《 Masuda side. 》
シゲが最後にくれた贈り物。
お前、記憶操作は徹底してるのになんでこれは残すんだよ?
しかもI will see you again.なんて。
また逢う日までなんて…期待すんだろ。
<こんばんは!
ピコンと、携帯がなる。
もうすぐ寝ようと思っていたのに。
誰だよ…
携帯を取って、通知を確認するとそこには丸山隆平の文字。
<こんばんは!丸山くんですか?
<大正解!丸山隆平やで
<どうかされたんですか…?珍しいですね
<いきなりこんな時間にごめんなぁ…ちょっと聞きたいことがあって
<はい…
<電話しても、ええ?
…え
電話?
俺、あんまり丸山くんと話したことないんだけど…
<いいですけど…
話したことないんだけど、断れないよなぁ…
返信すると、すぐに電話を知らせる音が鳴り響く。
「はい、もしもし」
『もしもし?いやぁ、増田くん。ホンマにごめんなぁ』
「いえ、全然!むしろ嬉しいです」
『ホンマ?ならよかってんけど…俺、増田くんにどうしても聞きたいことあんねん』
「聞きたいこと…ですか」
聞きたいこと?
こんな時間に?
『シゲちゃんってさ、今どうしてる?』
ドクン、と心臓が波打った。
「…え?」
丸山くんがなんでシゲのこと知ってんの?
いや、まぁ、丸山くんはシゲと親友って言うくらい仲良かったけどさ、
なんで覚えてんの?
『…意地の悪い質問したわ。ごめんな…』
「い、いえ…」
聞いてもいいのかな、
丸山くんは何者なんですかって。
聞いてもいいのかな、
シゲのこと覚えてるんですかって。
「丸山くん、あの…っ」
『俺な、ヴァンパイアハンターやねん』
「え…」
『増田くんも気ぃつかへんかったやろ?』
「…はい」
『まぁ無理もないわぁ…俺、狩らへんもん。ヴァンパイアなんて』
「狩らない?」
『おん、ただ見守るだけ。俺はそういうタイプやねん。』
「…そういう選択肢もあったんですか?」
『…まぁ、せやな』
「なんで…じゃあ…俺は一体…」
『増田くん、キミはもうシゲちゃんの姿を探したらアカン』
「え?」
俺は黙ることしか出来なかった。
『シゲちゃんは記憶操作まで使って増田くんに普通に戻って欲しかったんや。なのにそれを…後悔したらアカンやろ』
「…でも俺は…」
『…増田くん、これから先、シゲちゃんのことを気にせんと前を向いて、小山くんと手越くんを支えられるか?3人を受け入れられるか?』
言葉が詰まる。
「…っはい」
『振り向いたらアカンよ。シゲちゃんだって、そんなこと望んでないはずや』
「…シゲのことは俺だけでもしっかり覚えてなきゃって…思ってたんです」
『…おん』
『振り向いたらアカンよ。シゲちゃんだって、そんなこと望んでないはずや』
「…シゲのことは俺だけでもしっかり覚えてなきゃって…思ってたんです」
『…おん』
「だから…マネージャーとかスタッフさんが3人でいるのを見て全員って言うのがすごく悔しくて、悲しくて…」
だんだん涙声になる。
情けない
「イライラして…でも、それは多分間違えていました。」
『増田くん』
「…はい?」
『シゲちゃんは大丈夫やで。』
「…え?それってどういう…」
『丸山隆平のカン、や!』
「ほなな!」と電話が切れた。
丸山くんの明るい言葉にハテナが浮かぶ。
大丈夫って何が…?
少し考えていると、通知がなった。
< 偉そうなこといってごめんなぁ
< いやいや!全然!!ありがとうございました
それだけ打って、携帯を閉じた。
手越と小山と俺の3人のグループに戻る。
< 今日は二人に色々気を遣わせてごめん
明日からはちゃんと、いつものまっすーに戻るから
< まっすーが自分でまっすーって言った!!
< スクショしちゃった~!
< それはどうでもいいんだよ!!
< あ、それなら全然大丈夫だよ!
< 俺も気にしてないよ!!あと、もう3ヶ月後にはライブやるってさ!
< うわ~!!頑張らなきゃ!
< 俺も全力を尽くすよ
こいつらにツッコムのって、こんなに疲れるっけ?
