(前回のあらすじ)
少ない資金で何とか利益を得ようと、極めてギャンブル要素の高い銘柄GSAT(電波使用権をめぐり、連邦通信委員会による決定投票が待たれている。現在、5名中2名が反対票を投じ、絶体絶命?!)に注目してみたスライム。


今週金曜満期のプットオプションを売り、このまま株価が1ドルを割らなければ、破格の10%の利益が得られる可能性もあるが、果たして…?!

 

 

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スライム「GSATはどうなりまして?!」


オプーナ「本日は、日中微妙に下がっていたとはいえ、最後は前日と同じ価格、つまり何もニュースはなく、大きな動きもなく、といった感じでしたナ」

 

 

ス「ふぃーっ、1日生き延びたね…」


オ「プットを売ったわけでもないのに、やけにのめり込んでいますね。『生き延びた』ということは、もう暴落待ったなしかと思っているわけですかナ?」

 

ス「それはそうでしょう。GSATによる電波使用の請願に反対しているのは、マイクロソフトにグーグルですよ?オ師匠はこの2企業を相手に戦って、勝てる自信がおありなんですか?」

 

オ「もちろんまともにやり合って勝てる人などこの世に存在しないでしょう。しかしビジネスとは一筋縄ではいかないもの…。

…これはYahooのMessage Boardの書き込みなので便所の落書き程度の、噂未満の話でしかないですが、『ひょっとするとGoogleやMicrosoft、あるいはAmazonやFacebookなんかがGSATを買収する可能性があるかもしれない。もしそうなっても僕はなんら驚かないよ』などといった書き込みも見られていましたよ」


ス「オ師匠にしては何とも胡散臭い情報ソースですが……結局どうなるかは投票次第、今はどんな情報も推測の域を出ないってやつなんでしょうかね」


オ「もっともMessage Boardでも『承認もされてないのに買収だって?こいつぁお笑いだよHAHAHA』的な反応をもらったりもしていましたが…。

   しかし、動かなかった株価とはうって変わって、オプション板の方は昨日とすっかり様相が変わっているようですぞ。これは本日市場が終わる直前のオプション板ですが…」

 

 


ス「あぁっ…!行使価格1ドルのプット、買いたい人と売りたい人の割合が、昨日とはまるで逆転している!!『売りたい』っていう人の割合が圧倒的になった!」

 

オ「もっとも、注文板の気配なんてものも特に参考になるものではない可能性も高いですが、少なくともこの気配を見る限り、『今週1ドルを割ることはないだろう』と思う人が増えてきたともいえますね。

   もちろん期限が迫ってきて単に売り方のチャンスが大きくなってきただけというのもあると思いますが、幸い取引価格自体は先日と変わっていません」

 

ス「むむ…。コールの方に目をやると、プットを売りたい人が増えたのと同じく、『コールを買いたい』って人も実はかなりいるんだね。市場は意外とGSATの状況に楽観的なのかな?」

 

オ「コールの厚い買い注文は実は昨日の時点でもそうだったんですが、いずれにせよ近日中にニュースが出るかもしれなくて、しかもそれはポジティブなニュースだと思っている人が少なからずいることは間違いないと考えて良さそうですナ」

 

ス「むむむ…。今日も結局じっくり様子を見るという建前のもと注文せずじまいだったけど、大きな値動きがあってからじゃ遅いのもまた事実だもんね…。200ドルのためにリスクを負うべきか…。

   ん?プットの売りは『利小損大』などとよく言われますが、もしかして上手くいけば結構大きい利益を出すことも可能だったりするんじゃないですかね…??」

 

オ「と言いますと?」

 

ス「ディープインザマネーのオプションって、ほぼ確実に権利が行使されてしまうわけだし一見ものすごく危険な気がするんですけど、実はよく見たら、高い行使価格は高いプット売却資金で相殺される感じなので、そんなにヤバイ商品でもない、いやむしろ潜在利益でいうとかなりイケてるんじゃないかと思いまして…。


   例えばですよ、行使価格5ドルのプット、これは現在3.7ドルのBidがついていますが、このBidにしたがって3.7ドルで売りに出したとしましょう。

   そうすると、権利が行使されて5ドルで株を買わされても、3.7ドルのプレミアムをゲットしているんで、実質1株1.3ドルで購入することになる…。今現在の株価は1.1ドルなわけですし、そんなに極端に高値で購入する羽目になるわけじゃないんですよね。

