さて、たったの一日で復活を遂げた桐生要と、彼が長い年月をかけて完成させたAIのプロメテウス、そして彼の従者である元三つ星フレンチレストランの一流コックだった黒川宗一郎、過去にアメリカで敏腕FBI捜査官として活躍していた暮井冬春、日本の暗殺界隈で「九尾の女狐」の異名を持ち現役の暗殺者でもある諸星環奈の五人は、今や瓦礫のゴミと化した桐生家の古屋敷の地下シェルターにおいて、昼間から夜にかけ、桐生要の復活とプロメテウスの人間成りを祝い宴を行なっていた。

 長いテーブルの上に並べられていた色とりどりの料理達は、既にそのほとんどが五人の胃袋の中に収まってはいたものの、代わりに侵入達の襲撃の難を逃れ無事る地下のワイン蔵から引っ張り出した高級ワインの数々を楽しんでいた。

 と言っても、精神年齢は別として、身体が成年に達していない桐生要は好物のペプシを、プロメテウスは黒川が入れてくれた紅茶をひたすら飲んでいた。

 年齢はそれぞれだけれど、いい大人である酒好きの他の三人は、桐生要の計らいにより年代物の高級ワインを次々と空けていく。
 
「今日はさいっこ~の日だねぇ♪宗ちゃん!冬春~!」

 顔を真っ赤にした泥酔状態の環奈が高級ワインを生ビールの一気飲みをするが如く飲んでいる。

「ああ、確かにそうだな。要様が死んだって聞いた時は驚いたが、若返りのおまけ付きでケロッと生き返るし、プロメはかわい子ちゃんになってるしで、これを祝わずしてなんとするよ!」

 普段はクールなイケメンをほとんど崩すことのない冬春であったけれど、元々酒を飲めば飲むほど陽気になる彼でもあった。

「二人とも、目の前には若い少年少女がいらっしゃるのですぞ!くれぐれもハメを外すことの無いように!」

 などと二人に注意喚起をする黒川ですら、滅多に飲む機会の無い高級ワインの味に酔いしれ、環奈と冬春と同じくして泥酔状態であることは否めなかった。

 そんな三人の姿を見る要は微笑ましく思いながらペプシをすすり、飲む紅茶の種類を変えたプロメテウスは若干引き気味に眺めていた。

「要様、人間という生物はアルコールを摂取することによって脳の働きが麻痺し、人体に様々影響をもたらすことは重々承知しておりますが、実際に目の当たりにすると酷く醜い行為にも見えてしまうのですが...」

「ハハハ、プロメに目にもそんな風に映っているのか。安心してくれ、僕の目にも彼らの姿は醜く映っているよ。でもね、我を忘れられるほど楽しい時間を過ごせるっていうのはさ。人間にとってはめちゃくちゃ貴重で大事なことでもあるような気がするよ」