まぁいつもNEWSの主なツッコミ役はシゲだったからなぁ…
今度からは俺がやるのか…
苦笑いでスマホの画面に文字を並べる。
会話が途絶えない。
3ヶ月後…か。
うん、きっと大丈夫だよな。
俺たちなら。
きっと。
―
《 Koyama side. 》
あれから随分と日にちが経った気がする。
ライブの準備も着々と進んでるし、俺たちのコンディションもバッチリ。
…なはず。
衣装もグッズのデザインも決まったし、ライブの流れもだいたい決まった。
もう本番も間近だ。
「あ、そうそう、ライブさ、あれ付けようよ。あれ。」
「…あれ?」
「そう。あれ!」
「なにそれ」
「やっぱり夫婦みたいに『あぁ、あれね』とはいかないか~!!」
「…いいから早く言えよ」
手越があぱー!とおでこに手を当てて叫ぶ。
それをまっすーは真顔で見ていて、俺も何も言わずにただ見てた。
「NEWSの!!指輪だよ!俺があげたじゃん!クリスマスの時!」
「あぁ~!!指輪ね!」
「最初から指輪って言えよ!」
「てごぺろー」
「いや、でも俺日常的につけてるよ?」
「あれま」
「俺も首から吊るしてたりするよ」
トクベツとかじゃなくて、俺はNEWSというものを常に身近に感じていたい。
だからライブの時だけとかじゃなくて、日常的につけてる。
まっすーも鎖を通してネックレスにしているらしい。
「あのネックレスさ、ぶっちゃけいくらくらいした?」
「ぶっちゃけ?」
「うん」
「ひみつー!!」
「えー…」
「言っても割としないよ?文字も自分で掘ったし」
「あー、なるほど~」
まっすーが首から吊るしていた指輪を机の上に置く。
俺も指にはめていた指輪を、まっすーのと少し隙間を空けて置く。
「手越は?」
「そりゃもちろん、ありますよ!」
手越もカバンから高そうな指輪用の箱を出して、そこから指輪を取って並べる。
NとEとWが並ぶ。
…あれ?
NEW?Sは…?
「あれ…S…は?」
「…本当だ。でも俺、絶対に3人いるのにこんな中途半端なことしないよ!!」
「Sって、誰が持ってる?」
「え、わかんないよ…俺メンバーにしかこんな大切なもの渡さないもん」
「でも俺ら、元から3人だし…」
「えぇ…?Sも作った気がするんだけどなぁ」
NEW、新しい…?そんなわけないよね。
なんだろう。
この違和感。
クリスマスが過ぎた頃から、度々自分の中でなにかもやもやとしたものが度々広がる。
なんだろう。
俺だけかな?
「Sは、手越ちゃんと作ってたよ」
「え?」
「ちゃんとメンバーに渡してたから安心しろ」
ライブの準備も着々と進んでるし、俺たちのコンディションもバッチリ。
…なはず。
衣装もグッズのデザインも決まったし、ライブの流れもだいたい決まった。
もう本番も間近だ。
「あ、そうそう、ライブさ、あれ付けようよ。あれ。」
「…あれ?」
「そう。あれ!」
「なにそれ」
「やっぱり夫婦みたいに『あぁ、あれね』とはいかないか~!!」
「…いいから早く言えよ」
手越があぱー!とおでこに手を当てて叫ぶ。
それをまっすーは真顔で見ていて、俺も何も言わずにただ見てた。
「NEWSの!!指輪だよ!俺があげたじゃん!クリスマスの時!」
「あぁ~!!指輪ね!」
「最初から指輪って言えよ!」
「てごぺろー」
「いや、でも俺日常的につけてるよ?」
「あれま」
「俺も首から吊るしてたりするよ」
トクベツとかじゃなくて、俺はNEWSというものを常に身近に感じていたい。
だからライブの時だけとかじゃなくて、日常的につけてる。
まっすーも鎖を通してネックレスにしているらしい。
「あのネックレスさ、ぶっちゃけいくらくらいした?」
「ぶっちゃけ?」
「うん」
「ひみつー!!」
「えー…」
「言っても割としないよ?文字も自分で掘ったし」
「あー、なるほど~」
まっすーが首から吊るしていた指輪を机の上に置く。
俺も指にはめていた指輪を、まっすーのと少し隙間を空けて置く。
「手越は?」
「そりゃもちろん、ありますよ!」
手越もカバンから高そうな指輪用の箱を出して、そこから指輪を取って並べる。
NとEとWが並ぶ。
…あれ?
NEW?Sは…?
「あれ…S…は?」
「…本当だ。でも俺、絶対に3人いるのにこんな中途半端なことしないよ!!」
「Sって、誰が持ってる?」
「え、わかんないよ…俺メンバーにしかこんな大切なもの渡さないもん」
「でも俺ら、元から3人だし…」
「えぇ…?Sも作った気がするんだけどなぁ」
NEW、新しい…?そんなわけないよね。
なんだろう。
この違和感。
クリスマスが過ぎた頃から、度々自分の中でなにかもやもやとしたものが度々広がる。
なんだろう。
俺だけかな?
