お久しぶりです(*・ω・)/
先月はなかなか更新できなかった分、今月はもっとネタを上げていけたらいいなと思ってます。
今回も妄想小話でお送りいたします。
前回がノエル兄ちゃんが主役だったので、今回はリアムの不思議話を書こうかと。
この画像と、Half the world awayをイメージして書きました。

リアムが誰かに話しかけている設定ですが、誰なのかは読む方のご想像にお任せします。
それでは、お楽しみくださいませ(*^ー^)ノ
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たぶん、これから俺が話すことは誰が聞いても簡単に信じてもらえねえだろうな。
俺自身、あれが夢とか幻想とか、そんな安っぽい言葉で片づけたくない、そんな出来事だったんだ。
ただ、あの世界へ行った時の経緯が、ちょっと特殊だっただけさ。
だからあんたには話すんだ。まあこんな話、ノエルでさえ笑い飛ばしちまうだろうからな。
能書きはいいから早く話せって? わかったわかった、いつまでも前置きをこねくり回しているのは、俺の性に合わないからな。
*
どこから話そうか。うーん、俺がその世界に行く前に覚えていたのは、地球儀をいじくり回していたノエルの後ろ姿なんだよ。
アイツ、やたら熱心に地球儀をくるくる回していたからさ、俺、声をかけたわけよ。
「宝の島でも探していんのか?」ってね。そしたらアイツ、
「この世界の反対側がどうなってるのか、見たくないか?」って、笑いながら俺に聞き返すんだ。
だから俺は、「ビートルズがかかっていて美味いもんと酒とキレイなねーちゃんがいるような天国だったら見てみたい」って答えたんだ。
そんなくだらねー事話していただけなのに、突然どこかに意識を持っていかれる感覚に襲われてさ。目の前は真っ暗だし、ノエルの声も何もかもが聞こえなくなっちまって。
あ、言っておくけどその時の俺、もうドラッグはやってなかったから、ラリっている時の感覚とはまた違うぜ。なんていうかその、どこかに意識を持っていかれるんだけど、意識自体ははっきりしている、っていうのかな。俺の言ってることわかるか?
で、次に気が付いたらさっきまでいた部屋じゃなくて、ノエルの姿もなくて、なぜか俺、一人で船に乗っていたんだ。
下手したらすぐに沈んじまいそうな、オンボロな木の船でさ。申し訳程度についているマストもボロ雑巾みたいにヒラヒラと揺れていたな。
天気だけはやけに良くて、空は雲一つなくてクソみたいに澄んでて、まともに太陽が当たってこれまたクソ暑くて、海も陽を照り返してキラキラ光っていた。
なんで俺、こんなところにいるんだ?って、当然思うだろ。船の中には食料すらないし、本当に何にもないんだよ。
まさかここで船が沈没して溺れるか、このまま干からびて死ぬしかないのか、冗談じゃねえと思ったね。必死でヘリコプターか、島でも見つからねえかと辺りを見回してたよ。
そしたらまるでお誂えか?ってくらい偶然、向こう側に島みたいのが見えたんだ。よし、こりゃ助かったと、船から適当に板を外してひたすら漕いで島へと向かったわけさ。
無人島って本当にあるんだなあと、上陸した時マジで感動したね。
だってああいうのって、テレビのクソつまんねえサバイバル番組でしか見たことなかったからさ。あの番組みたいにヤシの実も洞穴もちゃんとあって、電気らしいもんは全然見当たらないんだ。
人の気配もないし、時々ガサゴソと何やら生き物が動いているような音はするけど、本当に俺一人の世界でさ。ああ、これはやっぱりライオネル・リッチーのHelloでも持ってくりゃ良かったとつくづく思ったよ。
と言っても、そん時ひどく腹減ってたし、こんなところで野垂れ死んだらこの俺様の立つ瀬がないと思ってさ。まずは食料探したよ。飾りもんじゃなきゃ、ヤシの実くらいは食えるだろうと木に登ったり、鳥か何かいないかなとそこら辺探したり。
そしたら、ヤシの実が大当たりだったんだ。あ、ヤシの実つっても、本当のヤシの味とは違うぜ。本当肉みたいな味でさ。これなら毎日食っても飽きないような味で本当に美味かったんだ。
食えるような動物はいなかったけど、海に出て魚捕って、持ってたライターで火を起こして焼いたらこれまた美味かったのよ。
水も、ちょっと奥に入ったら綺麗な水が流れている小川があったから、おかげで飲食には困らなかった。まあ、これで酒でもあったら言うことなしだったけど、さすがの俺も文句言える立場じゃなかったし、言うヤツもいなかったしな。
食える動物はいなかったけど、魚焼いていたらひょろ長い鳥とか、小さなクマとかキツネとかが俺の周りに集まってくるから、少しお裾分けしてやったり。
ギターとかあれば良かったんだけど、さすがに木から作る腕は俺もなかったから、海から流れてきた板を持ってきてポコポコ叩きながら歌っていたら、小さな動物達がゾロゾロと出てきて俺の歌に聞き入ってるんだ。これが結構気持ち良かったんだぜ。
あ、猛獣は全然出なかった。まあ、出たとしても黙らせてやる自信はあったしな、本当だよ。
そんな感じで何日か過ごしてたんだ。あんな快適な生活はなかったね。
