藤巻一保(著)

 

晴明が伝えた幻の書。初の完訳版で全公開!現代にも通じる占星術・方位・干支・風水の定本。宿曜の巻をはじめ、全巻を収録し、詳細なふりがなでわかりやすく、陰陽道の奥義を解説する。

 

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伊勢屋善兵衛干支・暦注編には侮りがたいものがあります。

2019年1月26日に日本でレビュー済み

 安倍晴明を取り上げたTV番組で、本書が紹介されていましたが、どうも馴染みにくく、ツン読にしていました。
 その後、ある100km歩け大会に備えて、スタートから約70kmあたりを歩行訓練中、時刻は酉の日深夜~戌の日未明にかけてですが、短くない生涯で、初めて、幽霊に二度も立て続けに遭遇しました。
 不思議に恐怖心はなく、不動明王の真言(慈救咒)を唱えてから、行軍を続けました。帰宅後、本書をひも解くと、なんと…、この時期、酉の日は「忌遠行日」、戌の日は「受死日」だったのです…。
 本書の干支・暦注編には侮りがたいものがあると思っています。

 

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こあら公陰陽道の真髄、ここにあり。

2019年1月24日に日本でレビュー済み

なぜ鏡餅は二段なのか?
門松はなぜ飾る?
そういった日常に潜む陰陽道と、道教から来た神々を紹介。
〇〇をしてはいけない日、凶日の秘密を解き明かす。
単純な占いなどではない、理論と統計の蓄積の1冊。

 

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ぴちお書物とはこうであるべき。

2018年4月9日に日本でレビュー済み

読んですんなり理解できるかと言えばそうではなく、やはり難解。しかし、スルメのようにジワジワと味が染み出て参ります。さすが陰陽道。昨今のゆるい本に毒されていた自分に気がつかされます。「書物」とはそうでなくっちゃと再認識しました。

 

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鈴木邦明日本思想の一側面を見ることができる。

2020年11月5日に日本でレビュー済み

口語訳ではあるが日本の陰陽道の大元のテキストであり、当時の思想を研究している者にとっては、研究者であれ好事家であれ一読するべき価値はあると考えます

 

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Amazonカスタマー待望の新装増補版!

2019年2月18日に日本でレビュー済み

タイトルの通り、陰陽道の基本テキストである簠簋内伝の分かりやすい解説書です。
藤巻氏の著書ですが、以前別の出版社から出ていたものは絶版になっており、プレミア価格がついていました。
また、前の本では明らかに陰陽道と異なるということで、あえて宿曜道(密教の占星術)についての部分を省略したそうなのですが、読者の要望に応じ新たに宿曜道についての章が加筆されました。藤巻氏によれば、実際の陰陽師は陰陽道だけでなく宿曜道も使っていたらしいです。
新装増補版が出たことは喜ばしいことです。売り切れるとなかなか重版がかからない分野ですので、興味がある方は即買いすることをお勧めします。
また、本書に書いてあるようなことぐらいは陰陽師と名乗るのであれば知っているべきものなのですが、最近のスピリチュアル系自称陰陽師は簠簋内伝の存在すら知らない人さえいます。
陰陽道の実践面に興味のある方は是非読んで知識をものにしていってください。

 

簠簋内伝(ほきないでん)/コトバンク

 

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斎藤英喜(著)

 

安倍晴明(九二一~一〇〇五)平安期の陰陽師。土御門家の祖。説話や伝説に彩られた安倍晴明の実像はいかなるものだったのか。平安時代の諸記録から多様な陰陽道祭祀や儀礼の現場を復元し、「術法の者」としての生涯を明らかにすることで、従来とは異なる新しい晴明像を描きだす。

 

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蘭丸 新たな安倍晴明像に迫る評伝

2016年7月28日に日本でレビュー済み

小説や映画の影響ですっかりお馴染みになった安倍晴明だが、研究が進むにつれて、実は彼は遅咲きの役人に過ぎず、然も時には師匠の手柄を横取りした事もある…等と言う「反・英雄説」も広く知られるようになって来た。
だが、本書は決してどちらの姿も否定はしない。
何故なら、このようにかけ離れた二つのイメージを繋ぐ事に依って“新たな安倍晴明像”を描き出す事こそが本書の使命だからである。
「評伝」というと史実に拘り抜いた著作が多く見受けられる中、「創作」と「現実」の両側面を捉えながら展開する本書は伝記としてはやや異色とも言え、成程、安倍晴明の“第三の顔”を追う…という目的は十分に達せられていたように思う。