「Sは、手越ちゃんと作ってたよ」
「え?」
「ちゃんとメンバーに渡してたから安心しろ」
「まっすー2個持ってるの?」
「…Sは、お前らの心の中っ!」
まっすーがいきなり笑顔で手越と俺の胸のあたりを指さす。
胸の中…?
「なるほど!!でも俺、そんなこと言ったっけ?」
「…そういうことでいいんだよ!」
「う、うん…」
まっすーが勢いに任せて喋っているように感じた。
まぁ、あながち間違いではないのかもしれない。
Sは俺らの心の中にあるっていうの、
「じゃあ、そういうことにしておこっか」
「…うん!わかった」
「…うん」
「手越さ~ん、その曲のリハーサルをするのでスタンバイしてもらえますか?」
「あ、わかりましたー!」
手越がスタッフに呼ばれて慌ただしく楽屋を出ていく。
俺とまっすーの二人きり。
「まっすーさ…」
「ん?」
「俺らになんか…隠してることない?」
「隠してること…?」
「うん…こういうのって聞くのも悪いし、何かあったならまっすーから言ってくれるのを待とうとも思ったんだけど…我慢出来なくて…」
「俺が隠してること?」
「そう、まっすーの隠してること」
「おれはなんもないよ」
「まっすー…"は"?」
「そう、俺はむしろ小山と手越に知って欲しい。」
「え…じゃあ教えてくれても…」
「でも、俺は話せない。俺の場合は"隠してる"じゃなくて、"守ってる"…かな」
まっすーがこんなクサいセリフ言わせんなよ。と頬を人差し指で軽くかく。
まっすーが俺と手越に隠してることは本当はまっすー自身の隠し事じゃないってこと?
誰かが隠し事をしていて、まっすーがそれを守ってるってこと?
「小山」
「え?」
「深く、考えなくていい」
「まっすー…?」
「俺たちは"3人"だ。」
まっすーが微笑む。
少しぎこちない微笑みだったけど、その笑顔を見た瞬間に何故か細かいことなんてどうでもいいような気がした。
3人…か。
うん、俺たちは3人だ。
3人でNEWSなんだ、それでもう長い間過ごしてきたじゃないか。
今更感じるこの違和感だって、
きっと、
きっと、気のせいなんだ。
「…Sは、お前らの心の中っ!」
まっすーがいきなり笑顔で手越と俺の胸のあたりを指さす。
胸の中…?
「なるほど!!でも俺、そんなこと言ったっけ?」
「…そういうことでいいんだよ!」
「う、うん…」
まっすーが勢いに任せて喋っているように感じた。
まぁ、あながち間違いではないのかもしれない。
Sは俺らの心の中にあるっていうの、
「じゃあ、そういうことにしておこっか」
「…うん!わかった」
「…うん」
「手越さ~ん、その曲のリハーサルをするのでスタンバイしてもらえますか?」
「あ、わかりましたー!」
手越がスタッフに呼ばれて慌ただしく楽屋を出ていく。
俺とまっすーの二人きり。
「まっすーさ…」
「ん?」
「俺らになんか…隠してることない?」
「隠してること…?」
「うん…こういうのって聞くのも悪いし、何かあったならまっすーから言ってくれるのを待とうとも思ったんだけど…我慢出来なくて…」
「俺が隠してること?」
「そう、まっすーの隠してること」
「おれはなんもないよ」
「まっすー…"は"?」
「そう、俺はむしろ小山と手越に知って欲しい。」
「え…じゃあ教えてくれても…」
「でも、俺は話せない。俺の場合は"隠してる"じゃなくて、"守ってる"…かな」
まっすーがこんなクサいセリフ言わせんなよ。と頬を人差し指で軽くかく。
まっすーが俺と手越に隠してることは本当はまっすー自身の隠し事じゃないってこと?
誰かが隠し事をしていて、まっすーがそれを守ってるってこと?
「小山」
「え?」
「深く、考えなくていい」
「まっすー…?」
「俺たちは"3人"だ。」
まっすーが微笑む。
少しぎこちない微笑みだったけど、その笑顔を見た瞬間に何故か細かいことなんてどうでもいいような気がした。
3人…か。
うん、俺たちは3人だ。
3人でNEWSなんだ、それでもう長い間過ごしてきたじゃないか。
今更感じるこの違和感だって、
きっと、
きっと、気のせいなんだ。
―
《 Tegoshi side. 》
「ふー!疲れたー!」
「あ、手越おかえり」
「ただいま!次慶ちゃんだってさ!」
「はいはい~、いってきま~す」
ソロ曲のリハが終わり、俺はソファに体を埋める。
慶ちゃんがよっこらしょと腰を上げて手を振りながらドアの向こう側に消えていった。
「あ、そういえばシゲさ」
そこまで言いかけてぴたっと止まる。
…ん?
