「あれっ!?消えた!?あっ!?こっちも!」

 環奈が分割された映像の一つが突然映らなくなったことに気付くと、他の映像も次から次に消えていった。これは侵入者達が監視カメラの場所を事前に調べそれぞれが破壊行為に至ったからである。
無論、プロメテウスを含めた四人全員がそのように推測していた。
 そしてただ一つ残った映像は桐生要の個室ものだった。
 個室に監視カメラが仕掛けられているのはプライベートを覗き見されるのと同様であり、普通の人間ならばプライベートな空間に監視カメラが設置されることは許容できないであろう。ではなぜ桐生要が監視カメラを自分の個室に設置するのを許容したのか?それは監視する者が生身の人間ではなく、自分がプログラミングして作ったA Iのプロメテウスであったからに他ならない。

「誰かが部屋の窓から単独で侵入したな」

 冬春がそう言った数秒後。
 2回にわたる閃光が画面を照らしたすぐあとに桐生要が床へ力無く倒れた。侵入者が部屋へ侵入した入り口の窓へ歩き消え、桐生要の元へ環奈が駆けつけ、黒川が桐生要の身体を抱き抱えて監視カメラの撮影範囲から消えていった。
 環奈と黒川は昨日の現場の状況を思い出し若干落胆しているようにも見えた。
 冬春は落胆するようなことは無かったが、事件現場に自分が居なかったことへの苛立ちと怒りから、強く歯を食い縛り感情を押し殺すように堪えていた。
 そんな三人の様子を伺っていたプロメテウスが声を掛ける。

「みなさん、お気持ちは察しておりますがお知らせせねばなりません。要様の脳内にあった情報の全てが転送を完了致しました。だだ今より要様の転生措置を開始致します」

「「「おおっ!!!???」」」

 プロメテウスの急な爆弾発言に三人とも驚いた。事情を詳しく知らない冬春は当然として、環奈と黒川は「桐生要は数日で復活する」と聞かされていたもので、時刻はまだ昼食前の11時ということもあり、想定したよりもずっと早く復活することに驚いたのである。

 そんな三人には構わず、プロメテウスがモニターを登場させた時と同じような行動をとった。
 すると、昨日環奈と黒川が彼女に見せられた桐生要の新しい身体が、昨日と同じくして壁の中か機械音とともにベッドに横たわった姿勢で現れた。

「なっ!?なんだなんだ!?これが要様の新しい身体だと!?つまりこの身体で要様が生き返るということなのか?」

「「うんうん!」」

 環奈と黒川の二人が冬春の方へ視線を送り同時に首をコクリとして頷いたのだった。