 

   で、僕の余力だとこのプット、14枚ぐらいは売れる感じなんですが、このプットを14枚売って得られるお金がこちら↓

 

 

…ちょっとちょっと、2000ドル弱の元手で、5168ドルが手に入るって、これは何事です?僕何も間違ったこと言ってませんよね?」

 

オ「間違っていませんよ。もっとも、権利が行使されたら、5ドルで1400株買わなければいけない、つまり7000ドル使わなければいけない訳ですが。プットの売上5168ドルと、スライムさんが現在お持ちの2000ドル弱の、そのほとんどを使う形ですね。


   正確には、もし権利行使時の株価が1.3ドルであったら、即株を売ればトントンの収支、万一1.3ドルより高くなっていれば、その株価で即株を売ればその差分だけ儲け、しかし1.3ドルより低ければ、プット売りは失敗だった(=その時の株価で株を買った方がトータルでお得だったことになるため)、という感じで、通常のプット売りと特に違いはないですナ」

 

ス「しかし、もし万一賛成票が集まって電波の利用が承認されたりなんかして、株価が5ドルを超えちゃったりでもしたら、その時は5000ドル丸儲けなんですよね?!

   そこまで行かなくても、例えば株価が今より1ドル上がったらプットの価格は1ドルかそこらは下がるだろうから、そこでプットを買い戻せば、十分な利益が上げられるじゃないですか!

…プットが利小だなんてウソだったんや、ワイは危うく騙されるところだったんや!!」

 

オ「プットの『利小』は、『得られる利益が最大でも売ったプレミアムに限られる』と言うことであって、特に値の大小を論じたいわけではないでしょう。
…しかし、行使価格が高くなればそれだけ得られるプレミアムも高くなるので、スライムさんの言うこともあながち間違いというわけではありませんがナ」

 

ス「それなら可能な限り高い行使価格のプットを売った方がお得なんじゃありませんこと?だってその方が得られる最大利益が大きくなるんですもの!」

 

オ「そこは言うまでもなく『リスクと引き換え』になっているわけですよ。

 

   行使価格1ドルのプットを現在Bidの0.1ドルで売ったとすると、満期日における『利益⇔損失』のボーダーライン株価は、1-0.1=0.9ドルになるわけですね。

   これは、これまで何度も言っている通り、満期日の株価が0.9ドル以上であれば、例え権利を行使されても即株を売ればトータルでは利益が出る、しかし0.9ドル未満であれば、その時の株価で株を買う方がお得であるので、このプット売りは完全に失敗であった…となるからだということですね。

 

   そこで一つ上(オプション板画像では「下」ですが)の行使価格1.5ドルのプットを見てみると、現在Bidは0.40、つまり『利益⇔損失』のボーダーラインが、1.5-0.4=1.1ドルになるわけです。満期日に、1.1ドル以上の株価になっていてようやく利益を出せる、という形ですね。


   もちろん取引されたタイミング等で若干ずれることもありますが、一般的には、行使価格が高くなるほど、利益を上げられる目標株価も高くなる、つまり利益を出せる確率がぐっと低くなる、というわけですナ。


   見た目の売上げ代金の大きさに目を奪われてばかりいてはいけない、ということです」

 

ス「う~ん、でも、爆上げを期待しているなら、かなり高い行使価格のプットを売るのもありだよね?だって爆上げしてさえくれれば、超高いプット売却代金が丸々懐に入るんだから!」

 

オ「それは確かに…と言いたい所ですが、実際は、それはあまりいい選択とは言えないでしょう。本当に爆上げを期待しているなら、わざわざプットを売ったりせず、現物を買えばいいわけです。

 

   あるいは、暴落する可能性もあるけど暴騰する可能性にも賭けたい、なんていうまさに今回のようなケースでは、ある程度リスクヘッジしながら爆上げに賭けてみたい、というのであれば、コールを買うのもいいかもしれませんね。

   これはもちろん、現物を買ってしまうと、大暴落した時に目も当てられないけれど、コールの買いであれば、失うのはコール代金のみに限られる、という理由によるものですナ。

 

