それは何気ない、ある夏の事だった。
「おっきくて真っ黒でカチカチ鳴るスイカを拾ってきたよ!」と千春が何か巨大なものを抱えて僕の家に駆け込んできた。
「日に焼けたみたい。スイカも日焼けするんだね~!とりあえず冷やしとこ」
「あ、あのう、千春さん」
僕は思わず敬語になる。
「ん?」
だって………。
「これは時限爆弾ではないでしょうか?タイマーどんどん減ってるんですけど…」
千春は少し考えて……
「これが0になったら食べ頃?」
「んなわけあるか!」
「落ち着きたまえ海斗」
姉の瑠奈が加わってきた。
「こういうときは冷静さが肝心なんだ。歴史上最も多くの人の命を奪ってきたものはなんだと思う?爆薬でも毒薬でもない」
「爆薬だよ!今は爆薬でいいよ!爆薬に殺されそうだよ僕らは!」
「とりあえずtwitterで相談しよう。爆弾なう」
「悠長だなおいっ!」
「引き取り手が見つかった」
「なんでッ?」
「土下座すると断れなくなる不思議な文化の持ち主なんだ」
モニターに表示されたツイートには″<(__)>″がしこたま並んでいた。
「で?どうやって渡すの?」
「海斗、君が持って行きたまえ」
「残り1分もないよ!?」
爆発まで残り
―――00:54:23―――