野間宏(著)、沖浦和光(著)

差別・被差別問題を生涯のテーマとしてきた両先達が、アジアの調査を共にしながら、カースト制の外のインド、中国、朝鮮にまで差別の根源を遡り、さらに日本の被差別部落問題まで考察する。貴/賎、浄/穢、尊/卑の交錯から、差別の本質と歴史的変遷、被差別民の文化に及ぶ、画期的基本文献の初文庫。

 

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権兵衛 聖と賤

2017年11月13日に日本でレビュー済み

聖と賤に関しての著書を購入読破しておりますが、この著者の本は対談形式で非常に読みやすい。

 

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川副秀樹 日本人の差別のルーツ

2021年2月9日に日本でレビュー済み

自分が知る差別の、より深いルーツを知ることができる。インド→中国→韓国→日本という流れが新しい切り口で、興味が尽きなかった。一度読んだだけでは身につかない。何度か繰り返し読むつもり。

 

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ポチR 対談形式なので理解しやすく、内容はとても濃い。

2017年1月20日に日本でレビュー済み

インド、中国、朝鮮、日本それぞれの歴史について詳しく語られる対談形式のこの本は、私にはとても理解しやすかった。

インドについては、その長い歴史の中での学問的・宗教的な背景も語られているが、それよりも現代(対談当時)のインド社会の抱える問題・状況についてより力を入れて語られている。11Pから117Pまで。

中国についてはその背景にある学問・思想、そして歴史的な流れについて語られている。118Pから178Pまで。

朝鮮についても同じで、学問・思想、そして歴史的な流れについて語られている。179Pから211Pまでとやや短め。

日本については、古代から近世まで、やはり学問・思想、そして歴史的な流れについて語られている。212Pから306Pまで。「 日本の聖と賎: 中世篇 (河出文庫) 」では中世についてのみ詳しく対談が行われていたが、この本では日本の長い歴史全体を通しての様々なことについて、お二人の考えが語られている。特にはっとさせられたのは、古代から中世初期にかけては、中国から律令制として入ってきた「貴・賤」観が身分制度の基軸になっていて、中世から近世初期にかけては「貴・賤」と「浄・穢」観が併存し、近世中期以降からは「浄・穢」観が次第に基軸になってくる、という沖浦氏の指摘だった。この流れがどうして起きたかについては、お二人の対談で詳しく語られていく

 

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Shigenobu Fujioka インド、中国、朝鮮そして日本における聖と賎の違い

2015年12月23日に日本でレビュー済み

黒い絵などの作品で知られる作家の野間宏と、被差別民の研究者である沖浦和光の興味深い対談集。
インド、中国、朝鮮そして日本における、聖と賎の違いについて論じている。
インドのカースト制度は固定的で一生変わらないが、中国は流動的であること、
それらが朝鮮や日本にいかに影響を与えたかなどの話が展開されていく。

 

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川合章子(著)

鬼を祓い、人を呪う
星を観測し、暦をつくる
彼らは何者か

日本を裏で支えた異能の者たち、陰陽師の謎に迫る。

古代中国で生まれた易(えき)や陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)の考え方が日本にもたらされたのは六世紀のこと。
それが陰陽道(おんみょうどう)という思想となり、国政に取り入れられて「陰陽師」という存在を生んだ。
科学技術の乏しい時代、陰陽師は天文から災異を知った。暦をつくり、人々の生活を支配した。
明治時代に廃止されるまで、陰陽師は科学者であり呪術者だった。
陰陽師の歴史を辿るとき、それは同時に日本を知ることなのだと気付かされる。

もしかすると今の世にこそ 陰陽師が必要なのかもしれない――


章構成

第一章 陰陽師の役割と貴族社会
そもそも陰陽師とは当時の最先端の科学技術機関である、陰陽寮(おんみょうりょう)の官僚だった。つまり国家公務員である。エリートである彼らは天文観測、天変地異の予測をして天皇に奏上し、暦をつくり日々の吉凶を示し時刻を管理していた。同時に、占いによって土地の選地などを行う国にとって欠かせない存在だった。彼らの詳しい仕事ぶりに迫る。

