祝日により市場がお休み時のちょうどいいネタつぶしということで、先週読んで途中になっていたNYMX特許書類の背景部分を終わらせておこうと思います。

 

2017/02/14 爆上げ間近か?!本命バイオの特許書類を読んでおこう
2017/02/15 (続き)本命バイオの特許書類を読んでおこう・がん治療薬の基礎知識編1
2017/02/16 (また続き)本命バイオの特許書類を読んでおこう・がん治療薬の基礎知識編2

 

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良性前立腺肥大を患っている患者における、手術の必要性を減らす手法
(http://appft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=1&f=G&l=50&co1=AND&d=PG01&s1=nymox&OS=nymox&RS=nymox)

 

[0027]段落より

 

BPH(前立腺肥大)は、アンドロゲンおよびエストロゲンの両方の活性の増加によって引き起こされる。このようなBPHの病因の二面性のために、これまで提唱されてきたホルモン療法は満足のいくものではなく、どれも予測不能であり、しばしば許容できない副作用を引き起こしている。さらに、先行技術の治療法は、症候に一貫しない影響を与えつつ、前立腺容積に対して約20~30%を超える減少を示すことはほとんどなかった(ScottおよびWade、J. Urol.、第101巻、p.81-85 (1969); Caineら、J. Clin. Endocrinol. Metab.、第64巻、p.1331-1333 (1987); Gabriloveら、J Clin. Endocrinol. Metab.、第64巻、p.1331-1333 (1987); Stoneら、J. Urol.、141: 240A, 1989; Clejanら、J. Urol.、第141巻、p.534A (1989); Stuner, E.、良性前立腺肥大における5α-レダクターゼ阻害剤の役割に関する講演、第84回AUA年会、ダラス、1989年5月8日。

 

上記に要約されたメカニズムの解明は、BPHの進行を制御し、多くの場合は逆転させるような効果的な薬剤の開発につながっている。こういった薬剤の最前線にあるのは、メルク社の製品PROSCAR(フィナステリド)である。この化合物の効果は、酵素テストステロン5αを阻害することである。これはテストステロンを5α-ジヒドロテステロンに変換し、前立腺肥大率を低下させ、しばしば前立腺質量を減少させるレダクターゼ阻害剤である。

 

PROSCARのような薬剤の開発は、 BPHの長期的な制御の吉兆である。しかし、この症候の長い成長から見て取れるように、その逆転も即時ではない。その間に、BPHに苦しんでいる男性は引き続き苦しみ続け、実際この薬が十分迅速に働いているという希望を失うこともあり得る。

 

この問題に対応するための1つの解決法は、急性緩和をもたらすことにより遅効性治療薬を補完する、薬学的に活性な化合物を同定することである。α1アドレナリン受容体に結合することによって下部尿路組織の弛緩を誘発することで疾患に起因するアドレナリン作動性緊張を低下させる薬剤は、この活性の良い候補である。そして、そういった薬剤の1つにアルフゾシンがあり、これはEP 0 204597にて、前立腺肥大の症状において排尿を誘導すると報告されている。同様に、WO 92/00073では、テラゾシンのR(+)光学異性体の、α1サブタイプのアドレナリン受容体に結合する選択的能力が報告された。さらに、WO92/16213では、5α-レダクターゼ阻害化合物と複数のα1-アドレナリン受容体遮断薬(テラゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、ブナゾシン、インドラミン、アルフゾシン)の組合せが公表された。しかし、これらの化合物のα1d、α1bまたはα1aサブタイプの特異性に関する情報はこのデータでは提供されておらず、BPHの治療への関連性は知られていなかった。現在のBPH治療法は、プラゾシン(商品名Minipress、ファイザー)、Terazosin(商品名Hytrin、アボット)、またはメシル酸ドキサゾシン(商品名Cardura、ファイザー)といった既存の非選択的α1拮抗薬を使用している。これらの非選択的拮抗薬は、末梢血管系におけるα1dおよびα1b受容体の拮抗作用に関連する副作用、例えば低血圧および失神に悩んでいる。

 

