オプーナ「安全を期し、上がっても下がっても大丈夫なコール&プット両建てのストラングルポジションを取ったスライムさんでしたが、唯一、それだけはいけないという穴、横ばいというオチが待っていたようです」

スライム「…っざけんな!!…と思ったけど、まぁ別に腹を立てる話でもないね。
   なるべく高い確率で上手くいくよう準備をして、しかし完璧に安全な投資などありませんから、ちょうど弱点を突かれてしまった……そんなのよくある話ですし、自分が欲張って下手な判断をしてしまったせいでの失敗ではなく、これは自分の手の及ばない、相場の動きの話でしかないのですから、後悔もないし、これは本当に何とも思いませんよ。しっかり準備して戦って、しかし敗れた、それだけです」

オ「その考えは大切かもしれませんね。また、これを書いているのはまだ市場が始まって間もない午前中のことなので、この先動くこともあるかもしれません。
   またさらに、横ばいになったとはいえ全てが終わったわけではないので、ここからできることを全力で考えることも重要でしょう」

ス「とりあえずまた順番に振り返っていこうか」

オ「昨日ロングストラングルのポジションを組んだNVDA、上述の通り、時間前取引、開始5分前の時点で、ほぼ完全に前日終値と同値という美しいまでの横ばいでした」



ス「お見事というより他ないね」

オ「しかしスタートまで残り1分で、若干落ちてきています」



ス「株価が落ちたら、値上がりしているプットを売っておきたいけど、さらなる続落が待っているかもしれないし、やっぱり難しいやね」

オ「市場がスタートしました。本当に若干ですが株価は前日比マイナスであるものの…」



ス「ストラングルポジションの評価額をチェックしたら、合計3.34ドルで購入していたこのポジションは、Bid 3.16のAsk 3.29で、完全に値下がりだね」



オ「株価がほぼ横ばいですから、時間的価値が失われた分、価値が目減りしてしまった形ですね」

ス「もし合計で利益を出せるなら即売る予定だったけど、さすがに、利益も出せないのにせっかく組んだポジションを解くのもバカらしい、様子見だ」

オ「市場開始後4分が経過しました。まさに横ばいという形で、株価は前日比微妙にプラスになっています」



ス「ひっでぇなこりゃ。一方向への動きなら、まだ考えやすい気がするのに、行ったり来たり…」

オ「しかし、そこからさらに50秒が経とうとする頃、突然ポンと株価がアップしました。一気に145ドル超えです」



ス「すわっ!これはいけるか!!昨日言った通り、コールはもっと本格的なジャンプに乗るために保有しているから、できればすぐには手離さずに粘りたいんだ。…がしかし、プットの方は、このまま上がり続けるようだったら早めに売却しておいた方が良さそうか…?!」

オ「しかし、上がりは続きませんでした。さらに2分が経とうとする頃、あっさり144ドル台に戻っています」



ス「ぐむむ…難しいな…」

オ「しかしそこからさらに4分ほど経ち市場開始から11分ほど経過した午前9時41分頃、その下落も続かず、ジリジリと上がっているような気配ですね」



ス「よし!!今日は上がる気がするぞ!!決めた、恐らくプットはどんどん下がっていくだろうから、今の内にプットだけ売却しておこう!!
…今のプットの評価額(=BidとAskの平均値)は1.325ドルだから、1.33ドルぐらいで売り注文を出そうかしらね…」

オ「このプットは1.50ドルでの購入でしたが、プットはこの先どんどん下がりそうだという考えのもと、迷わず損切りということですね」

ス「よし、注文するぞ……。

…って、あっ!!!」



オ「クリックをしようとしたまさにその瞬間、株価がガクッと下がりました。当然、プットは一気にググッと上がっています」

ス「ホンマに僕の選択は裏目だな…注文を出さなかったから良かったものの…」

オ「さらに5秒後、株価はあっさり前日比マイナスに突入しています。下落トレンド突入かもしれませんね」



ス「っだよもぉ~、マジであと10秒この下がりが遅かったら、プットを売却していたぞ!!たまたまセーフだっただけで、やっぱり僕の選択は間違いしかないじゃないか!!」

オ「行動に移そうとしたまさにその時、あと一歩だけ待って様子を見る勇気が大切だということですね。
…しかしそれから1分30秒、また前日比プラスに戻りました」



ス「まさに横ばいっ…!!圧倒的横ばいッッ…!!」

オ「しかしやはり下落トレンドに入ったのか、さらに1分後、またまたマイナス…」



ス「ゴクリ…」

オ「さらに3分後、株価はついに143ドル台に突入しています」



ス「くぉ~うなると、さらなる値下がりに備えてプットは売れん!しかし昨日言った通り、コールはもっと長い目で見て保有中のポジションだから、今しばらく持っておきたい…身動きが取れなくなってしまった!」

