まえだまえだ 映画「奇跡」でダブル主演 演技ではライバル、漫才は仲間

　小学生で漫才界にデビューした兄弟コンビ「まえだまえだ」が、公開中の映画「奇跡」（是枝裕和監督）でダブル主演を果たし、その演技力が評判を呼んでいる。幼かった兄弟も今春、兄の前田航基（こうき）（１２）が中学に進学し、弟の旺志郎（おうしろう）（１０）も小学５年に成長。２人に映画や兄弟仲について聞いた。（戸津井康之）

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　◆まさかの共演

　《「奇跡」は、両親の離婚で離ればなれに暮らす兄弟が、ある“奇跡”を起こそうとする物語。まえだまえだの２人は大阪府出身。それぞれ子役としてデビュー後、平成１９年に漫才コンビを結成。同年の「Ｍ－１グランプリ」で準決勝に進出し、注目を集めた》

　－－映画出演の経緯は？

　航基「オーディションを受けました。最初は男の子と女の子が一人ずつ選ばれると聞いていたので、まさか兄弟で選ばれるとは思ってもいなかったんです」

　－－では２人はライバル関係？

　航基「そうです。オーディションでは弟が最大のライバルだと思っていました」

　旺志郎「兄はこれまで何本も映画に出演していたので、悔しかった。オーディションの日は“絶対に今回は勝ってやる”と思っていました」

　《是枝監督はオーディションで初めて２人を知ったが、その圧倒的な存在感に触発され、当初の脚本を大幅に書きかえて「奇跡」を完成させたという》

　－－映画では仲の良い兄弟役ですね

　航基「完成後にどちらがうまいかを見比べることができますから、撮影中も“絶対に負けられないな”というライバル心で演じていました」

　－－漫才でも２人はライバル？

　航基「漫才は映画とは違いますね。どちらかがセリフを忘れたら教えてあげたり、お互い助け合う関係。漫才では一番信頼できる仲間です」

　－－漫才の練習はどうやって

　旺志郎「宿題をしてお風呂に入った後、寝る前の３０分ぐらい練習します。朝起きて学校に行く前にも練習します」

　－－芸能界入りのきっかけは

　航基「僕は運動会の徒競走で先生に背中を押してもらえないとスタートできないような引っ込み思案でした。そんな性格を心配したお母さんが、僕が４歳の時に松竹芸能のスクールに通わせてくれました。一緒に来ていた弟も後から入ってきたんです」

　◆旺志郎は反抗期！？

　－－お兄ちゃんとして弟の面倒を見ることは

　航基「宿題を教えてあげたりするのですが、最近、ようやく旺志郎も反抗期に入ったみたいで、歯向かってくるんです。たまに“イラッ”としますね。でも、そこがかわいかったりもするのですが」

　旺志郎「えっ僕、反抗期に入ったん？　僕には反抗期というのが何のことなのかよく分かりませんが、入ったというんなら入ったんでしょうね」

　－－東日本大震災について思うところは

　航基「避難所にいる人たちにこの映画を見てほしいと思っています。映画の中で描いている“奇跡”を信じてもらえたらうれしいですね」

　旺志郎「そうや。避難所に大きなスクリーンと映写機を持っていってみんなに映画を見てもらったらええんや。きっと、がんばってもらえると思うから」

　航基「希望がもてること。それも一つの奇跡やと思います」

「この記事の著作権は産経新聞 に帰属します。」

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