29 旅情運ぶモノは、いつもモノとは限らない。今回は人だ。聞けば今回は数十年振りの一人旅らしい。家族からの誕生日プレゼントのようだが、なぜ一人なのか。「皆で行けば良いのでは」といらぬ考えが脳裏を過ぎったが、男は嬉しそうだった。要らぬ詮索は無用だろう。それ以上話すこともなく、目的地に到着すると男は礼を言って車から降りて行った。私は基本的に一人だから彼の心情は分からない。だが、今回の旅が彼にとって素晴らしい思い出として残ることを願おう。