今日、仕事をしていて気づいた。

ずっと泣きそうだった。

別に、何か大きなことがあったわけじゃない。
仕事も普通にしていたし、誰かと話すこともできる。

返事をして、笑って、いつも通りに動いている。
でも、ふとした瞬間に喉の奥が詰まるような感じがした。

目の奥が熱くなって、まぶたの裏に涙がにじむ。
鼻の奥までツンとして、少しでも気を抜いたら、そのまま涙がこぼれそうだった。

慌てて瞬きをして、何でもない顔をする。
深く息を吸って、仕事に意識を戻そうとする。

それでも、胸の奥には小さな揺れが残っていた。

「癌かもしれない」と言われたことが、頭に浮かんでいるのかもしれない。

何気ない言葉や、誰かの声、仕事の合間にできたほんの少しの静かな時間。
そういう瞬間に、あの言葉が急に戻ってくる。

そのたびに、胸のあたりがきゅっと縮む。
心臓の近くをつかまれたような感じがして、呼吸が浅くなる。

でも、今日はそれだけじゃない気がした。

癌かもしれない、という不安というより、
もっと漠然とした何か。

何が怖いのか。
何が悲しいのか。
何に傷ついているのか。

自分でも、よく分からない。

ただ、涙だけが先に出てこようとする。

理由を説明できないまま、目の奥だけが熱くなる。
泣くほどのことじゃないと思おうとするほど、余計に胸が苦しくなる。

家に帰っても、たぶん普通に子どもたちと過ごす。

「ただいま」と言って、
ご飯を食べて、
風呂に入って、
いつも通り寝る。

子どもたちの前では、きっと普通にしていると思う。
笑うこともできるし、話すこともできる。

でも、ふと一人になった瞬間に、また涙が出そうになるかもしれない。

洗面所で顔を洗ったとき。
布団に入って、部屋が静かになったとき。
スマホを置いて、何も考えないようにしたとき。

そういう時に、押し込めていたものが、ゆっくり浮かんできそうな気がする。

それなのに、ずっと心のどこかで泣きそうになっている。

胸の奥がざわざわして、落ち着かない。
何かを失ったわけでもないのに、もう失いかけているような感覚がある。

こういう感覚って、なんなんだろう。

「大丈夫」と思っている自分と、
「なんかしんどい」と感じている自分が、
同時にいるような感じ。

大丈夫だと言い聞かせる声のすぐ隣で、
本当は怖い、と小さく震えている自分がいる。

その二つの自分が、胸の中で何度もぶつかっている。

今日は、それに気づいた。

気づいてしまったら、もう見ないふりはできなかった。

だから、とりあえず書いておこうと思う。

今の自分は、ずっと泣きそうだ。