電車で騒ぐ子供が嫌い。それで、またその子に全然無関心な親がもっと嫌い。




  このあいだも、やれ「足が疲れた」だの「まだ、着かないのか」と親に大声でごねてる小学生の女の子がいました。




 「どこのキャバ嬢だよ」 一人、心の中でつっこみました。



 同時に



 「こいつ、絶対ろくな大人にならんな」



 と、一人確信していました。




 でも、それとは逆に




  「うわぁ、この子、将来絶対に大物になるわぁ」




 そう思ったことってありませんか?







 あれは、10年くらい前でしょうか 



 

 車を運転していたときのことです。郊外のあまり交通量がない道でした。




 たまに、車に、運悪くひかれちゃった動物が道路に転がっていることがあるじゃないですか

 



 そして、また私も運悪く、その光景に出くわしたわけです。




 犬の死体でした。




 当然、車線変更して避けようとしたまさに




 そのときです!!




 小学校5,6年くらいでしょうか。男の子が突然、目の前に飛び出してきました。





 急ブレーキ




 「おぉーいぃぃー!アブねーよ!お互いに!死ぬ気!?ねえ、死ぬ気??」



 

 そんな、興奮する私に向かって、なんと、男の子は本当に深々とお辞儀をし(「船○○兆」の女将より深かったと思う)、そして、その犬の死体を抱えて車道の脇へと小走りに去ったのです。




 「えっ!?なになに??」




 プチパニックにおちいった私は、その男の子の行動を眺めていました。




 すると、犬の死体を邪魔にならないように、脇に避けて置いたその男の子は、自分の着ていたTシャツを脱ぎ、犬に掛けてあげたのです。




 そして、上半身ハダカの男の子は何事もなかったかのように歩いていったのです。



私は





「・・・すげぇ」と。





 そして





「・・・かっこいい」と。





 さらに





「・・・これは絶対、将来大物だ」と。





 ついでに





 「・・・完敗だ」と。(別に、何にというわけではないが、人のもって生まれた器のようなものに対して)





 たぶん、いま20代の前半くらいか。





 あの男の子は今、どうなってるのだろうか?





 きっと、素敵な青年になっているんだろうなぁ。