1982年、私たちはまだ何も知らなかった。
こんにちは。
キリカ・コージ(石井浩二)です。
1982年、私は大学生でした。
心理学を学びながら、
まさかこの先40年以上も「人の心」について
考え続けることになるなんて、
当時は思ってもみませんでした。
あの頃、
日本中が不思議な熱気に包まれていましたね。
そう、
後に「バブル」と呼ばれる、
あの狂騒の、ほんの少し前のこと。
誰もが「未来はきっと明るい」と信じていて、
そこには確かな高揚感がありました。
私も、
友人のカーステレオで
オフコースの「さよなら」を
大音量で聴きながら夜の街を流したり、
キャンプに行けば
ラジカセでサザンオールスターズの
「匂艶 THE NIGHT CLUB」をかけて、夜通し騒いだり…。
若さを爆発させることで、
新しい時代の足音を肌で感じていた気がします。
✨✨✨
携帯電話なんて、もちろんない。
インターネットもない。
情報をくれるのは、テレビと雑誌だけ。
今から思えば、信じられないくらい不便な時代。
だけど、不思議と心は満たされていた。
何もないからこそ、
必死に何かを掴もうとしていたのかもしれません。
街には希望があふれ、
Made in Japanが世界を席巻しはじめた、
まばゆい光の時代。
……でも、思うんです。
光が強ければ強いほど、
その影もまた、濃く、深くなるのではないか、と。
あの浮かれた空気の中で、
時代の急行列車から、
そっとホームに降りた人たちもいたはず。
社会の喧騒の中で、
誰にも届かない「声」を そっと胸にしまった人たちも。
あの「狂騒前夜」のざわめきには、
未来への期待だけでなく、
言葉にならない“寂しさ”や“儚さ”も溶け込んでいたように、
今になって思うのです。
そんな、光と影が交差する
1982年の「YOKOHAMA」を舞台にした物語を、
私は今、紡いでいます。
なぜ、今、あの時代なのか。
その答えは、もしかしたら、
私たちが置き忘れてきた“何か”を
見つける旅になるのかもしれません。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
キリカ・コージ(石井浩二)