資格を取り、経験を積み、目の前の仕事に全力だった20代。
そして、責任や葛藤が増えていった30代。
「このままでいいのか」と揺れながらも走り続けていたあの頃を、
40代の私が振り返ると、積み上げてきた日々の先に、
ようやく“自分らしい進み方”が見えてきました。
やる気と根拠のない自信に支えられた20代
20代の私は、やる気にみなぎっていました。
福祉の現場で働きながら勉強し、
社会福祉士、介護福祉士、ケアマネジャーの資格を取得。
福祉の先進国・デンマークにも留学し、
「私が日本の福祉をより良くするんだ」と情熱に燃えていました。
根拠のない自信と、がむしゃらな行動力。
学ぶこと、挑戦することが楽しかったし、
もっとすごい自分になれると信じていました。
“正解のない世界”で自信をなくした30代
30代になると、状況は一変しました。
取るべき資格は取り終え、職場では中堅と呼ばれる立場に。
上司と部下の間で板挟みになりながら、
現場の最前線に立っていました。
「それは違うんじゃない?」
「ここではこうすべきでしょ」
そんな言葉に、少しずつ自信を失っていったように思います。
仕事の責任は増え、
家庭では結婚・不和・流産・出産と、人生の転機が重なりました。
「仕事も家庭も」と頑張るほど、自分の時間が消えていくようでした。
いつの間にか、“誰かのために動くこと”が当たり前になっていたのです。
それでも、すべての経験が糧になっている
あの10年が無駄だったとは思いません。
憧れだった地域包括支援センターでの経験、
利用者さんや同僚との出会い。
一つひとつが、私という人間の“根っこ”を育ててくれました。
困難なケースも多かったけれど、
そのたびに人の強さや温かさを知った。
だから後悔はありません。
ただ、もしも30代の自分に声をかけられるとしたら——
「頑張る」より、「整える」時間を持とうね、と伝えたい。
自分と向き合って、整理すること。
計画を立てて、自分を大切に扱うこと。
それができたら、きっともう少しラクに進めたと思うのです。
30年後から逆算して考えてみる
40代になり、やすこ先生と出会って学んだのが、
「30年後からのバックキャスト」という考え方です。
70代の自分が、どんな表情で、
どんな暮らしをしているのかを思い描いてみると、
いま大切にすべきことが、少しずつ見えてきました。
30年後の笑顔で暮らしている私——
そのために必要なのは、完璧なキャリアでも、他人の評価でもありません。
自分が命を燃やしてやりたいと思うことに、
挑戦できているかどうか。それがすべてだと思うのです。
焦らず、自分のペースで、心が納得する選択をしていけばいい。
未来から今を見つめると、そんなふうに思えるようになりました。
資格も経験もあったけれど——私が30代で見失っていたもの
30代の私は、“目の前の課題をひたすら頑張ること”が
成長だと思っていました。
けれど、40代の今は思うのです。
キャリアとは、肩書きやスキルのことだけではなく、
何を大切に想い、どんな自分でありたいかを
実践していくことなのではないかと。
過去の努力を否定する必要はありません。
積み上げてきた道をどう紡ぎ直すか——
そこにこそ、これからの人生の可能性がある。
積み上げてきた経験は、これからの“素材”でもあり、
時に“道しるべ”でもあります。
ありたい未来の自分を思い描きながら、
今の一歩を丁寧に積み重ねていきたいと思います。


