第一章 復讐者 3 | Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―

「司令部に戻ってくれ」

私が車に乗るなり、エリックは運転士にそう告げた。

かしこまりました、と運転士は車を出す。

エリックは私に向き直り、口元を歪ませた。

私はただ黙り、目の前の男を睨みつける。

「警戒するのは結構だが、車の中くらいフードは取ったらどうだね?」

エリックは私の顔を見ながらそう言った。

「それとも、車内でもフードを被らないといけない理由でもあるのかな?」

別に、フードを被っている事に理由なんてない。

ただ、周りの奴らに顔を見られたく無かっただけだ。

私は何も言わずにフードを剥いだ。

「これで満足か、大佐殿」

嫌味たらしくそう言ってやった。

「ほぉ……麗しいお嬢さんだな」

エリックは微笑みながらそう呟いた。

麗しい、普通の女ならそう言われると嬉しいのだろう。

だが私はそんな事では喜びなんて感じない。

いや、正確には感じなくなってしまったのか。

「褒めているつもりか?」

私は外の景色を眺めながら呟いた。

「おや、お気に召さなかったかな」

そう言いながらエリックは笑った。

何がそんなに面白いのか。

私はエリックの顔に視線を向ける。

「で、本当にやらせてくれるんだな?」

「あぁ、君の望み通りにしよう。アメリカでは、あの化け物に関する情報は少なかったろう」

「少ないと言うより、情報なんて無いに等しいよ」

「まぁ仕方あるまい。今のアメリカの状態は、ほぼ崩壊していると言って良い」

そう、アメリカだけじゃない。

今や世界全体が崩壊の危機に晒されている。

突然、何の前触れもなく現れた謎の化け物達によって。


/続く