   プットの売りというのは、あくまでも値動きが小さいと予想される時に高確率で利益が得られるように設計されているものであり、積極的にディープインザマネーのものを売って暴騰を期待する、という類の商品ではないでしょう」

 

ス「ちぇーっ、いい考えだと思ったのに、何だか長い説明を聞かされただけで、損した気分だよ」

 

オ「……」

 

 

ス「しかし、話は戻りますが、そもそもGSATって何をしてるんです?電波がうんぬん言われていましたが、まさか電磁波の研究をしてるわけじゃないですよね?何だか怪しい気配が…」

 

オ「今日は特に目ぼしいニュースもなかったですからナ、GSATの公式サイトを見てみるとしましょう」

 

 

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グローバルスターのTLPS
(http://www.globalstar.com/en/index.php?cid=6200)

 

Wi-Fiスペクトルが切れかかっている!
アメリカでは、利用可能なWi-Fiスペクトルが不足してきています。Wi-Fiデバイスの増加と消費者による取入れにより、他のどんなメディアよりもWi-Fiによってデータが通信されることで、『Wi-Fi渋滞』が引き起こされています。消費者はこの渋滞に、非常に混雑した場所(例えば空港ターミナル・アパート・学校・大通り沿いの人気コーヒーショップ)でモバイルコンテンツをダウンロードしようとした時に遭遇します。この、ダイヤルアップよりも遅いスピードは、今やかなりの消費者の不満を引き起こしています。

 

残念ながら、Wi-Fiデバイスの増加と消費者による取入れは指数関数的に増大を続けることから、この混雑は、近い将来、一層悪くなるばかりです。

 

産業界と連邦通信委員会 (FCC) が、この混雑を解消するための新しいスペクトル帯を同定してはいますが、消費者がその恩恵にあずかれるまでは複数年はかかると思われます。

 


グローバルスターの迅速な解決策
【TLPS(地上波低出力サービス)】
グローバルスターの衛星スペクトルは、公共のWi-Fiバンドに隣接して存在し、仕事と遊びでモバイルブロードバンドの能力を頼りにしている何百万という消費者により良いワイヤレス生活を享受していただくべく、この国のWi-Fiのキャパを『今すぐ』完全に3分の1は増やすことができます。

 

グローバルスターはこの革新的なサービスをTLPSと称し、2012年11月に、これを提供する権限をFCCに請願しました。2013年11月1日に、FCCは、グローバルスターによるTLPSの公衆利用を可能にする公式な手続きを始めるための、規則制定案告示(NPRM)を発令しました。

 

我々の最初の試験の結果では、TLPSは公衆Wi-Fiの5倍の距離および4倍の処理能力を持つことが示されています。

TLPSと試験の結果についてもっと知りたい方は、下のリンクをご覧下さい。
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ス「…うん、僕にはよく分からないから聞いてもあまり意味がなかったけど、とにかく無線データ通信に革命を起こそうとしているんだね!」

 

オ「そして、最近になってマイクロソフトとグーグルが、『この技術は既存のWi-Fiに対して干渉問題を起こすかもしれんぞ』とイチャモンをつけてきたわけですが、実は調べてみると、時系列としては以下のようになっていたんですね」

 

 

・マイクロソフトとグーグルによる反対(昨年のこと)
→Tom Wheeler委員長による、『GSATに許可を与える方向で』という提案(=5/16、株価爆上げ)
→2人の委員が、MSとGoogleの意見を踏まえて反対票を投じる(=6/3、株価爆下げ)

 

(5月16日の記事、グローバルスターがGoogleとMicrosoftを打ち負かすかも!より)
(http://www.investors.com/news/technology/globalstar-pops-may-defeat-google-microsoft-on-wi-fi-spectrum/)

 

 

オ「スライムさんが暴騰暴落銘柄をまとめ始めたちょうど前日に、GSATの株価は爆上げしていたんですナ」

 

ス「へぇ~。ラスボス2人に反対されていたけど、それでも委員長はゴーサインを出した、という時系列を見ると、『あれ、これいけんじゃね?』って気がしちゃうね…!」

 

オ「もっとも、最新の動きは先日触れた通り、『2名が反対票を投じた』ことであるので、予断を許さない状況であるのに変わりはないと思いますが…」

 

ス「明日の値動き、要チェックや!プットを売る気が、否が応にも高まってきたよ!!」

 