オ「しかし、さらに下がりそうならば、一旦コールは売って、また後ほどコール価格が十分下がってから買い直すという手だってありますよ。無意味に引っ張って持ち続けるのは良くないということは、既に何度も身を以って経験し続けた通りです」

ス「そうだねぇ…」

オ「さらに5分経過、株価は…



…まさに横ばい、落ち続けることはなく、持ちこたえていますね。144ドル台に戻しています」

ス「くふぅ~、読めん!まるでサンスクリット語の法典のように、読めん!!」

オ「難しい値動きではありますね。しかし、ただ手をこまねいていては、いたずらに時間的価値が失われるだけの、最悪の展開とも言えます」

ス「だからってポジションを解消しようにも、上がると思ってプットを売ったら下がって、下がると思ってコールを売ったら上がって、…となりそうで、マジで手を出せない!!」

オ「…が、覚悟も必要かもしれませんよ。このままでは、真綿で首を絞められるように少しずつ死んでいってしまいます。
…と、時計は回り午前10時14分、おもむろにまた動き始めましたね。NVDA……急進です」

 



ス「ガッヒョーン!こんなもん、もうマジで読めるかボケェ!!一気に上がりそうではあるけど、がしかし、やっぱりまたすぐに下がる気もするぞ!!」

オ「皮肉にも、前日終値を跨いで行ったり来たり、まさしくオプション価格を破壊するだけの、何とも最低のパターンの動きですね」

ス「やっぱり、さらなる上がりに期待したいから、現在コールは買値より結構上がっているけれど、こんな所では売れん……しかし、プットも、またどうせ株価は下がりそうだから、保険のために持っておきたいから売れん……手も足も出ないとはまさにこのこと!元々僕には手も足もないけれど…!!」

オ「7分ほど経過しました。その後伸びは続くことはなく、またもや前日比同値という名の地獄の横ばい収束に向かいつつありますね」



ス「いや、そうなるとは思ったけどさ…」

オ「さらに25分、午前10時45分となりまして、見事、前日比完全同値を叩き出しています!逆コングラッチュレーションズ(パチパチパチ)」



ス「ぐにゃあ~。…まぁ、コールもプットも、どちらも単独では前日比プラスになった瞬間もありましたがね、そんなのは結果論で、僕には無理だ、こんな値動きで上手いこと利を得るなど、難しすぎる!!」

オ「しかし、泣こうが喚こうが、コールもプットも刻一刻とその価値を失い続けています」

ス「ま、値上がり期待でコールを持ち続けているのは、これは今まで通りのことであって当面続けたい、そしてプットの方は、さらなる暴落の保険として持っておきたい…ってことで、『保険を効かせた値上がり期待のポジション継続』って形で、もうそのままでもいいかな、って思ったり…」

オ「満期まで時間はありますのでそれでも一応即死はないでしょうが、昨日ベストを尽くしましょうと言っていたというのに、それは決してベストな手とは言えないでしょうね。
   このまま横ばいが続くなら、思い切ってどちらのポジションも清算しておいて、本日後ほど時間的価値が減って安くなった所で再度購入すれば、同じポジションを戻しつつそれだけで利益を出せる可能性もありますよ」

ス「しかし、下手に手を打っても手数料がかさむし、予想外の大きな動きが突然来たら何やねん、って話だし…」

オ「もちろんそうですが、スライムさんは何となく横ばいが続くように思っているのでしょう?それならば、手を出さないのは、単に損切りをする勇気がないだけです。何も成長していない、今まで何度も失敗してきた姿勢から、全く何も変わっていないといえます」

ス「まぁねぇ…。正午ピッタリ、チャートを見ても、どう考えてもここから大きな動きはなさそうだしね…」

 



