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題名:「でらすごい!」

名古屋市の中心地で生まれ育った田中ゆうたは、大学進学を機に東京へと引っ越した。東京ではいろいろな文化や価値観に触れ、新しい友人たちと出会う日々は刺激的だった。しかし、ある日、彼は久しぶりに名古屋の方言を耳にした。

それは、大学の図書館でのことだった。ゆうたは図書館の一角で本を読んでいたが、隣のテーブルに座った学生たちの会話が耳に入った。「でら」と言っているのを聞いた瞬間、彼は思わず微笑んだ。

「おお、名古屋の人か」と、ゆうたは声をかけた。話しかけられた学生たちは驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。「そうそう、俺らも名古屋から来たんだよね」

その日から、ゆうたとその学生たちは仲良くなり、一緒に遊びに行ったり、勉強をしたりするようになった。彼らは同じ故郷を持っていることで、自然と打ち解け、懐かしい話題で盛り上がることが多かった。

ある日、彼らは東京の観光地を訪れる計画を立てた。集まった場所で、ゆうたは友人たちと一緒に話していると、遠くで聞こえる言葉に耳を傾けた。それは、観光客の団体が話している方言だった。名古屋の方言ではなかったが、地方の方言を耳にするたびに、彼は故郷への愛着を感じた。

その日、彼らは観光地を巡り、笑い声が絶えなかった。途中、ゆうたは「でらすごいな、東京って」と冗談半分で言った。友人たちは笑いながら、「でら、でら!」と賛同した。

東京での生活は楽しく、刺激的だったが、ゆうたは名古屋で過ごした日々を懐かしく思うこともあった。しかし、友人たちと過ごす時間を通じて、方言が持つ力を再確認した。言葉は人と人を結びつけ、故郷への絆を感じさせるものだ。

ゆうたはその日、東京で過ごしながらも、自分の故郷を大切に思う気持ちを再確認した。彼は名古屋の方言を使うことで、仲間と絆を深め、そして新しい場所での冒険を楽しむことができたのだ。

「でらすごい!」と笑い合う友人たちの姿を見て、ゆうたは心の中で「これからもずっと、この絆を大切にしよう」と思った。東京での生活は続くが、彼の心の中には、いつでも名古屋への愛があった。