自分の能力を疑い、すべて投げ出したくなる日がある。

その裏には、「うまく言葉にできないつらさ」が

隠れていることもあります。

「できなかった自分」を全否定してしまうとき

「私ってやっぱりダメだな」「終わってるな」
そんなふうに、自分の存在をまるごと否定したくなる瞬間があります。
本当は、ひとつのミスやうまくいかない出来事があっただけなのに、
“できなかった自分”に引きずられて、
まるで「全部がダメ」かのように感じてしまう。
それは、真面目に頑張っている人ほど陥りやすい感情のループです。
結果が出ないと自分の価値まで消えてしまったように感じる。
でも、失敗やつまずきは「今の状態」を表しているだけであって、
あなたの価値そのものを決めるものではないはずです。

 

「終わってる」と思ってしまう理由

実は、こうした自己否定感は決して珍しいものではありません。
日本労働組合総連合会の調査(2023年)によると、
「自分の能力不足がストレスになっている」と感じている人は全体の45.2%。
約2人に1人が、自分にダメ出しをしながら働いているという現実があります。
「もっとできなきゃいけない」「期待に応えられていない」
そう思えば思うほど、自分の中に“足りない”部分を見つけては落ち込む。
「終わってる」と感じるのは、
本当にダメなわけではなく、
がんばり続けてきた自分の心が、

少しだけ疲れているサインなのかもしれません。

 

感情がうまく言えない私へ

「なんでこんなにしんどいのか、よくわからない」
そんなふうに、
自分の気持ちがつかめなくなることはありませんか?
それは、アレキシサイミアという“感情に気づきにく

い心の傾向”かもしれません。
国立精神・神経医療研究センターの研究では、
アレキシサイミア傾向のある人は、

自己否定感が強まりやすいことが分かっています。
そしてこの傾向は、日本人の約10%に見られるとも言われています。


「自分の気持ちがよくわからない」という状態は、
決して“おかしなこと”でも“弱さ”でもありません。
むしろ、心が自分を守るために感じる力をセーブしている状態とも言えるのです。
だからこそ、
「私はいま、なにを感じているんだろう?」と立ち止まること。
それだけで、心の奥で押し込めていた感情が、
少しずつ輪郭を取り戻していくかもしれません。

立ち止まることは、終わりではない

「終わってる」と思ってもいい。責めてしまってもいい。
そのままのあなたが、ここにいていい。
立ち止まっていることは、決して“止まったまま”ではなく、
次に進むための助走期間かもしれません。
無理に元気を出す必要もない。
ポジティブにならなくてもいい。
自分の心の声を、ひとつずつ取り戻していくことが、
あなたをまた「今ここ」に連れてきてくれます。
大丈夫。あなたは終わってなんかいない。

 

おわりに

「終わってる」と感じるほど、あなたは頑張ってきた。
だからこそ、これからは、少しだけ優しくあってほしい。
感情に気づくこと。立ち止まること。ひと息つくこと。
それは“前に進む力”と同じくらい、大切なことだと思うのです。

 

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