Beyond Despair

Beyond Despair

― 絶望の底に落ちた少女の先に待つ運命 ―




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皆さん、お久しぶりです

このたびはお詫びとご報告にあがりました


まことに勝手ながら、このブログに公開されている小説の更新を終わらせていただきます

そして、この小説を元に育てたあらたな物語を公開したいと考えています

いつごろになるかはまだわかりません。しかし近いうちに公開したいと思ってります


何故この小説を完結させる前に終えてしまうのか、それはやはり年齢を取るにつれて身につく知識にあります。

この物語は私が今まで書いていた小説の中でかなり長く続いておりました。

キャラクターにも自然と愛着が湧き、彼らを差し置いて新たな物語を書こうという気にはなれません

近いうちに公開する小説はこの小説をベースに新たに練り直されたものになります

一部登場人物の名前も変わっておりますが、基本的なものは変わりません。

ストーリーに関しては大幅な変更点があり、それは私が最近興味を抱いたものに関する事を元に描こうと考えています。


また新たな制作に取り掛かり、いち早く皆様の目に届けられませうよう努力する次第です。


「アイツら、ふざけやがってッ!!!」

ガツン! と待機室の壁を殴りつける龍二。

そんな龍二を必死に止める坂口。

「落ち着けって龍ちゃん、イライラしてても仕方ないだろ?」

「テメーは何落ち着いてんだよアァ!?」

龍二はそう怒鳴り散らしながら坂口の胸ぐらを掴む。

「アイツら普通にオレらを切り捨てたんだぞッ!」

「だからってここで嘆いてもしかたないって!」

龍二の苛立ちも無理はない。

正直な所、俺も学生寮の野郎どもには激しい怒りを覚えているからだ。

だけど――。

俺は待機室の端っこに体育座りしているエレナに視線を向ける。

エレナは学生寮から追い出されて以降、取り調べの時以外は一言も喋らなくなっていた。

それだけじゃない、食事すら口にしていないのだ。

火野川が何度か食べさせようとしたが、エレナは一口も食べようとしないのである。

俺は言い争いをしている龍二、坂口の方に顔を向ける。

「お前ら、少しは静かにしろッ! 苛立つのも分かるけど、今この中で一番辛い思いしてんのは誰だと思ってんだよッ!!」

そう、怒鳴りつけると二人はシュンと大人しくなる。

と、それと同時に待機室のドアが開いた。

そこには金色のロングヘアーの女軍人、エリーカ・バードンの姿があった。

彼女は待機室内を見渡してから俺に視線を向けてくる。

「あまり騒がれては困ります。ここは騎士団司令部なのですから、その事をお忘れなきように」

そう静かに頭を下げるとエリーカは部屋から出ていった。

どうやら坂口と龍二の声は外にまで聞こえていたらしい。

待機室に置かれた時計に目を向ける。

時刻は昼の一時を回ったところだった。

そう言えば、ライトは今どうしてるのだろうか?

エリーカが目が覚めたって教えてくれてから火野川が様子を見に行ってかれこれ三十分は過ぎているのだが。

「何やってんだろうな……」

そう俺が呟くと同時に、再び待機室のドアが開く。

そこにはライトとアメリカ軍の時からの同期であるアイネス・ヴァルハーケンの姿。

彼女はいくつかのトレイを乗せたカートを引きながら部屋へと入ってくる。

そうか、もう昼時だもんな。わざわざ持ってきてくれた訳か。

が、何故か彼女は俺に殺意? 混じりの視線を向けてくる。

俺コイツに何かしたか?

「んだテメー、あのクソ赤女の用心棒かと思えば今度は軍の雑用かぁ?」

イライラしていたのか、龍二がアイネにそう絡む。

「苛立ってるからって人に当たらないでもらえる? すっごい迷惑なんだよね、そういうの」

「アァッ!?」

アイネの言葉にカチンときた龍二が彼女の胸ぐらを掴もうとする、が――。

掴もうとした手を逆にアイネに掴まれ、そのまま力強く蹴り飛ばされてしまった。

ドスンと勢い良く龍二が壁に激突する。

「情けないねアンタら。さっきの言い争う声、外にダダ漏れだったけどさ。ホント、見てて呆れちゃうわ」

肩をすくめながらアイネは呟く。

そして部屋の中央に置かれたテーブルに昼食が乗せてあるトレイを静かに置いていく。

トレイの数は全部で五枚だった。



/続く




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「でも、心配しないでね。大丈夫、何とかなるってもんよ……こう言う事はさ!」