オ「なんだか昨日も似たようなことを言っていましたし、そんなこと言っている内に大きく動いてしまうか、結局決心がつかぬまま機会を逸してしまうかどちらかのオチが見えてきそうな感じですが…」

 

 

 

【暴騰暴落銘柄推移表】

銘柄 業種 登場日 登場日の株価(前日比) 登場~本日までの値幅 本日の株価(前日比)
GBSN (Great Basin Scientific) バイオ 5/18

↑3.65

(110.98%)

1.63-3.65

↑1.86

(3.33%)

CLRB (Cellectar Biosciences) バイオ 5/20

↑3.45

(228.57%)

3.00-4.07

↑3.31

(1.53%)

INNL (Innocoll Holdings) バイオ 5/25

↑10.51

(47.82%)

8.85-11.94

↓8.85

(-19.18%)

EBIO (Eleven Biotherapeutics) バイオ

6/2

↑1.78

(34.85%)

1.69-2.39

↓2.24

(-6.27%)

LBIO (Lion Biotechnologies) バイオ

6/3

↑8.65

(43.45%)

7.37-8.65

↑7.54

(2.31%)

HMNY (Helios and Matheson Analytics) IT

6/6

↑7.22

(549.16%)

7.22-13.75

↓9.87

(-4.68%)

CALI (China Auto Logistic) 自動車販売

6/7

↑2.48

(136.19%)

1.85-2.48

↓1.94

(-8.49%)

BSPM (Biostar Pharmaceuticals) バイオ

6/8

↑4.12

(200.75%)

3.33-4.84

↑4.84

(28.72%)

SPHS (Sophiris Bio) バイオ

6/10

↑1.98

(69.23%)

1.98-2.16

↑2.16

(2.86%)

OSG (Overseas Shipholding Group) 輸送

6/13

↑10.90

(473.68%)

10.51-10.90

↓10.51

(-3.58%)

LBIX (Leading Brands) 飲料

6/14

↑2.53

(68.67%)

- -
SDR (SandRidge Mississippian Trust II) オイルガス 5/17

↓1.47

(-20.97%)

1.42-1.83

↓1.68

(-2.89%)

NERV (Minerva Neurosciences) バイオ

5/23

 

5/26

↓4.02

(-17.45%)

↑11.80

(233.33%)

3.54-14.33

↓9.65

(-4.83%)

IONS (Ionis Pharmaceuticals) バイオ 5/26

↓21.36

(-39.42%)

21.36-24.29

↑22.34

(4.05%)

HERO (Hercules Offshore) オイルガス 5/27

↓1.02

(-47.42%)

1.02-1.99

↑1.22

(0.83%)

GSAT (Globalstar) IT 6/3

↓0.9437

(-54.85%)

0.94-1.27

↓1.105

(-0.45%)

DRYS (DryShips) 輸送 6/7

↓1.29

(-45.34%)

1.00-1.29

↓1.00

(-11.95%)

FCSC (Fibrocell Science) バイオ 6/8

↓1.26

(-36.68%)

0.94-1.26

↓0.94

(-12.95%)

BLPH (Bellerophon Therapeutics) バイオ 6/10

↓2.27

(-24.58%)

2.15-2.27

↓2.15

(-0.92%)

MRNS (Marinus Pharmaceuticals) バイオ 6/13

↓1.62

(-69.66%)

1.43-1.62

↓1.43

(-11.72%)

INFI (Infinity Pharmaceuticals) バイオ 6/14

↓1.35

(-69.39%)

-

-

 

ス「注目していたNERVやHMNYは、若干下がってきてしまっているね。まだまだここからとはいえ、飛びつかなくて良かった、って所かなぁ?」

 

 

 

 

 

ス「NYMXが爆発する気配は…なさそうですかね?」

 

オ「大抵『気配』など気のせいであることが多いですからナ、あまり期待せずじっくりと待つより他ないでしょう」

 

ス「薬の認可は、電波認可なんかよりも遥かに政治色が弱い気がするから、僕は好きだな!本当に効く薬だったら、それは誰にも否定できないものだからねっ!」

 

オ「電波の方も、本当に『既存の技術と干渉しない』ということを立証できれば、反対意見はなくなりそうな気もしますが、果たして実際の所はどうなんでしょうかナ…」