さっさと不況を終わらせろ 2012年発刊 ポールクルーグマン
この本はアメリカの不況やバブル崩壊などの原因とその脱出方法が書かれています。ごくざっくりいえば、不況の原因は需要不足から起こり、それに対処するためには金融政策と財政出動が必要だという持論を展開しています。
財政赤字、インフレ脅威論、財政緊縮論、経済格差の拡大、トリクルダウン理論等、一般的に正しいといわれている、これらの論説が実は間違った認識や考え方に基づいており、むしろ逆効果であるといっています。
この中でも日本経済の関心が高い、財政赤字について紹介したいと思います。
財政赤字からこうむる害というものは仮想的でしかない。財政赤字の害として挙げられているものは、ある国の金融/財政政策に市場が安心感を失うと、その国の債権を投げ売りする、そしてその調達コストが挙がるというものだ。その結果デフォルトにつながる。
しかしアメリカ市場はそう判断しておらず、アメリカの財政赤字は拡大する一方、長期金利(10年物国債の金利)はむしろ低下しており、2007-2012年にかけて、利率は5%-2%にさがっている。日本も同じような道をたどっている。これは上記の考え方と矛盾している。
ではなぜ国債は問題ないと思われているのだろうか。それは流動性の罠が起こっている状態では貯蓄がずっと過剰な状態にあるからである。
政府の借り入れはその過剰な貯蓄に行き場を与える。なので流動性の罠が解決するまでは財政赤字は問題はない。
では流動性の罠がなくなったどうなるのか。 貯蓄が消費に代わり、景気が良くなり、財政政策をする必要性がなくなるだけである。つまり流動性の罠が起こり、貯蓄過剰な状態であれば、不況下では財政赤字でも問題はない。むしろ政府が支出をしないとより一層経済は悪化してしまう。
この後、スペインやイタリアやギリシャはどうなんだ。デフォルトしかけたじゃないかという質問に答えている。結果だけ書くと、これらの国と、日本、アメリカの違いは、自国通貨建てで借りるか、外貨建てで借りるかという違いであり、通貨発行権があり、自国通貨建てで借りているならば、大丈夫だと結論付けている。
まとめると 不況下で流動性の罠に陥っている場合(日本の場合+デフレ)、通貨発行権があり、自国通貨建てで国債を借りている場合、財政赤字を恐れる心配はない。なぜなら、流動性の罠下では貯蓄は過剰であり、金利の上昇は起こらない。しかも政府支出をしなければさらに景気は悪化するので、財政出動をするべきである。インフレ+経済成長の伸び率>負債の伸び率が低ければ負債の増加は問題ですらない。
この問題をもっと詳細に説明するとかなり長くなるので、簡潔に説明するとこんな感じです。何か疑問に思うところあったら質問ください。
この本はお勧めです。日本の不況脱出に参考になる考え方が山程あります。
さっさと不況を終わらせろ/早川書房

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