 ピースポーズをしながら愛花は私に明るい笑顔を見せる。

 ……心が張り裂けそうになる。

「だからさ、ライトも心配しなで!」

 肩を軽くトントン叩かれる。

 私は肩を叩く愛花の腕を優しく掴んだ。

 それに驚いたのか、愛花の口から「え……」と言う言葉が溢れる。

 こちらも我慢の限界だ。

 私は愛花に顔を向ける。そして彼女の目をじっと見つめながら――。

「我慢するなよ、全部ぶちまけろ。お前の今思っている本当の気持ちを」

 そう、彼女に呟いた。

 すると、愛花は力が抜けたかのように顔をうつむかせた。

 彼女の目から涙が静かに落ちていくのが分かる。

「……なん、で……どうして……」

 自身の両肩を摩りながら愛花は震えた声で呟く。

「皆……分かってくれない。自分達が危なくなるからって……今まで一緒に暮らしてきたのに……なのに、どうしてッ!」

 そう言いながら、彼女は泣き出した。

 勿論、子供の様に大声を上げながらではないが。

「――人間なんて、そんなもんだ」

 窓から外の風景を見つめながら呟く。

「誰もが同じなんだ。自分達が危なくなったら、他者を平気で切り捨てる。……この間の私みたいにさ」

「……でも、ライトは罪悪感を感じてたじゃないッ! それでも許せなかったってのがあの時の私の気持ちではあったけど……。でも、寮の皆は……罪悪感なんて一ミリを感じちゃいなかった……。どいつもコイツも、エレナに向かって『お前が居ると迷惑なんだ』とか……『お願いだから早く出てって』とか……今までの皆からは想像も出来ない言葉だった……。それで私は思ったの、あぁ……これが人間の醜さなんだって」

 身勝手な人間、自己中な人間。

 言ってしまえばこれが人間の本質とも言えるだろう。

 でも、愛花達はそれに気づかないで今まで生きてきたのだ。

 まぁ、大人になれば嫌でも直視しなければいけない事なんだけど。

 だけどコイツらは……こんな早期に直視しなければいけなくなっていまった。

 ……けど。

「――お前らが見た物なんて、まだマシな方だよ」

「……マシ?」

「……人間はそれなんかよりもっと醜い生き物なんだから。まだ他者を切り捨てるなんて可愛い方だ」

 ベッドから立ち上がり、コート掛けに掛けてあった赤コートを羽織る。

「……ライトは、もっといろんな物を見てきたのよね。……だから、なの?」

「何が」

 そう聞き返しながら私は愛花に顔を向ける。

 と、さっきまでうつむいていた彼女の顔がコチラに向けられていた。

「だからライトは……周りを拒絶するかのような態度をするの?」

「……かも、しれないな」

 そう答えると愛花はまたうつむいてしまう。

 スカートを力強く握っている彼女の手は微かに震えていた。

 私は閉じられた窓を静かに開ける。

 カーテンが外から入ってきた風によりゆらりと揺れた。

 それと同時に街を行き交う人々の話し声なども聞こえてくる。

 この街はとても美しいと思う。

 だけど、それもしょせんは表向きだけなんだ。

 この街を行き交う人々の中には、どれだけ酷く、挫折した者が居るのだろう。

 相手を蹴落とし、陥れた奴はどれだけ居るのだろう。

 裏切った奴、相手の人生を台無しにした奴はどれだけ居るのだろうか。

 そんな事を、私は昔から考えていた。

「……どんな物を見てきたの?」

 と、唐突に愛花がそんな事を聞いてくる。

 私は愛花に向き直り彼女の目の前に移動する。

「――他人を嘲笑う人間、蔑む人間、罵る人間、陥れる人間……そして」

 私は窓に再度顔を向けながら――。

「娘を殴りつける父親」

 と、そう小さく呟いた。



/続く




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