田園回帰の深化-文明論的視点から p.257
「私たちの地元は、現在の世代だけでなく、死んだ後の世代のことも考えてがんばってきた幾代もの人々の努力で、いまの姿になっている。
昨今みんな開き直って「いまだけ、自分だけ、お金だけ」を追い求める風潮があるが、それではよい地域とはなりえないだろう。
目先の利益を超えて高い志を込めた人々の記憶は、地元のなかで世代を超えて伝わっていく。
それぞれの地域がだんだんと良くなるとすれば、それは、この世代を超えた記憶のリレーがつながっているからにほかならない。
最近、田園回帰した人が驚くことは、田舎の地域社会では、自分だけでなく現在の仲間や将来の世代を考えて動く住民がまだまだいるという事実なのだ。」
「まずは、いまの中高年が自分の代だけの欲得や逃げ切りを図らないこと、次の世代の記憶に残り得る志を示すことが、いまの時代、いまの地域に一番求められているのではないだろうか。」
藤山浩 農文協