先週読み終えた裁判所案件文書に続き、こちら税金ハンドブックも、最後の付録の表を以っておしまいです。


妙に長ったらしい表ですが、現物株とオプションを組合わせて取引する際には有用なものかもしれません。


(その19:支払利息


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税と投資~個人投資家へのガイド~
(http://www.optionseducation.org/content/dam/oic/documents/literature/files/taxes-and-investing.pdf)


p. 40 付表II


次ページから始まる表は、連邦所得税に関する特定の取引の取扱いをまとめたものである。以下の記述は、国税庁 (IRS) に対して拘束力を持つものではないため、それゆえ、当局がこの扱いに異議を申立てないという保証はなく、もし意義が唱えられれば、その扱いが支持されることになろう。


法律は連邦議会によって制定されるかもしれないし、将来的に、以下に述べるものとは異なる税制上の処遇をもたらし得る規制が、国税庁によって発行されるかもしれない。特に、擬制売却ルールのオプション取引への適用に関するIRS指針は、もし発行されれば、この付表IIに記載されている税務処理に重要な影響を及ぼす可能性があろう。


各自の特定の状況に照らした取引の税制上の影響を検討する際は、税理士に相談することを強くお勧めする。

 

様々な戦略の影響


 

 

ポジション

保有期間への

影響

損失の繰延 (1)

利息および繰越日歩の資本化

1.

現物買い‐現物売り
(実質的に同一または実質的に類似)(2)

株が短期の保有であれば、打ち切り

OK

OK

2.

現物買い‐現物売り
(実質的に同一ではなく、実質的に類似でもない)

影響なし

なし

なし

3.

現物買い‐コール売り
(適格カバードコールではない)

     

a. 株の保有:

   短期

打ち切り

OK

OK

b. 株の保有:

   長期

(3)

OK

OK

4.

現物買い‐アットザマネーまたはアウトオブザマネーの適格カバードコール売り

     

a. 現物買い:
   利益または損失ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   現物の売却と同じ年、コールの損益は関係なし

影響なし

なし なし

b. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

影響なし

OK

なし

c. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

影響なし

なし なし

d. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   関係なし

影響なし

対象外

なし

e. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

影響なし

OK

なし

f. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   関係なし
   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

影響なし

なし なし

5.

現物買い‐インザマネーの適格カバードコール売り

     

a. 現物買い:
   利益または損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   現物の売却と同じ年、コールの損益は関係なし

(3)

なし なし

b. 現物買い:
   利益または損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   現物の売却と同じ年、コールの損益は関係なし

保留

なし なし

c. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

(3)

OK

なし

d. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

(3)

なし なし

e. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

保留

OK

なし

f. 現物買い:
   利益ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   損失で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

保留

なし なし

g. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   関係なし

影響なし

対象外

なし

h. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分に先立つ年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   関係なし

保留

対象外

なし

i. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

影響なし

OK

なし

j. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が長期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

影響なし

なし なし

k. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日未満 (4)

保留

OK

なし

l. 現物買い:
   損失ポジション
   コール売却の時:
   現物株が短期保有

   コールを買い戻す:
   利益で、現物の処分以後の年
   コール買い戻し後、株の保有期間:
   30日以上 (4)

保留

なし なし

6.

現物買い‐コール買い

影響なし

なし なし

7.

現物買い‐プット売り

影響なし

なし なし

8.

現物買い‐プット買い

打ち切り (5)

OK

OK

9.

現物売り‐プット売り

対象外

OK OK

10.

コール買い‐コール売り

打ち切り (5) OK OK

11.

コール買い‐プット買い

打ち切り (5) OK OK

12.

コール買い‐現物売り

打ち切り (5) OK OK

13.

コール買い‐プット売り

影響なし

なし なし

14.

プット買い‐プット売り

打ち切り (5)

OK

OK

15.

プット買い‐コール買い

影響なし

なし

なし

16.

コール売り‐プット売り

対象外

OK

OK

17.

プット買い‐現物売り

影響なし

なし なし

18.

コール売り‐現物売り

対象外

なし なし

19.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数先物売り(『実質的に重複』)(6)

打ち切り (5) OK OK

20.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数のコール売り(『実質的に重複』)(6)

打ち切り (5) OK OK

21.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数先物のコール売り(『実質的に重複』)(6)

打ち切り (5) OK OK

22.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数先物売り(『実質的に重複』ではない)(6)

影響なし

なし なし

23.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数のコール売り(『実質的に重複』ではない)(6)

影響なし

なし なし

24.

