『銀森の村落』 

アルフィナとヴィクトが、雷桜をワープさせたのは、銀森の村落だった。 

そこにいた、老人に声をかけた。

君は?


リチャーノは不思議そうに宙に浮くメルを見つめていた。
雷桜は、リチャーノに、メルが重傷を負ってしまったこと、
メルの怪我を治すために医者を探していたことを伝えた。
どうやら、目の前のリチャーノこそ、この村落の医者だったらしい。

リチャーノはじっくりとメルの傷跡を検査した。
雷桜は、リチャーノに状況を尋ねた。

メルの容体はどうなんでしょうか?


なるほど・・・これは酷い・・・。
早く治療しなければ、この子が大変だ・・・!
この付近に『霊癒の薬草』というものが生えている。
その薬草ならば、この子を治療できるはずだ!
そのためには摘みたてのものじゃないといけなくてな・・・


その薬草はどこに生えてるんですか?
私が摘んできます!


雷桜はその薬草がどこで採取できるのかを尋ね、
薬草を取りに行くと伝えた。

霊癒の薬草を急いで摘んできた。
雷桜は薬草を持ち帰り、リチャーノに渡した。
リチャーノは、急いで薬を作ると、メルに服用させた。

よし、ひとまずこれで大丈夫なはずじゃ。
あとは時間が経てば、自然と目を覚ますであろう

 


しかし、薬を服用したメルは、一向に目を覚ます気配を見せない。
心配になった雷桜は、今の状況をリチャーノに尋ねた。

 

もしかしたら・・・。
メルを精霊聖殿に送り、しばらく養生させて、彼女に聖殿が持つ神聖な霊気を吸収させれば、メルは目を覚ますかもしれない・・・


リチャーノが提案した。
リチャーノは説明し終えると、メルに対して軽く魔法を施した。
すると、メルの身体が更に宙に浮かび上がった。
そのまま、光に包まれたメルの身体は、精霊聖殿の中へと吸い込まれて行った。

できたぞ!
あとは、メルが目を覚ますのを待つだけじゃ!


メルを精霊聖殿へと送り届けた後、リチャーノはホッと一息ついた。



雷桜様!
アルフィナ様からの伝言を預かってまいりました!
あの黒衣の魔術師は、祭壇付近で、魔界へと通じるゲートを多数開いています!
その影響でモンスターたちも更に暴走し、銀森の村を襲撃しています!


一人の兵士が慌てて駆けつけてきた。
黒衣の魔術師は、奇幻の霧林の方角へと向かった筈なのでは?と、疑問に思った。
どうして村を襲撃しに来たのだろうか?
もしかして、魔術師は雷桜をダーゲットにしているのだろうか?

話は後じゃ!
雷桜! モンスターはまだ村を襲撃しているんじゃ!
早く暴走したモンスターたちを倒してくれ!
ワシはもっと協力してもらえるように、付近をあたってくる!


雷桜は、暴走したパンサーの群れを倒しに向かった。

モンスターたちを撃退した後、
村は徐々に落ち着きを取り戻してきた。
雷桜はリチャーノの元へ戻り、今回のことを報告した。

何事もなかったようで安心したわい・・・。
君の助けがなければ、村がどうなっていたのか・・・。
本当に助かった・・・


リチャーノは、雷桜に深く頭を下げた。

しかし、分からないことがある・・・。
なぜメルが・・・こんなにも危険な目に遭わなければいけないんだ・・・?
きっとなにかあるのに違いない・・・


雷桜は銀霊の祭壇で見たことを伝えた。
黒衣の魔術師、そしてシュウがメルに対して行ったことを、包み隠さず、全てリチャーノに告げた。

シュウが?
まさかあのシュウがか?
そんなのありえん・・・彼は優しい父親のはずじゃ。
彼がメルに酷いことをするとは思えない・・・!

 

雷桜! シュウの行方を掴んだわ!


アルフィナが慌てた様子で駆けつけた。

シュウは自分からアルフィナ様のもとへ来たんです!
アルフィナ様は、黒衣の魔術師に関することをずっと、聞いているのですが・・・、
シュウはメルに会わない限り、なにも話すつもりはないといっています

 


アルフィナがシュウを伴って雷桜の元へ来た。
アルフィナはシュウを問い詰めて、
事の顛末をはっきりさせようとしている。

シュウ・・・あなたは自分の娘を傷つけて、
その結果メルは未だに目を覚ましていないわ・・・。
これは一体どういうつもり?


アルフィナが真剣にシュウに問い詰めた。

真相はお前たちが見たままではない!
私もまた被害者なのだ!

メルはどこだ?
メルは一体今どこにいるのだ・・・!?
メルに会わせてくれ!


雷桜は、一度シュウを落ち着かせて、
メルの現状について話した。

なぜだ? なぜ目を覚ましていない・・・!


雷桜の話を聞いたシュウは、苦痛の表情を浮かべた。

シュウ!
いい加減知っていることを全て話して!
あの魔術師は一体何者なの?あなたたちは、何が目的なの!