第二章 友達の絆 115 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

赤いコートの少女の姿が遠のいていく。

私はただ呆然とその背中を見つめる事しか出来なかった。

何もかも拒絶している彼女、ライト・クライスの背中を。

「……ライト」

隣にいる護が彼女の名前を呟く。

「あの野郎ッ! オレらを置いて一人だけ逃げやがったぞオイッ!!!」

鉄パイプを振り回しながら怒鳴り声を上げる龍二。

それもそうだろう、龍二の言う通りライトは私達を置いて一人逃げていったのだ。

怒りたくなる気持ちもわからなくもない。

「ヒノッチ、ど、どうするん?」

脅えた声で坂口が私にそう言った。

私自身どうすれば良いのか分からない。

けど、今ハッキリしている事はある。

「そんなの決まってるでしょ! 生きてこのマンションから脱出するのよ!!」

私は右腕に魔力を集中させる。

すると絡まる様に引かれた赤いラインが更に眩しく輝き出す。

ライトはこう言っていたっけ、私と自分の力を合わせても騎士団が来るまで持ちこたえる事は出来ないって。

「けど残念、下手したらここに居るアヴェンジャー全員吹き飛ばせる事だって魔術には出来るのよッ!!」

私はその場にしゃがみこみ、地面に右手の平を着ける。

前方と後方、左右からはコチラを喰らわんとするアヴェンジャーの群れ。

きっとこんな状況、ライトが見たら呆れてしまうのだろうけど。

「選択するは北欧より伝わりしルーンを用いた魔術式――」

けど、それでも私は諦めない。

魔術でこの化け物を倒す事が出来ると分かった今だからこそ、私のこの決意は揺るぎない物になったんだから。

「〝イサ!〟」

祝詞を唱えると、地面に乗せている手の平から波の様に白い光が流れていく。

そしてその刹那、光に接触したアヴェンジャーは凍りついた。

光の波は階段を上がり、各階に潜むアヴェンジャーをも凍りつかせる。

「す、すげぇ……」

凍りつくアヴェンジャーを眺めながら護は感心するかのようにそう言った。

さっきまでうるさいほど聞こえてきたアヴェンジャーの足音も今では聞こえなくなっている。

どうやら、この廃墟に潜むアヴェンジャーは全て凍りついたようだ。

私は腰を上げると、うずくまるエレナに顔を向ける。

「エレナ、まだ頭痛はする?」

「い……今は大丈夫です」

息を荒くしながらエレナはそう答えた。

エレナが苦しまないと言うことは化け物が完全に消滅した事を表しているのだろう。

けどまだ安心は出来ない、魔術で凍らせても予想外な事態が起こるかもしれないからだ。

右腕を天井に翳す。

マジックラインに再び魔力を注ぎ込む、するとラインが再び赤く輝き出した。

「〝テイワズ!〟」

勝利を意味するルーン祝詞を唱えると、凍りついたアヴェンジャーの身体が甲高い音をたてながら粉々に吹き飛んだ。



/続く




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