「…手越?」
…んん?
「お前…今なんて…」
「い、いや…今俺なんて言った?」
「い、今…シゲって…」
し、シゲ…?
シゲって誰だ…?
城島くん?いやいやまさか…それは絶対にない。
じゃあ重岡大毅くん?うーん…それもない。
え、じゃあ他に俺の知り合いにシゲなんていたっけ?
「シゲって、誰だ…?」
「手越…?」
まっすーが眉を八の字にさせながら目を丸くして俺の顔を見る。
そんな顔で見ないでよ!
ただよくわからない名前が出ちゃっただけじゃん!
「き、気にしないでよまっすー!そんな顔で見ないで?!」
「い、いや…ごめん」
「あ、えっと…それでさ、
まっすーさ「手越さ」…あ」
「あ…えっとその…ごめん、先いいよ」
「いや、まっすーからどーぞ」
2人で手を前に差し出しながらどうぞどうぞと、どっかのお笑い芸人みたいなことをしている。
じゃあ俺が…はやってないけどね!
これぞまさに譲り合いの精神!!
「あ、じゃあ…手越ってさ、」
「ん?」
「吸血鬼…とかって信じる…?」
…きゅうけつき?
吸血鬼?!
「ど、どうしたのまっすー、まっすーがそんなこと言うなんて珍しい…」
「いいから答えろよ」
「え~、う~ん、俺は…信じるかなぁ」
「え…なんで?」
「なんとなく、いる気がする」
わからないけど、いる気がする。
特に根拠はないしただの幽霊がいるとか宇宙人がいるとかそんな感じ。
信じるか信じないかはあなた次第です。みたいな。
「…そっか」
「まっすーは?」
「俺は、いないと思う」
「あっははは!!やっぱり!言うと思った~」
「そんな笑うなよ…」
「あ、手越おかえり」
「ただいま!次慶ちゃんだってさ!」
「はいはい~、いってきま~す」
ソロ曲のリハが終わり、俺はソファに体を埋める。
慶ちゃんがよっこらしょと腰を上げて手を振りながらドアの向こう側に消えていった。
「あ、そういえばシゲさ」
そこまで言いかけてぴたっと止まる。
…ん?
「…手越?」
…んん?
「お前…今なんて…」
「い、いや…今俺なんて言った?」
「い、今…シゲって…」
し、シゲ…?
シゲって誰だ…?
城島くん?いやいやまさか…それは絶対にない。
じゃあ重岡大毅くん?うーん…それもない。
え、じゃあ他に俺の知り合いにシゲなんていたっけ?
「シゲって、誰だ…?」
「手越…?」
まっすーが眉を八の字にさせながら目を丸くして俺の顔を見る。
そんな顔で見ないでよ!
ただよくわからない名前が出ちゃっただけじゃん!
「き、気にしないでよまっすー!そんな顔で見ないで?!」
「い、いや…ごめん」
「あ、えっと…それでさ、
まっすーさ「手越さ」…あ」
「あ…えっとその…ごめん、先いいよ」
「いや、まっすーからどーぞ」
2人で手を前に差し出しながらどうぞどうぞと、どっかのお笑い芸人みたいなことをしている。
じゃあ俺が…はやってないけどね!
これぞまさに譲り合いの精神!!
「あ、じゃあ…手越ってさ、」
「ん?」
「吸血鬼…とかって信じる…?」
…きゅうけつき?
吸血鬼?!
「ど、どうしたのまっすー、まっすーがそんなこと言うなんて珍しい…」
「いいから答えろよ」
「え~、う~ん、俺は…信じるかなぁ」
「え…なんで?」
「なんとなく、いる気がする」
わからないけど、いる気がする。
特に根拠はないしただの幽霊がいるとか宇宙人がいるとかそんな感じ。
信じるか信じないかはあなた次第です。みたいな。
「…そっか」
「まっすーは?」
「俺は、いないと思う」
「あっははは!!やっぱり!言うと思った~」
「そんな笑うなよ…」
「まっすーってたまに現実主義者だよね」
「でも手越だって前はいないっつってたじゃん」
「え、俺そんなこと言ったぁ?」
「言ったよ。少し前に」
「うそだぁ」
「本当だし」
「まじかー」
俺、吸血鬼信じるタイプだよ?
