「602号室がどうかしたのか?」
602号室は今は空部屋だ。
まぁ、去年までは使われていたのだけれど。
「ランプが青いのですが」
「はぁ?そんなわけ――」
と、俺は602号室のドアの左上にあるランプを見て固まってしまった。
ランプが、青い……。
使われていない部屋は赤いはずなのに。
「何で青ランプが付いてんだ?」
「察するに、さっきエレベーターで会った少女だと思われ」
あぁ、なるほどな。
でも空いてる部屋なら他にもあるってのに。
「良いなマモッチ、あんな美少女が隣で」
「隣って、壁で仕切られてるだろうが」
俺はため息を付きながら自分の部屋へと戻ろうとする。
と、火野川は602号室をじっと見つめていた。
まただ、どこか悲しそうな顔をしている。
「火野川、どうかしたのか?」
「え?あ、何でもないわよ」
慌ててそう言うなり、火野川も自身の部屋へと向かう。
「じゃ、食堂でね」
そう言い残し、彼女は部屋の中へと入って行った。
「何だアイツ?」
顔をしかめながら俺は火野川の部屋を見つめる。
どこか様子がおかしい気がする。
「マモッチ、じゃ食堂でな~」
坂口も火野川と同じ台詞を言うなり、自分の部屋へと戻って行った。
坂口の部屋は604号室。
火野川の隣である。
そして俺の部屋は601号室。
今まで隣は居なかったが、今日からは居るって訳か。
「こりゃ、フィーバー出来そうにないな……」
俺はそう言いながら部屋へと入った。
/続く