過去にいくつかの舞台を観劇してきて・・
別場所に実は感想などを綴ったりしたんですが
少しずつそれを移したいなと思います。
まずは「オセロー」
初めて観たのがこれでした。そして、今もはっきりと心に残るほどで・・
ラストでは、体中が震え・・涙が止まらなくなったほどに感動しました。
舞台はヴェニス
ムーア人の将軍オセローと貴族の名士の娘デズデモーナが結婚した
将軍の旗手を勤めるイアーゴーはオセローの副官になるのは自分以外ないと思っていたのにオセローは貴族のキャシオーを副官にしたことに腹を立てている
その友人のロダリーゴーはデズデモーナに懸想してイアーゴーを中継ぎにして大金を貢いでいたが夢破れてイアーゴーに愚痴をこぼしている
イアーゴーの企みはロダローゴーを利用するところから始まる
イアーゴーのオセローへの激しい憎しみ・・
私は戯曲を読んだ時それはオセローに対する嫉妬だと思っていた
自分の持たざるものを持つものへの嫉妬と憎悪・・
それがイアーゴーの企みの引き金なのだと・・
だが・・それは違うとこの舞台を観て確信した
イアーゴーはオセローを尊敬し、慕っていたのだろう
オセローはムーア人、しかも奴隷あがりだ
底辺から今の地位まで自分の力量だけで這い上がってきた人物
イアーゴーも何の地位も家柄もない平民の出だ
貴族が力を持つ社会では虐げられる者なのだ
イアーゴーにとってはオセローこそが自分の価値を真に認めてくれる
理解者と映ってもおかしくはない
それが、彼を副官には選ばず、何の手柄も現場の経験もない人間が貴族だからという理由で副官に選ばれた
それも選んだのはオセロー自身だ
イアーゴーは裏切られたと思ったのだろう
信じた者の裏切り
「俺はやつにやり返してやるんだ」
信じた者が自分を裏切るということがどれほど人を狂気へ落すか・・
これはイアーゴーの復讐劇なのかもしれない
吉田鋼太郎さんのオセローは
強く激しく狂おしいまでに美しいオセロー
若い男とは違う
確信を得た美しさ
老成した人格と鍛え上げられた強い肉体
揺るがぬ自信にも満ちていた
そんな彼が愛した女性は
美しく可憐な穢れなき魂を持った天使のようなデズデモーナ
デズデモーナもまた彼の外見の美しさに惹かれたのではなく
また、彼が自分とは違う黒い肌を持つ者として恐れるのでもなく
彼が歩んできた数奇な運命とその過酷な運命に
自らの力のみで戦ってきた孤高の魂に惹かれ
彼の心を包み傷ついた羽を休める安息の場になることを心に誓ったのだ
真実の愛というものは
お互いをあまりにも深く信じすぎることから
悲劇への火種になりうるもの
デズデモーナはオセローこそは唯一の人と信じ
オセローもまたデズデモーナに全てを与え・・そして全てを欲した
だが・・イアーゴーはそんな真実など
小さな猜疑心の種一つでいくらでも崩れてしまうものだと知っていた
失いたくないと思えば思うほどに執着する心は強くなり
撒かれた種が芽をふけば・・あっと言う間に嫉妬という怪物に育ち
偉大な賢者の皮を餌にして
むき出しになった感情だけを表にさらけ出してしまう
イアーゴーはオセローはじめとした多くの仲間から
正直者と呼ばれている
誰からも信頼され、頼りにされているのだ
だが、その心の底は怒りと復讐心と嫉妬が燃える
闇の使い魔そのものだったとは誰も知る由もない・・
彼の魔の手はキャシオーへと迫った
彼の大切なものを奪った張本人だ
イアーゴーの罠にはまり泥酔しキプロスの名士を傷つけて
オセローの怒りを買い失墜してしまうキャシオー
更にイアーゴーは追い討ちをかけるようにオセローに悪魔のささやきを吹き込む
キャシオーとデズデモーナが不倫している・・
正直者のイアーゴー・・嘘などいうはずはない
オセローはあっという間にイアーゴーの術中にはまった
誰にでも慈愛の心を示すデズデモーナ・・
失墜したキャシオーを弁護してオセローに復職を取り成すたびに
猜疑心の芽はどんどんと成長していく
そんな悪魔の所業に運命までもが加担する
デズデモーナがオセローからの初めての贈り物である
大切なハンカチを落し、イアーゴーの妻エミリアが偶然にもそれを手に入れてしまったのだ・・
妻からハンカチを取り上げるイアーゴー
オセローの留めを刺すための最大のアイテムが手に入ったのだ
続く・・・
無茶苦茶長いです。
2007年11月に書いたもの
我ながら・・・アホかいな・・