現物の買いポートフォリオ‐広いベースの米国株価指数先物のコール売り(『実質的に重複』ではない)(6)

影響なし

なし なし

 

 


1. ストラドルに相殺ポジションがある場合、ポジションを閉じる際に計上される損失は、損失ポジションへの『相殺ポジション』における、年末時点の含み益の範囲で繰り延べられる。繰延損失は、次年度に控除することが可能である。


2. その株が利益を持つもので、かつ特定の例外の対象であるような場合、利益は、その株があたかも空売りが行われた日の公正市場価値で売却され、直ちに買い戻されされたものとして計上される。含み益ポジションの取得ベースは、全ての確定利益によって増加し、また新しい保有期間が、あたかもそのポジションが擬制売却の日に取得されたかのように始まる。2004年の法律制定の結果、現物買い対現物売りは、税金ストラドルルールの観点から、現在相殺ポジションとして扱われ得るものである(注1および17-19ページ(米国投資の税金に親しんでおこう・その8: 相殺ポジション・税金ストラドルルール)参照)。空売りが行われ、かつその空売りが損失で閉じられた場合、その株が長期保有されていれば、その損失は自動的に長期損失となる。


3. コールが売却された時に現物株が長期保有されていれば、そのコールからの損失は、長期キャピタルロスとして取り扱われることとなる。


4. 通常、株式が相殺ポジションなしで保有されている日のみがカウントされる。しかしアットザマネーまたはアウトオブザマネーの適格カバードコール売りをしている間は、保有期間はカウントされ続ける(ただし、インザマネー適格カバードコールは対象外)。


5. 保有期間は、相殺ポジションにエントリーした時点で、現物買いまたはオプション買い(または、場合によっては買いポジションの株式ポートフォリオ)が短期間保有である場合、打ち切りとなる; ストラドルの一部である任意のポジションの保有期間は、相殺ポジションを保有しなくなった日よりも早く開始することはない。しかし、ストラドルが生み出された時にそのポジションが長期保有であったならば、それは長期保有であり続けるが、相殺ポジションの損失も長期となる。


6. その株が広いベースの株価指数に含んでおり、かつ同じ投資家が保有する株式ポートフォリオが『実質的に重複する』場合、株式ポートフォリオのポジションとその指数に基づく金融商品のポジションとを相殺することは税金ストラドルルール(損失遅延ルールを含む)および『混合』ストラドルルールの対象となる。財務省規定は、ポートフォリオと指数との間の重複額と、税金ストラドルルールの適用範囲とを決定する、客観的な機械的テストを提供している。


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唯一最後まで気になったのは、表8番の、現物買い&プット買いです。なんと、保有期間は『打ち切り』となっているからです。
というのも、本命株・NYMXで昨年末、株主総会年会後の暴落に備えて、保険としてプットを購入していたため、これのせいで保有期間が打ち切り・リセットされていては大変困った話になるからです。


このハンドブックの以前の章で『マリード・プットはその例外』とあったので証券会社に質問したのですが、当時の聞き方が悪くまともな答えが返ってこなかったので(税金中心の聞き方をしてしまい、『税金については税理士に聞いて』と丸投げされてしまいました)、改めて自分の現状を具体例にして聞いてみました。


質問: 2016年1月にNYMX株を2万株以上購入し、2016年12月にNYMXのプットを5枚購入した。
ものの本によれば、プットの購入は現物株保有期間のリセットにつながるらしいのだが、このプットの購入により、まさか保有中の2万株以上の全ての株の保有期間がリセットされてしまうのか?
常識的に考えれば、プット5枚分、つまり500株分だけがリセットされてしまうのだと思うが、詳細不明なので確認したい。よろしく。

 

 

…回答は、なんと!…まだもらえていません。問合せフォームでメールを送ってから結構時間が経つのに、忘れられているのかもしれません。

一応、改めて見直したらプットはわずか5枚しか買っておらず、多分、上の質問で書いたように、保有期間がリセットされるとしても500株分のみではないかと思うので特に問題ないとは思うのですが…。

 

今後回答をもらえたらこの記事をアップデートしておくので、気になる方は(多分いないでしょうが)時間を空けてまた見ていただければ幸いです。

 

 

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※追記: ようやく返事がもらえました。

 

 

回答: プロテクティブ・プットを保有し始めた場合、IRSは、保有期間の一時停止を考慮するかもしれません。しかし、当局は、純粋にプットの購入のみに基づいて、自動的に現物株の保有期間を短期とみなすようなことはしないでしょう。
ご自身の取引への影響に関するさらなる詳細は、税理士に相談されることを推奨します。

 

 

…ということで、正直何とも頼りない回答しかもらえませんでしたが、やはり常識的に考えて、プットを購入したからといって、少なくとも保有分全ての保有期間がリセットされてしまう、ということはないように思います。証券会社によると、プットの購入ではリセットではなく一時停止であろうとのことでしたが、正直証券会社も結構普通にウソをついてくるので、若干信用なりません。

今後NYMXの現物株を売却することになって、その時に覚えていたら、実際保有期間がどうなっていたか追記しようと思います。