第二章 安倍晴明のスーパースター 安倍晴明
九二一年(推定)に生を受け、一〇〇五年に亡くなった安倍晴明。今からちょうど一一〇〇年前の京都に生きていた。スーパースターの彼は一体何をしたのだろう。狐の母から生まれ、幼少の頃から妖怪と鬼を視た。式神を駆使し、死んだ人間を生き返らせたなど、神さまのように語り継がれる晴明の異能の所業をかいつまんで解説する。

第三章 陰陽師のスターたち
安倍晴明だけでない。日本には沢山の陰陽師たちがいた。修験道の祖・役小角(えんのおづぬ)、唐で学んだ陰陽道の達人・吉備真備(きびのまきび)、安倍晴明のライバルでアンチヒーロー・蘆屋道満(あしやどうまん)、晴明の師である賀茂保憲(かものやすのり)など。魅力的な彼らの存在が日本を陰から動かした。

第四章 陰陽道と陰陽師の歴史I
陰陽道の基になっているのは中国で生まれた易や陰陽五行説。日本にそれらがもたらされたのは六世紀のこと。いかに陰陽道が日本に取り入れられ、政治を動かし、「陰陽師」という存在が生まれたのかの軌跡を辿る。古代中国の思想にも触れて理解を深めることができる。

第五章 陰陽道と陰陽師の歴史II
平安時代に黄金期を迎えた陰陽師。試行錯誤して生き残っていく賀茂家と安倍家の二大陰陽師家。やがて西洋から入ってきたグレゴリウス暦の登場により、徐々に陰陽道は廃れていく。一八七〇(明治三)年に政府から陰陽道を禁止されるまで、陰陽師は日本を陰から支えてきた。近代化に埋没した彼らの歴史を辿る。

第六章 実践で使える陰陽道
陰陽道は現代でも日本の風習に深く根付いている。この章では五行属性や九星などの占い、陰と陽の食べ物のお話や健康に良いツボ押しのこと、陰陽道にゆかりのある神社の紹介など、現代でも使えて役に立つ陰陽道について解説する。

 

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綿の国 陰陽師とは何だったのか

2021年9月6日に日本でレビュー済み

小説、漫画と『陰陽師』を題材にした作品が好きで
陰陽師を図解した本を探していて購入。人気のあるテーマだが図解本は意外と無い。
陰陽師は暦や方角、色々な制約を背負った貴族たちに寄り添った
かなり現実的なカウンセラー、コンサルタントのような存在だったのかなと伺えた。
時代によって少しずつ立場も変化しているのが面白い。
イラストが可愛くて分かりやすかった。
当時の風俗も分かって良かった。

 

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通りすがりの人オタクニッコリ

2021年9月6日に日本でレビュー済み

陰陽師の歴史や生き方はもちろん掲載されていますが、まさか羽生結弦氏のSEIMEIまで載っているとは思いませんでした(当方スケートのオタクです)。ちょっと演技の解像度上がったらいいな~ぐらいのノリで読み始めたので嬉しい誤算です。推しが陰陽師の方、スピリチュアル方面の方、色んな人に読んでいただきたい本です

 

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五右衛門 副読本として

2021年9月10日に日本でレビュー済み

ぼんやりと知っていた陰陽師のことを詳しく知りたくて購入。伝承、陰陽師の歴史と知りたいことが書いてあって良かった。
好きな小説、漫画の副読本としての使い方が良いかもしれない。

 

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ふたば 「陰陽師はフィクションにおいてどう語られてきたか」が正しい

2021年9月8日に日本でレビュー済み

ツイッターで編集者が熱く宣伝していたから購入したけれど。

嘘はだめだ。
泰山府君祭は長寿祈願の祭であった。
還魂の術だというのは「宇治拾遺物語」に始まりエンタメフィクションの創作だというのはいい加減常識になってると思っていたのにしれっとこのように書籍に書いてあるのは恐れ入る。

上記も含めて全体的に「フィクションの中のエンタメ陰陽師」についての項目ばかりで、ならば「真の姿」などと帯に書くべきではない。「どのように語られてきたか」などの表記が適当であろう。