さて、具体的には、安陪晴明が登場する以前の時代にまで遡って陰陽師という役職や職能について紹介したり、或いは、史料を読み解きながら安倍晴明の活動を再現したりする。
更には、説話集に登場する安倍晴明の超人的な活躍にも目を向けながら“スーパースター陰陽師”としての晴明像が如何にして生まれたかという根源にまで迫っているのだ。
また、日記等の古記録から当時の儀式の様子を分析すると同時に、先行研究にも着眼する等の配慮もあるので、客観的な視点で論じられている所が好印象でもあった。
勿論、採用しているのは何れも第一級の史料ばかり。
その信頼性と充実した内容は高く評価出来、実に読み応えがあったように思う。
因みに、漫画の世界(岡野玲子『陰陽師』)の安倍晴明、陰陽師の末裔とされる「いざなぎ流」については本論と別扱いの断章にてかなり詳しく取り上げているので、関心のある方は一読の価値があるだろう。

尚、個人的に興味深かったのは、泰山府君を扱った第七章である。
勿論、安倍晴明と言えば真っ先に泰山府君を思い浮かべる方も多いと思うが、ここでは単に「冥界の王との交信」という漠然としたイメージではなく、それが「人間の寿命を書き換える」と言う呪術行為であった事を中心に述べている。
こうした現実的な作法を知るに付け、安倍晴明の主要な“任務”を理解する事が出来、尚且つ、これを機に泰山府君について具体的に学ぶ事が出来たのも非常に有意義であった。
また、“スター・ゲイザー(星を観る人)”としての安倍晴明をクローズ・アップしている所も面白い。
本書では『大鏡』の「安倍晴明が“天変”を観て花山天皇の退位を予兆した」という記述に着目し、「天文博士・安倍晴明」を見直しているのだ。
そして、当時の天文学や占星術、更にはそれらが時代と共に如何なる変化を遂げたという経緯まで詳らかにして行くので、今でも人気のある「星占い」の起源を見るようでもあり、また「未来を知りたい」という人々の願望に答えるべく活躍した安倍晴明の姿を垣間見る事が出来たように思う。
本書を読めば、彼が何故、これ程までに熱狂的に語り継がれ、遂には“神格化”される迄に至ったかという事も自ずと理解出来るに違いない。

歴史的史料、並びに数多くのエピソードに真摯に向き合った名著。
昨今の人気に応じて晴明に興味を持った方、或いは、ブーム到来以前から関心を抱いていた方、更には安倍晴明のみならず、陰陽道、天文学、呪術に好奇心を抱く方…本書は、様々な方達の欲望を満たしてくれる上に、何れの期待も決して裏切る事はないであろう。
「評伝」の枠を超えた新鮮な一冊である。

 

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be3osaka 実像と平安時代の仕組みを知る。

2020年12月26日に日本でレビュー済み

安倍晴明の実像を探りたいと思うならおすすめです。著者の示される文献を知ることは読み手にとってはさらなる探究を助けてくれます。また我が国において安倍晴明のような陰陽師とされた背景と環境への理解も深まります。
密度の濃い研究の上で書かれた本書は知的好奇心を刺激して止みません。

 

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Amazonのお客様 正統派!決定版!

2004年10月18日に日本でレビュー済み

神秘的で全能の晴明様偶像が、それなりに浸透しつつある昨今。
「晴明本」は数々あれど、小っ恥ずかしくなるような少女趣味な表紙には流石に手が伸びない。
岡野玲子の『陰陽師』の世界に書き込まれている深い宗教観や歴史的背景もふまえた、信頼できる解説書がほしい。
そんな思いを満たしてくれる一冊でした。
信頼できる記録・史料を元に、安倍晴明の実像と陰陽道発展に果たした役割が紹介されています。
とはいえ、事実だけを淡々と記した無味乾燥な評伝という趣はありません。歴史学者や国文学者ではなく、民俗学のフィールドワーカー且ついざなぎ流太夫の「弟子」でもあるという筆者の視点には、時空を越えた先達である晴明への、同業者としての敬意も込められているようで、晴明ファンにも容易に感情移入できます。
刻々と新たな研究が登場し、次々に新事実が明らかになっていく陰陽道研究の最新状況も伝わってきて、研究入門書としての役割も果たしています。