シロクマになりたい

暑い。

命の危険を感じるほど暑い。

 

7月1日に林部さんのコンサートで群馬県藤岡市に行った。

あの日もたまらなく暑かった。

チケットを取った頃には、まさか梅雨が明けているなんて考えもしなかった。

みかぼみらい館は駅から遠い。バス便も多数とは言い難い。

びしょ濡れになって歩くのは嫌だなぁとは思ったけど、雨ではなく汗でびしょ濡れになるとは思いもしなかった。

 

実際、7月1日の予報が見える頃になって慌て始めた。

35℃って何?

私の体温と大差ないじゃない!

できるだけ歩く距離を短くするに限る!!

 

人生初のグリーン車に乗って、アイスコーヒーを楽しみながら、初めてのルートをたどる。

だんだん聞いたことがない駅が出てきて、読書にも飽き、ウトウトしたところで「熊谷」と聞こえる。

ありゃー!日本で一番暑い街じゃなかったっけ?

グリーン車の中は超快適だけれど、一歩外に出たら…。

 

新町という駅で降りて、バスに乗り換えることにしていた。

乗り換え時間は10分ほどだ。

電車を降りて、10歩、20歩…息が苦しい。

吸い込む空気が気管を焼くように熱い。

青空と風景の間に陽炎がたっている。

無理だ。私は群馬県民にはなれない…

 

バスを降りてから10分ほど歩いた。

さほどの道のりではないのに、絞れるほどに汗をかいた。

でも、大丈夫!

林部さんに会う前に、見たいものがあった。

プラネタリウムだ。

 

通っていた大学の隣の敷地にもプラネタリウムがあって、何度か行ったことがある。

真夏でも涼しくて、ふわふわと星の間を飛ぶような気がして面白い。

何十年ぶりかで見た人工の星空は、視力が弱くなって天然では見えない星粒を存分に楽しませてくれた。

加えて、ダラダラだった汗もすっかり乾き、快適な気分でコンサートに向かうことができた。

 

 

 

あの日から半月。

激甚災害に見舞われた方々に、心からお見舞いを申し上げたい。

あの日の暑さを超える猛暑の中、どれほどの思いで過ごしていることか。

歌うしかできないからと、林部さんはコンサートに行った。

林部さんの歌声は、大切な人を亡くしたり、いつもの暮らしが不意に途絶えたりした方々や、

それを見守り、心痛める人々の心に深く響いたに違いない。

 

父のお見舞いのはずが体調を崩し、声がでなくなった私も、なんとか土曜出勤を乗り越え、ようやく話ができるくらいに回復した。

熱帯夜で寝苦しいよりも、咳が止まらない方がよほど苦しい。

咳が減るのに合わせて眠れるようになり、眠り始めたら12時間目が覚めないほど疲れていた。

睡眠は体にも心にも頭脳にも、本当に大切。

 

 

 

明日からも、暑さが続くようだ。

あの、みかぼみらいでの暑さが手ぬるく感じるほどの気温が続く。

私のDNAは、どうも暑さを受け入れるのが苦手らしい。

せめてこまめに水分補給して、私はシロクマと唱えながら、冷たい氷の上をお腹で滑る夢を見よう。