楽ちん堂の扉  | 楽ちん堂、STUDIO GORRON、すたじおごろん二子玉川ブログ〜NPO法人ら・ら・ら〜

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24時間鍵が開いている全世代コミュニティーカフェ。子ども食堂は365日3食開催中!
元森田オフィスはお芝居の稽古場でもありました。だから今も芝居も歌もダンスも小説も絵も創作しながら子供預かりやお泊まり、いつもドッタバタのグッチャグチャカフェ。


わたしは都内に住んでいて、
地下鉄と多摩川沿いのバスに乗って、
楽ちん堂へは一時間少しで着く。

楽ちん堂のカフェの扉を開けると、
あらー、たなかさん、と声を出された。
清子さんとゆきこさんとしおりさんがいた。
清子さんは
こちらに背を向ける体勢から
こちらを向いて、
ゆきこさんとしおりさんは
最初からこちら向きに座っていて、
さっき声を出したのは
主にゆきこさんとしおりさん、
清子さんはたなかくんの姿が現れたことと、
それから出された声に、
たなかくんがきたと笑っていた。

たなかさーん、これ飲んで、
おいしいんだよー、
そうカツオもあるから、
これはライズで買ったやつだけどね、
分かりました、
まず手洗って、僕、今日飲み会あるんですよ、
夜、新橋です、
これは東広島のなんだ、
あそこいっぱい酒蔵ありますよね、
それは知らないけどこれがおいしいの、
これねー、買ったのははせがわだけど
それはよくて、ここがおいしいの、
その春しぼりなんだけど、
私ね、一升瓶三千円までしか買わないの、
これはおいしいの、
ホントね、わたしはもういい寝ちゃうから、
もうお水にしてます、
今日はねー、もういいでしょー、
そうだよー、たなかさん、あのね、
清子さんが朝からね、
ミモザが〜ってくちずさむから、
わたし耳から離れなくなっちゃったのー、
後でうたってね、そうそう、
観客三人のライブ、


テーブルに日本酒の一升瓶が置いてあり、
カツオのたたきの載った皿、
ケータリングの残った弁当も置いてある。
弁当を食べ、
カツオのたたきの残りを食べ、
日本酒を飲んだ。

いつもはうたうときは
つちやが横でギターを弾いていて、
ときどきつちやもうたう。
ジャンプの漫画のアニメの必殺技、
その技自体は
キャラクターの声ではないはずの、
アニメはそういう効果音のようにも
キャラクターが叫ぶ。
子供たちはそのように遊ぶ。
つちやのうたはそんなふうか、
寝起きの子供のようにつぶやくようにうたうが
それは珍しい。
つちやがいないので一人でうたった。
右膝を右手で叩いて
右の爪先も少し上げてリズムを出し、
うたうのは不安なまま、
スマホで歌詞を出して、
カネコアヤノのセゾンをうたった。

ゆきこさん、しおりさんは
いつもより明るく、表情が軽くなっている。
部活の練習の終わったあとみたい、
というイメージは
「がんばっていきまっしょい」という映画で
ボート部の女子高生が
放課後に店に立ち寄り
鍋焼きうどんを食べていたシーンを
あとで思い出した。

特にしおりさんは、
娘時代に戻ったみたいですね、
ゆきこさんはこの感じで
芝居で喋ってほしいですね、
なんか、焼きものの職人に見えます、
日没前には仕事終えてと思いながら、
ろくろを廻しているような、

平日は
企業への朝早くに準備しなくてはならない
ケータリングが毎日ある。
土日はそれがない。
ハナキンと言っている春になる前の夕方。






(たなか)