昨日の出張先で見た夕焼け空。

美しかったなぁ。

緊張も疲れも吹き飛ぶような美しさでした。

 

 

マンションの大規模改修が進んで、いよいよ我が家の前にも足場が立ちました。

土曜日だというのに、ガランガランと足場を立てる音が続いています。

トントントントン。

あれ?この音は、外からではなく、お隣のおうちの中から聞こえるみたい。

たぶん、何か作っているか、直しているか。

お隣さん、DIYがお好きなようで、時々こんな音が聞こえます。

 

この棟は同じフロア3軒に1つのエレベーターを共有するので、普段顔を合わせるのはこの3軒だけです。

我が家の場合、その3軒の端にあるので、エレベーター寄りのお隣さんは知っているけど、反対のお隣さんとは10年も暮らしていて、一度も会ったことがないのです。

防音もバッチリなので、こうしてたまーにトントン聞こえてくる以外は、存在感すらありません。

 

トントントントンと聞いているうちに、ずいぶん前のことを思い出しました。

初めて実家を出て暮らしたアパートでのこと。

あの時も横並びに3軒。

どこの駅にも最寄っていない安いアパートは防音なんて概念はないかのように音も声も筒ぬけ。

ひとり暮らしかと思っていたお隣さんから、痴話げんかの声が聞こえるようになったのは、住み始めてどれほどたってからだったか。

 

喧嘩は日に日に激しくなっていくのです。

決まって夜、というより夜中。

部屋の中で言い合っているうちに、声は玄関の方に移動し、一人は家の中、一人は玄関の外で大きな声で怒鳴り合うから、ケンカの中身までわかっちゃう。

もう、仲良くしてよ。

 

言い合いはいつしか、ドタンバタンという音を伴うようになって、音に合わせて悲鳴が聞こえたりもして、こちらは気がかりで。

2時間サスペンスの舞台になっちゃったらどうしよう!なんて想像してはそわそわしたり。

次にケンカが始まったら、通報したほうがいいな、と心を決めたら、不思議と隣室には人が訪れる気配がなくなったのです。

 

ケンカの物音がしなくなったのはありがたかったのですが、隣の住人はそのころ、新たな趣味を始めたようでした。

あの音は、たぶん革細工です。

テーブルに置いた革に、型打ちの型を押し付けて、木づちでトントンと叩く。

それが、トントンドンドンドカンドカンとだんだん大きくなっていきます。

どれほどの大作を仕上げているのか、鬼気迫る木づちの音が怖くて、耳をふさぎたくなりました。

 

でも、ちょうどそのころ、私にも不愉快な出来事が続いていて、気晴らしにと新たな趣味を見つけていました。

それがパン作り。

生地を練っては、テーブルに置いた板の上に叩きつけ、生地にたまったガスを抜きます。

バタン、バタン、バタン。

隣の住人にはさぞかし騒々しかったことでしょう。

それとも、木づちの音に集中していて、気づかなかったでしょうか。

 

お隣さんはその後、1度だけとてつもない大喧嘩を繰り広げました。

その時は、私ではないもう一人の隣人が通報したらしく、警察が駆け付けました。

いまだに経緯も詳細もなにも知らないままですが、お隣さんは静かに引っ越していきました。

トントントンと聞こえなくなったフロアに、私のパン作りの音が響き続けていました。

 

 

あれから何年たったことやら。

今もストレスがたまることはいろいろと起きます。

そりゃ、毎日生きていて、仕事していたら、何かしらあるのが普通。

でも、いつしかパン生地に八つ当たりすることもなくなって、代わりに美味しいパン屋さんを探す方が楽しくなりました。

 

月に1度、林部智史さんのコンサートに行く楽しみがあれば、大概のことは頑張れてしまいます。

 

今月末のオペラシティでの追加公演の当選は心底嬉しかったなぁ。

それを超えて小躍りして喜んだのは、来年2月の山形でのコンサートチケットが取れたことです。

山形は林部さんの故郷。

故郷に凱旋してのコンサートに一度行ってみたかったのです。

くつろいだ様子かな。どんなトークをするのかな。山形弁も出るだろうな…なんて。

それが、デビュー記念の2月、しかも土日に設定とあっては、行かずにはいられない!

 

当たった!振込した!宿を予約した!

スキーとセットで満点の週末を企画する予定なのです。

うひょひょ。楽しみ。

 

 

そんなことをぼんやり思い出したり考えたりしているうちに、お隣さんのDIYも終わったようです。

さて、私もお持ち帰りのお仕事しよう。

 

 

・・・あの時のお隣さん、今頃どこかで幸せにしているかなぁ。

幸せでありますように。