オ「やらないで後悔するより、やって後悔する方が良いとよく言われますね」

ス「むむむ…。だが、ベストを尽くすとなると、天井 or 底っぽい所でコール or プットを売って、次に底 or 天井っぽくなった所でプット or コールを売って、その後また両建てで買い直す、ってしたい所だけど、そんなの可能か?!裏目ってグニャア~となる未来しか浮かばないぞ…!?」

オ「読めないのなら、両方を同時に売って、また後ほど同時に買うのでもよろしいでしょう。ベストオブベストのパターンよりは低いパフォーマンスでしょうが、それでも恐らく、指を咥えてただ眺めているよりは十分いいのではないですかナ」

ス「…ちょっと考えさせてくれ…」

オ「そう言っている間に、間違いなく1秒ずつ、コールもプットもガンガン価値が削られていっていることを忘れないようにして下さい」

ス「…オプション取引の手数料は片道約10ドル(コール・プット別々注文で)なので、売って買ってを繰り返すだけで、1商品あたり往復で約20ドルの手数料がかかるわけだ。
   僕はコールもプットも4枚ずつ保有しているから、売却して買い直して利益を生み出すには、1商品あたり0.05ドル以上の差額で買い直さなければならない……いけるか??」

オ「いけるかどうかは誰にも分かりませんが、こうして逃げずにアレコレ考えて戦ったことが、将来何よりも重要になってくるのかもしれませんね」

ス「う~ん…。…ややっ、25分ほど経過して、おもむろにまた株価が144ドルを割った!



…プットが上がったタイミングでプットだけ売っておこうか……しかし、チャートを見るに、ここからさらにガラガラッと下がりそうな気もする??



…ぐぅ~、分からん、全く読めん!!」

オ「その後一進一退の攻防を繰り広げていますが、3-4分経過して午後12時30分、またピョコンと下がって143.8ドル台に入っています」



ス「ウォウ~。プットだけ…1.40ドルぐらいで売ろうか…。しかし、株価はこの先さらにめっちゃ下がりそうな気も…」

オ「お悩み下さい……どうせ売買してもしなくても、その差はごくごく小額でしょうが、こうして悩むことこそが成長のきっかけなのかもしれません…」

ス「あっ!1分ぐらいであっさり144ドルに戻ってしまった!!いやぁ~、ちょっと難しすぎんよ~。仮に上手く行ったとして、こんなの運でしかないだろ?!」

 


オ「しかし、本日市場開始時点では楽に合計3ドル以上で売れていたストラングルポジション、今は合計2.9ドルちょいなわけです。もちろんこれだって結果論ですが、どうも今日は横ばいな感じだな、と思ったなら、損切りであろうと一旦ポジションを清算しておくべきだったとも言えますね。手数料込みでも、今なら十分安く買い直せ、何もしなかったのよりも利益を出せている形です」

ス「まぁ、今にして思えば、それはそうだね。利益になっていたらまとめて売ろうと思っていたけど、利益になっていなくても、朝一番で大動きがなかったのなら恐らくもうそう大きくは動かないだろうから、速やかに損切りすべきだったかもしれんね。
   でも、そうしたところでわずか数十ドル程度の違いだから、そう躍起になる話でもない気もするけれど、とりあえずいい学習にはなったのは間違いないね。今後に活かそう」

オ「『今後』ではなく、『今』がその時、まだ市場終了まで数時間あるのですから、今売れば、朝から今までの再現が取れるかもしれないという話ですよ。『今後に活かそう』では、結局決断を先延ばししているだけで、何も学習していないのと同義です」

ス「まぁそれもそうか…。ホナ、いい加減注文出してみようか。やっぱり、どうあがいても今後どっちに動くかは読めないけど、『あまり大きくは動かない』であろうことは読める気がする……ってことで、両建て同時売りをしておきましょうか」