不便じゃなかったかって? 全然。あのクソッタレなプレスやパパラッチに追いかけ回されることもないし、ノエルや他の野郎どもにギャーギャーうるさく言われることもないし、好きな時に起きて好きな時に眠れる。陽の出てる時は暑かったけど、そん時ゃ海で泳げば良いし、酒と服と綺麗なねーちゃんがいないのを除けば、最高のバカンスだったぜ。
……最初の何日かはな。
やっぱり、ずっとぬるま湯みたいな生活送っていると、あのクソみたいな喧騒が恋しくなってくるもんなんだよな。
海の音や木の葉の擦れる音は眠るのに最高だけど、ノエルのギターがないと何だか物足りないっつうか。
それにいきなり俺がこんなところにいるなんて誰も思わないだろうから、さすがに心配かけてんじゃねえかと思ったり。
いつものように歌を歌っていたら、なんだか色んな人の顔が次々に浮かんでくるんだよ。母ちゃんとか、バンドメンバーとか、スタッフとか、彼女とか子供とか、上の兄貴とか、……ノエルとか。
で、ふと思いついてある歌を歌ってみたんだ。たぶん俺が人前で歌うことはないけど、とても好きな歌。
~I would like to leave this city~
うーん、俺が歌っていてもノエルの声が頭の中でかぶってくるんだよなあ。
また例によって小さな動物達がゴソゴソと顔を出してきたけど、構わず俺は歌い続けた。
~And when I leave this island I'll book myself into a soul asylum~
アイツが逃げてえって歌っているのに、今は俺が逃避しているみたいで何だか変な感じだな。
~You can't give me the dreams that are mine anyway~
世界の反対側で、世界の反対側で、と何度か繰り返す。
ここに来る前にノエルが言ってた「世界の反対側がどうなってるのか、見たくないか?」って言葉を思い出す。
ああ、ノエル、俺はきっとあんたの言ってる世界に来てしまったのかもしれない。
くだらねえことで大騒ぎしているバカ共なんかと一緒にいるよりは、きっとこっちの方がいいんだろうな。それなのに、俺の心の中には幾つもの針で刺したような穴が空いちまっているんだ。何故だと思う?
きっと生まれた時からずっと渇望しているもんがあるんだろうけど、もしそれが満たされたら、きっと俺は周りのヤツらみたいにつまんねえ人生送ってお終いな、ちっぽけな人間になるしかないんだ。
口うるせえし、理屈っぽいし、クソ真面目だし、ワンマンで憎たらしいヤツだけど……
「ノエル」
それでも、俺にはあんたが必要なんだよ。
「ノエル!!」
なんでここにいないんだよ、俺の周りで小首を傾げている小さな動物達みたいに、草陰からひょっこり出てくんじゃねえのかよ。隠れてないで出て来いよ。そして、俺の隣でギターを弾いてくれよ。
「ノエル!! ノエルーー!!!」
沈んでいく太陽が、燃え落ちていくみたいでなんだか不安で、俺は声の限り何度も何度もノエルの名前を叫び続けた。
声もガラガラになって出なくなって、さすがに立ってられなくなって膝をがくりと落とした時に、また目の前が真っ暗になって、俺はあの意識を持っていかれる感覚に襲われたんだ。
そこでハッと目を覚ますと、いつの間にか俺はノエルと一緒にいた部屋に戻っていて。備え付けのベッドに寝かされていて、なんでか額に冷たいタオルを乗せられていてさ。
「気がついたみたいだな」
横にはいつもの苦虫を噛み潰したような顔じゃなくて、少し安心したような表情のノエルがいて。俺、なんだか戻ってきたことを上手く受け入れられなくて、言葉が出なかったんだ。
「お前、話をしている時にいきなり倒れたんだよ。熱出してるし、うなされてるみたいだったし、医者も出てきて大変だったんだぜ」
「熱……」
「さっきもやたら俺の名前うわ言で呼んでたしな。ちょっと恥ずかしかったけど、心配したんだぞ、マジで」
「ノエル……」
頭を動かしてちょっとずれたタオルを直しながらノエルに呼び掛けると、珍しいくらい優しい表情で「何だ?」と俺に聞いてきたからさ。
「俺、どのくらい寝てた?」
「2時間くらいだな」ノエルのヤツ、そう言って立ち上がってから、いつもの調子に戻って俺にこう言ってきやがった。
「今日はゆっくり休んでさっさと治せ。じゃないと、明日のギグまた中止になったら敵わんからな」
*
これが話の全てさ。
俺が体験したことは数日間のことだと思っていたけど、実質はほんの2時間だったわけ。
こんな話、どうせノエルに言っても、あの石頭野郎が信じるわけないだろ? アイツのことを想って名前を叫んでいても、結局それはうわ言でしかなかったわけだし。全くつまんねえヤツさ。
でもさ、そんなこともあろうかと、ちゃんと証拠品があるんだぜ。あの無人島にいる間に小瓶を見つけて、波打ち際の砂を詰めてコートのポケットに入れておいたんだ。
これがその砂さ。パウダーみたいに白くてサラサラしてて、あちこちキラキラ光って綺麗だろ。
まあ、あんたは信じなくてもいいさ。もし、これをノエルに見せて話したら、どんな顔するかと考えただけで、すげえワクワクするんだよな。
どう思う?
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回はネタ画像を復活させたいと思ってます( `ー´)ノ