『相棒 season9』を見た。
相棒は毎回、杉下と神戸が理論と物証に基づく、鋭い斬り込みで犯人を追いこむドラマなんだが…。
昨日のは我が身、いやこの日本の闇の縮図とも言えるものの犠牲者の話だった。
その犠牲者はビルの屋上から転落死。その両腕には刃物傷があった。
それを杉下と神戸が捜査していった事で浮き彫りになった、残忍な社会と冷酷非情の人間関係。
結果を言うとこうなる。
1:正社員になる約束をされていた会社から突如、解雇される。
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2:犠牲者には婚約者が居るが、この解雇を知り、助けるどころか逆ギレして犠牲者を散々罵倒。
怒り心頭となったこの女は婚姻届を目の前で破り、それを叩きつけて一方的に破談した。
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3:破談の追い打ちをかけるように解雇された事を知ったアパートの大家は、
払える見込みの無くなった犠牲者を厄介者扱いして、即日退去させる。
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4:婚約者に捨てられ、大家にアパートを追い出された犠牲者は家族を頼り、実家に戻る。
しかし彼に待っていたものは、受け入れ拒否という冷酷な仕打ちによる門前払いだった。
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5:残された資金を使い、ネットカフェ難民となって就職活動を続ける。
だが、様々な資格を持っていようとも、犠牲者を受け入れる気など無い…。
企業の無慈悲で残忍な本性を垣間見る事に。
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6:ネットカフェ生活による就職活動で生活資金すらも枯渇した犠牲者。
役所で生活保護を申請するも「受付した者の判断」で即刻不認可。
とうとう、スーパーなどの試食コーナーを渡り歩いて食い繋ぐ生活になるまで困窮する。
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7:ドーナツ屋の試食で遂に犠牲者を追い込む言葉が放たれる。
「気に入ったら買って行って下さいね」
これを聞いた犠牲者は籠に会ったドーナツを丸ごと奪って逃走する。
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8:追い出されたアパートの前にある公園にふと行きついた犠牲者。
そこで彼が見たものは余りにも無残な現実。
そのアパートに、新しい入居者が荷物を運び入れている現場だった。
これで住所不定となり、就職活動も不可能となった。
会社と婚約者に捨てられ、家族や行政にも見放された犠牲者は、
最早這い上がれぬほどの絶望に突き落とされた。
怒りと絶望の涙に顔を濡らす犠牲者。それは彼に死を選択させるには十分過ぎた…。
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9:とあるビルの屋上で彼は実行に移す。
持参した包丁で誰かに襲われたかのような刃物傷を両手両腕に次々と付けていく犠牲者。
その痛さは尋常ではなかっただろう。だが、死を決めた犠牲者はもう躊躇わなかった…。
一通り傷を付けた後、屋上の縁に腰掛ける犠牲者。
全てに捨てられ、見放された彼には絶望しか残されず、そのまま頭から落ちて自ら命を絶った…。
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10:『社会』に殺された犠牲者。
犠牲者の兄の表面的な悲しみが、余りにも空しく映る。
…覚えてる限りで羅列したが、こういったところだ。
俺もこの道に片足を突っ込んでしまっていると言える。
一体何をこの世界に期待していたと言うんだろうか、と思わせる程に…。
今のこの日本社会は『努力』ではどうにもならない現実だってある。
ちょっと成功して勝ち組を気取っている者に限って、成功しない者を勝手に負け組に組み込んで
「『努力』が足りない」とさも自慢げに言い放つ。
俺はそんな連中を数え切れないほど見させられて来た。
人間(特に女)の汚さを嫌でも見続けなければならない人生を誰が体験出来ようか。
体験しているからこそ、俺はこうして書き連ねる事が出来る。
俺じゃなかったら、間違いなく発狂して殺人犯となるか自殺者となるかの二者択一だ。
その人間社会と言う、理不尽が我が物顔で罷り通る『真の地獄』を俺は今も彷徨っている。
生きるも地獄、死ぬも地獄。
この身を裂かれ、焼かれるような怒りと怨みと憎しみに満ちた俺の精神を救える奴などいない事は分かっている。
その怒りと怨みと憎しみこそ、俺の命を繋ぐ最後の力にして理性なのだから!