新人OLの限界日記 -3ページ目

新人OLの限界日記

死ぬまで生きたら 褒めてよ

2.ネトスト的調査

友人がマルチにはまったかもしれない。

 

この衝撃的に面白い状況を、ほかの人に触れ回らずにいられなかった私は、サークルの友人に一通りのやり取りについて話した。この友人(A君とする)にマルチにはまった友人(マルちゃんとする)のInstagramを教えると、フォロワーを漁ってまるちゃんの動向を推測し始めた。

 

マルちゃんは大変ありがたいことに、大学の友人と繋がっているアカウントで、彼女の「美容副業」のお仲間たちをフォローしまくっていたのである。

 

「ななこ/100日後にアトピーが治り美魔女になるアラサー」

「れい✿夢見るフリーランス」

「れん<垢抜けサポーター>

 

このような名前のアカウントがフォロー全体の3割程度を占めており、明らかに怪しい。どれも同じような内容で、「9割の人が知らない!」「人気コスメの落とし穴」「30歳アトピーママが100日でアトピー改善する話」……等々、胡散臭いキャッチコピーのつけられた投稿が並んでいる。100日後に何かが起きるらしい美容アカウントが多数観測されるが、100日後に起こる出来事は人死に一択だ。

 

この中で、マルちゃんが2か月ほど前にストーリーに挙げていた初詣と、同じ場所に行っている投稿を見つけた。マルちゃんのストーリーには彼女を含め2人しか映っておらず、誰か親しい友人と初詣に行ったのだと思っていたが、そのアカウントの投稿ではマルちゃんを含め十名ほどの振り袖姿の女性と、30代後半~40代半ばくらいに見受けられる男性が一人映っていた。

 

集団振り袖初詣も衝撃的だが、この怪しい男はなんだ。ぎらついているが、決してイケメン・ハンサムの類ではなく、サングラスをかけて歯だけ白く光らせているツーブロ髭男。どう見てもマルチのボスである。

 

さらにこのアカウントの投稿を見ていくと、大規模なパーティーの動画があった。都内の高層マンションのような場所で、大勢が大鍋でキラキラ映え料理を作り、にこやかに手を叩き、互いをたたえあっている。その中に、楽しそうに手を叩くマルちゃんの姿もばっちり映っていた。馬鹿者め。

 

動画をよく見ると、「株式会社 ××」と書かれているタオルがある。マルちゃんもしっかり肩にかけていた。

さっそくこの会社のHPを調べると、初詣に出てきた男が代表として載っている。

 

事業内容は、フリーランスの養成と書かれている。マルちゃんはこの会社のプロジェクトの一つにあるフリーランス養成プログラムに所属していると考えられる。彼女のアカウントのフォロー/フォロワーには、同プロジェクトの名前をプロフィールに挙げている人もいたため、ほぼ間違いないだろう。ネットで調べられる限りの登記情報では、会社住所は都内の高級高層マンションの一室となっており、このパーティーの開催場所もここであろう。

 

ここで前回の内容に戻る。彼女は有名マルチ商材の△△△の販売を副業として始めたと言っていた。つまりこの会社は、△△△のビジネス会員のことを「フリーランス」と呼び、このフリーランスをまとめ上げるコミュニティの形成を事業として行っていると推測される。

 

これは知恵袋などから得た噂でしかないが、△△△にはビジネス会員をまとめるコミュニティを形成したことに対する報酬があるらしい。これもマルチレベルマーケティングの手法の一つなのだろうか。

 

マルちゃんのお仲間であるInstagramのフォロワーは、みな「フリーランス」を自称しており、フリーランス同士でお互いを高めあい、より多くの人を「フリーランス」として啓蒙することを目的の一つとしている。意味がわからない。

このインチキ啓蒙活動が、「ネットワークビジネス」である。

 

A君のネトスト力を借りた私は、マルちゃんがマルチにはまったことを確信し、マルちゃんと私と同じ学部の人たちにも声を掛けられていないか確認することにした。