1994年に週刊誌で連載された衝撃のレポート記事をまとめた本のご紹介。
当時私は連載第1回目を読んで注目したのだが、
なぜか第2回以降はこの週刊誌が書店から消えてしまい買えなかった覚えがある。
一度1997に単行本として出版され、今月、宝島社から文庫本化された。
題して
敦賀湾原発銀座
「悪性リンパ腫」多発地帯の恐怖

目次
プロローグ「ガン患者激増の噂を追って」
第2章 「あなたの家にガンの人はいますか?」
第3章 「風下地域で患者集中発生」という事実
第4章 福井県庁の皆さん、疫学調査をやってください
終章 そして福井県の未来は・・・・
福井県原発立地エリアの風下地域3集落で現地聞き取り調査をした結果、
悪性リンパ腫の発生率が全国平均より高かったという事実から、
原発による放射線の影響を訴えた渾身のルポルタージュ。
この事実に対する行政側の後ろ向き、電力会社向きの態度が鮮明に浮かび上がっている。
統計の基礎データとなる年齢別人口構成データを市町村が取材側に開示しないという、
信じられないような出来事も語られていた。
その一点のために、行政・学識者側からは統計学的に意味が無い調査というレッテルを貼られ、
地元マスコミも行政側発表を一方的に有利に伝えたということらしい。
私自身も1998年に仕事関係で地元市役所に出向いて人口データを要望したら、
直ぐに打ち出してくれたので本書で述べているような対応は、明らかに嫌がらせだったのだろう。
そして、医療関係者や官僚・御用学者のことなかれ主義は、
本来、国民住民の為に働かねばならない者達が、実は電力会社という巨大な権力のしもべでしかないことを如実に示している。
この体質は現在も変わっていないだろう。
病気そのものもさることながら、国・行政・電力会社によってさらに傷つけられるであろう
福島被爆住民と、おそらく全ての国民の、さらなる憂鬱な未来を予想させるに充分な内容である。
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