オ「意を決した午後12時45分頃のオプション板はこんな感じ…



そして注文は、BidとAskのほぼ真ん中である合計2.95ドルでの指値売り注文ですね」






ス「ま、BidとAskの真ん中ということで、約定は難しそうだけど、株価がひょこっと動いてボラが高まったらその拍子に約定するかもしれん。待ちましょう」

オ「注文を出した瞬間から地味に株価は下がってきていますが、約定には至りませんね」



ス「まぁもう待つよ。一応満期まで時間があるから、無理に売り捌いておかねばいけないものでもないんだ、じっくり様子見しましょう」


オ「少し時間が経ち午後1時少し前、株価はひょこっと下方向に飛んで動き結構なボラでオプション価格も乱高下していますが、約定には至りませんね」



ス「もうちょい暴れてくれればな」

オ「その1分後、午後1時を回りましたが、その下げも一瞬のことで、また一気に上に戻しました。株価は乱高下しているものの、残念ながら約定はならずですね」



ス「ちょっと欲張りすぎたかな?まぁいいや、さっきも言った通り、上手く行っても多分買い直して数十ドル戻せるかどうかだろうからね、約定しなくても来週へ持ち越しということで、慌てずドッシリ構えましょう」


オ「時計は回り午後3時半となりました。



…結局ほぼ完全横ばいですね。当然先ほどの注文は約定ならずで、現在保有コール&プットポジションの評価額としては、合計して2.6ドル弱と落ち込んでおり、先ほど無理にでも、2.9ドル弱ででも売っておけば、今ならかなり安く買い直すことが可能でした」

ス「うーん…。まぁ、無理して約定させずドッシリ構えるというのは自分の選択だから仕方ないんだけど、満期まで割と時間はあるのに、意外にオプション価格は下落するもんだねぇ…。行ったり来たりの横ばい値動きのダメージ、恐るべし…!
…でもこれはいい経験になった、必ず次に活かせると思うよ」

オ「漫然と眺めていたのではなく、一応意識して動いた上での失敗ということで、しっかり得るものがあったと思えるならば、それはそれで良いことかもしれませんね」

ス「月曜日は、この経験を踏まえて臨もうじゃないか」

オ「もちろん今日だって、ポジションを解消した瞬間から突然大きく動き始め、売らないほうが良かったという形になっていた可能性だって十分ありましたが、普通に考えてもうあまり動かないだろうと思った所から結局動かなかったということで、大切なのは確率論的な見極めということですね」

ス「裏目展開になっても、戦って、自分の判断で考えてのことなら、悔しいけど清々しくもあるだろうからね、じっくり考えて、引っ張らず、悔いのない選択を取ろう」

オ「オプション買いポジション保有中に無駄に手をこまねいて引っ張ってしまうのは命取りですから、決断を下すべき時はしっかりと下しましょう」
 

 


ス「…と、市場が終わってしまった」

オ「結局本日NVDAはその後若干の微落、しかしプットが大きく値上がりするレベルでもなく、コールは当然全商品値下がり、プットも、アウトオブザマネー商品が軒並み値下がりと、ほぼ横ばいで終えた形ですね」



ス「当然、僕の保有するコール&プット評価額は、結構大きく落ちてしまったね。でも一応、コール一点張りよりは、下落率は低い感じだね。それでも相当の目減りだけど。

…まぁこれは横ばいになるだろうと思いつつ行動に移せなかった自分が悪かったといえる、この悔しさをバネにしよう」

オ「この経験を今後に活かすという強い意志さえあれば、この失敗も無駄ではありませんね」



 

 




オ「本命株・NYMXは、最終的に前日比マイナスですが、途中は4ドル割れもあったため、昨日に続き市場終了間際に少し回復を見せていた、という感じです」



ス「これはよろしい。売却したコールの満期まであと2週間、取引の機会は10回…うーん、危険を承知で、追加でコール売りをしてみようか…?危ないかな?でも、仮に株価が爆上げしても大益を掴み損ねるだけで、損をするわけじゃないから、果敢に攻めてもいい気がするんだけどな…」

オ「あまり欲張らない方がいいと思いますよ」

ス「ま、来週以降の値動きの様子を見てだね」

 


オ「今週は、祝日もあり1日少ない取引機会でしたが、全く話にならない成績でしたね」

ス「資金はまたしてもガッツリ減りましたが、何となく、経験値は非常に大きく積めた気がするよ。いつも『今後に活かそう』とお茶を濁しているだけだったけど、今回は、自分でもこれは違うと感じる確かな手応えがあった。間違いなく、この経験はこれから先に生きていく感じになると思う」

オ「仮にただの強がりから来る言葉だとしても、そう思うことはとても大切なことかもしれませんね。来週以降、その意気を結果で示しましょう」