ヒトα1aアドレナリン受容体(ATCC CRL11140)のクローニングおよびクローン化ヒトα1a受容体を用いたスクリーニング試験の使用により、ヒトα1aアドレナリン受容体と特異的に相互作用する化合物の同定が可能となっている。 [1994年4月14日に公表されたPCT国際出願公示WO94/08040号および1994年5月26日に公表されたWO94/10989号]。1996年5月23日に公表されたWO96/14846号では、広範なジヒドロピリミジン化合物属が公示され、それらをヒトα1a受容体に対する選択的拮抗薬として使用することが提唱されている。複数の化合物が、クローン化ヒトαアドレナリン受容体を用いて試験され、そのように試験された化合物のいくつかは選択的α1a拮抗薬であることが公表された。

 

他にも、選択的細胞除去が望ましいような、好ましくない細胞要素が関与する状態が存在する。例えば、心臓病および脳卒中は、一般に、アテローム性動脈硬化によって引き起こされる。アテローム性動脈硬化とは、血管壁を歪ませ、血管内腔を狭窄させ、血流を妨げ、病巣血栓を誘引し、最終的に閉塞および梗塞に至る、線維脂肪および平滑筋類似細胞要素の増殖性病変である。アテローム性動脈硬化症には以下のような様々な治療法がある: バイパス移植; 人工移植; 再疎通、掻爬、放射線、レーザー、またはその他の除去を伴う血管形成; 脂質減少を通してアテローム性動脈硬化を抑制する薬物療法; 抗凝固療法; 食事、運動、および生活習慣の一般的な計測等。アテローム性動脈硬化病変を外科的処置のリスクおよび副作用なしに除去する手法が必要とされている。

 

選択的細胞除去が望ましい、好ましくない細胞要素の他の例には、疣贅(いぼ)などのウイルス誘発性成長が含まれる。別の例には、炎症状態に見られる肥大性炎症塊、および肥厚性瘢痕またはケロイドがある。さらに他の例は、例えば顔の毛といった望ましくない毛髪の除去のような美容的側面において、または顔面の真皮および結合組織もしくは四肢の真皮および結合組織といった部位における、美容目的での好ましくない組織領域の収縮といったものに見出される。

 

選択的細胞除去または細胞増殖の阻害が望ましい、好ましくない細胞要素の他の例としては、弁(例えば、大動脈弁口の狭窄を伴う大動脈弁狭窄症)、冠状動脈(例えば、冠状動脈の入口部の狭窄を伴う冠状動脈入口部硬化症)、頸動脈および腎動脈が挙げられるがこれらに限定されることはない、循環系における動脈、弁または管の狭窄および再狭窄が挙げられる。他の例には、尿路内および胆管内部で狭窄または動脈瘤を治療するために血管内に配置または埋め込まれたステントのような医療機器の部分的または完全な閉塞を引き起こす、好ましくない細胞増殖または蓄積の、阻害または除去が含まれる。

 

さらに他の例は、本技術の当業者には明らかであろう。こういった例の全てまたは大部分において、従来の治療法のリスクおよび副作用なしに不要な細胞要素を除去または破壊することができるか、または不要な細胞要素をより正確に除去することができる治療法が必要とされている。

 

この記述を通し、関連技術の前述の説明を含めて、いかなる米国公開特許出願をも含む本特許明細書に記載されている全ての公に入手可能な文書は、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれている。関連技術の前述の説明は、いかなる形でも、係属中の米国特許出願を含む、そこに記載されている文書のいずれもが本公示の先行技術であるという承認として意図されているものではない。さらに、記載された製品、手法、かつ/または装置に関連するあらゆる不利益に関する本特許明細書の記述は、実施態様を限定する意図のものではない。実際、実施態様の性状は、記載された不利益にかかずらわれることなく、記載された製品、手法、かつ/または装置の特定の特徴を含み得るものである。


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…何だか、特に後半はほとんどBPHとは関係無いように感じる例ばかりが大量で、「それ、本当にこの特許案件に今必要な情報か…?」(結局各例とBPHの関連性は述べられていませんし…)と思わないでもありませんでしたが、まぁ背景知識というのはそんなものかもしれませんね。

 

無事36段落までの背景知識が終わりましたが、退屈な書類はこれぐらいで終わろうかとも思ったものの、背景だけで終わるのも何のこっちゃ意味が分からないですし、せめて特許内容の要約部分ぐらいは、続く6段落で簡潔にまとまっているようなので、他に話題がない時の時間つぶしにでも読んでおこうかなと思いました。