今から十年以上前の英国科学専門誌「NATURE」に、広島原爆投下後の被爆者調査研究に関する記事が載っていた。当時はこういう問題に関心が薄かったため内容は殆ど覚えていないが、国際?米国?研究機関が被爆実態の日本側研究資料も収集秘匿したというような記事だったようだ。

 福島第一原発事故に起因する放射性物質汚染への対応は目下喫緊の問題であるが、除染に役立ちそうな候補物質は官民問わず幾つか挙げられている。そのような状況下、ある噂が一部の人々の間で期待を集めているらしい。

  原爆投下後、半年か1年たった頃、見慣れない植物が繁茂しだしたという。その植物に関する情報はしかし、米国が持ち去ってしまい日本には残っていない。この謎の植物が広島で除染効果があったのではないかという憶測を呼び、この植物があれば今回の除染に使えるというまことしやかな話しがあるようだ。

 このたび「ゲルな夢日記」独自のルートを使って関連情報を探求したところ、確かに当時の広島で見慣れない植物の繁茂が見られたという。しかも該当する植物が二種あったことを突き止めた。

候補の一番目は、

 ナス科の植物で6種類あると言われ、マンドレークが一番有名。このマンドレークは「茎のない多年生植物であり、約1メートルの高さにまで成長する。葉は大きくて皺があり、多肉質の根は通常は枝分かれし、長さ1メートルほどになる。この枝分かれした根こそ、この植物の最大の特徴である。その形と人体との類似は、非常に多くの文化圏に於いて、強大な魔力と治癒力を示すものとみなされた。」(リチャード・ラジュリー著「精神活性物質の事典」より。下のイラストも)

ゲルな夢日記-マンドレ
 マンドレークはヒヨスチアミンというアルカロイドを含み、麻酔薬・媚薬・幻覚剤・催眠薬として利用された歴史があるという。(アルカロイドに関する話題はまた別のテーマとしていつか記事にしてみたい。)

二番目の候補は、

 菌類、キノコ類
  ・・・・・・・・・これは種類を特定できなかったが、米国の核爆発実験場で巨大キノコの異常繁殖があったという話しを聞いた。

さて、それでは上記のマンドレークが除染に使えるかとなると、答えは否定的である。
広島では原爆投下により広範囲に火災が起こり、土壌に大量の灰が蓄積されて土壌Phがアルカリ性になったようだ。その環境においてマンドレーク類似植物が異常繁茂したというのが真相らしい。従ってマンドレーク類似植物を植えたら除染できる、という期待は幻想に終わるかも知れない。
 
 キノコの異常繁殖・巨大化と聞いて真っ先に思い出したのは、無人島に漂着して謎のキノコを食べた人が、そのキノコそのものに変身してしまったというストーリーの恐怖映画。その名も
名称がマンドレークに似ているのは単なる偶然か、それとも上記のような事実を知っていた関係者が命名したのか。関係あるような無関係なような話しではある。