イアンと少女の目線が、絡み合う。

少女は大きな瞳を潤ませ、口元にうっすらと微笑を浮かべている。初めて会ったにもかかわらず、本来は一番身近な、心を許した相手にしか向けられないであろう面持ちが、ひたむきにイアンに対して注がれていた。

何てきれいなんだろう。まるで――

なおもイアンが心の中で続けようとしたとき、少女の様子が急変した。糸の切れた操り人形のように全身の力が抜け、くたりと崩れてしまう。身を乗り出していたせいで体は操縦席へ収まらず、真っ逆さまに落ちそうになった。

「危ない!」

イアンは咄嗟に少女の下へ駆け寄り、落ちてくる体を両腕で抱きとめた。瞬間的に両足にずしりと負荷がかかったが、耐えられないほどではなかった。それに一度受け止めてしまえば少女の体は驚くほど軽く、抱えるのは苦にならなかった。
イアンは自分の腕の中にいる少女を、改めて見つめた。長い髪が乱れ、ほっそりと優美な曲線を描く眉が、今は苦しそうにひそめられている。両目は閉じられていた。ふっくらと形のいい唇が少しだけ開き、そこから漏れ出る浅い息遣いに合わせて、ドレスを盛り上げている胸がかすかに上下していた。

少女は正規の機士には見えなかった。