(一部転載)
P202
プラトンは天才とは「生得の知恵」を持った人物であると言っています。つまり誰から教わるわけでもなく、また経験を通じて学んだわけでもないのに、天才は真理を生まれながらに知っているというわけです。
(略)
同じ独裁者であってもナポレオンは生得の知恵によって軍事の天才(略)
ヒトラーの場合、その生得の知恵は経済にあったと言うべき(略)
後年、経済学者のヒックスは「戦前はヒトラーの時代、戦後はケインズの時代」(略)
まさに戦前の世界においてはヒトラーのみが古典派経済学の欠点を見抜いていた。彼だけがケインズ経済学の奥義を知っていた(略)
P203
さらに彼の偉かったところは、有効需要を増やしながら、同時にインフレを起こさなかった点(略)
インフレこそ、ケインズ政策の一大弱点(略)
ところが、ヒトラーのドイツでは、このインフレが起きなかった。彼が起用した「マルクの魔術師」シャハト博士が巧妙な金融政策を行なったおかげ(略)