンダーギャップ解消すすめていくうえで、

いろいろとヒントがあり、参考にもなりました。

(おわり)