こんにちは、ストレスレスな育児論を伝える現役保育士のかなりんです。

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私は現在こども園の乳児クラスの延長保育を担当しています。

夕方になって子どもの数が少なくなってくると1,2歳児クラスが合同になるのですが、そこではなかなか面白い異年齢の関りが見られます。

 

2歳児クラスの男の子がブロックでお部屋を作っていて

(青いブロックに人形を座らせて)「トイレだよ」と

ごっこ遊びをやっていました。

それを見ていた1歳児クラスの男の子(4月生まれなのでほとんど2歳児クラスの子と年齢は変わらないのですが)

何も言わずに人形に手をのばしお友達から取り上げてしまいます。

この子は他のお友達にも何度も何度もそういうことを繰り返していて

いつも怒られていました。

このときも「取っちゃダメでしょ。貸してって言うんだよ」

そう言われるとお口は「かして」と言うのですが、手はそれより先に出てしまいます。

ブロックで遊んでいた二歳児クラスのお友達も

「もう、〇〇ちゃんやだ!」とブロックを守るように抱えて怒っていました。

 

貸してと言えずにものを取ってしまう。

よくあることだと思います。

何度も何度も怒られて、「貸して」「いいよ」のやりとりがそのうちできるようになるでしょう。

でも、今、目の前の子の、この行為をする理由はなんだろう?と私は考えます。

私がこの園に入って3か月、いつもこの光景が繰り返されるのです。

じっと観察してみると、おもちゃが欲しいのではなくて、お友達と一緒に遊びたいんじゃないかと思えました。

お友達が遊んでいることに興味があり、一緒になってやりたい気持ちがおもちゃを取ってしまう原動力だとしたら

これってすごい成長だなぁと思うのです。

 

教科書ではお友達と関わって遊ぶようになるのは3歳児からと書いてあります。

乳児期は一人遊びが中心で、それぞれがそれぞれの遊びに興じていると。

でも3歳になったからといって急にお友達と遊ぶわけではなく、ゆっくりゆっくりと興味関心がお友達に移って行って、一緒に遊びたいなという気持ちが育っていくのです。

だから2歳はちょうど移行期。

この子はとくにお友達への興味が強いのだなと感じました。

 

たいてい怒られてしまう「お友達のおもちゃを取ってしまう」

こんな行為も「困った行動」として見るのか、「成長の過程で出てきた喜ばしい行動」と見るのかで対応がずいぶんと変わるのではないでしょうか。

 

「困った行動」として見てしまうと、なんとかしてその行為をやめさせようと、叱ったり怒ったりしがちです。

これは怒るほうも怒られるほうもストレスですね。

 

「成長の過程で出てきた喜ばしい行動」として見た場合どうでしょうか。

ただ叱責するだけにはならないと思うのです。

 

私はまずはその子の「お友達と一緒に遊びたい」という気持ちを代弁することにしました。

まずは「何も言わずにとったらお友達いやだよ。返そうね」と

取ってしまったおもちゃをお友達にいったん返しながら

「〇〇ちゃんは一緒に遊びたかったんだって。そのお人形さんをおトイレに座らせることがしたかったみたいだねぇ。」と

その子の行動の理由を想像でもいいからお友達に説明しました。

すると「〇〇ちゃんやだ!」と言っていた子が、お人形をその子に渡して「遊んでいいよ」と手渡してくれたのです。

取られた子も一度は嫌な思いをしましたが、一緒に遊びたいという気持ちを受け入れてくれたのです。

おもちゃを取った子はニコニコして一緒に遊び始めました。

こんな光景を目の当たりにすると、子どもってなんて器が大きくて優しいのだろうと思ってしまいます。

ただ「貸して」「いいよ」「やだよ」という

表面的な言葉のやりとりで終わらず、心の交流ができているから、こんなふとした瞬間に感動してしまいます。

 

だから保育って面白いです。

見方を変えると対応は変わる。

どうせなら、優しいほうへ、楽しいほうへ、

保育を変えていきたいです。