だってこの世のどこかにはいそうじゃない?
世界は広いし。
いても驚きはしないかな。
…って嘘です。さすがに驚きはする。
「あ、そうそう、吸血鬼といえばさ」
「なに?」
「俺、少し前にすごい怖い夢見たの」
「ん?」
「最終的には慶ちゃんが助けてくれたんだけど、」
「うん」
「吸血鬼に噛まれる夢」
まっすーが手に持っていたドーナツを落としそうになる。
口を半開きにしたままフリーズ。
目の前でパタパタ手を動かしてみる。
「…で?」
「え?」
「そのあとどうしたの」
「だから、慶ちゃんが助けてくれたの」
「ふーん」
「えー!そんだけぇ?あ、でもあの吸血鬼は悪そうなやつじゃなかったな」
「なんで?」
「何故か知んないけど、噛まれた後にもう1人来て慰めてくれたの」
「…」
まっすーが地面を見つめる。
そんなまっすーを横目に俺はまるで思い出の1部かのように語る。
「その時俺はパニックでそいつのことも追い払ってたけど、すごい優しい声で手越って呼んでくれたの」
「吸血鬼が?」
「そうだよ。まぁ慶ちゃんが来てからすぐに消えちゃったんだけどね、」
「まるで現実にあったみたいに言うんだな」
「ふふ、何故かそのくらい印象に残ってるんだよ。その夢は」
「でも手越だって前はいないっつってたじゃん」
「え、俺そんなこと言ったぁ?」
「言ったよ。少し前に」
「うそだぁ」
「本当だし」
「まじかー」
俺、吸血鬼信じるタイプだよ?
だってこの世のどこかにはいそうじゃない?
世界は広いし。
いても驚きはしないかな。
…って嘘です。さすがに驚きはする。
「あ、そうそう、吸血鬼といえばさ」
「なに?」
「俺、少し前にすごい怖い夢見たの」
「ん?」
「最終的には慶ちゃんが助けてくれたんだけど、」
「うん」
「吸血鬼に噛まれる夢」
まっすーが手に持っていたドーナツを落としそうになる。
口を半開きにしたままフリーズ。
目の前でパタパタ手を動かしてみる。
「…で?」
「え?」
「そのあとどうしたの」
「だから、慶ちゃんが助けてくれたの」
「ふーん」
「えー!そんだけぇ?あ、でもあの吸血鬼は悪そうなやつじゃなかったな」
「なんで?」
「何故か知んないけど、噛まれた後にもう1人来て慰めてくれたの」
「…」
まっすーが地面を見つめる。
そんなまっすーを横目に俺はまるで思い出の1部かのように語る。
「その時俺はパニックでそいつのことも追い払ってたけど、すごい優しい声で手越って呼んでくれたの」
「吸血鬼が?」
「そうだよ。まぁ慶ちゃんが来てからすぐに消えちゃったんだけどね、」
「まるで現実にあったみたいに言うんだな」
「ふふ、何故かそのくらい印象に残ってるんだよ。その夢は」
あの時俺を呼んだもう一度聞きたくなるような優しい声は、きっともう二度と聞けないんだろう。
だって俺が追い返そうとしたんだ。
夢から追い出したんだ。
あの吸血鬼はきっと優しい吸血鬼だったはずなのに。
吸血鬼という概念に呑まれて、消してしまった。
だから俺、別に吸血鬼は嫌いじゃないよ。
「手越はやっぱり手越だな」
「当たり前だよ、まっすーもまっすーでしょ?」
「…うん」
そう返すと、まっすーは口を閉じたまま目を細めて猫みたいに笑った。
―
《 Masuda side. 》
手越は確かに最初の頃は吸血鬼なんて少しも信じていなくて、シゲが噛まれたって時に笑っていたのに。
なんでかなぁ、シゲ。
本当に。
たまにある記憶操作のの穴はわざと?
指輪がひとつ足りなかったり、アルバムにメッセージを残したり。
まぁアルバムのメッセージはわざとかもしんないけどさ。
「手越~、まっすー、円陣組むよー」
小山が楽屋に呼びに来る。
返事をして、2人で楽屋を出てドームの中にあるステージの上に立つ。
明日から、ツアーがはじまる。
俺たちはここでまた歌うことが出来るんだ。
4人じゃないのが残念だけど、もう振り返らない。
3人で、せめて俺だけは心の中にシゲを連れて前に進んでいく。
「明日!頑張るぞ~!!えいっえいっ」
「「おーー!!」」
スタッフ達と巨大な円陣を作ったあと、3人だけの小さな円陣を作る。
円陣はきっと明日もまた作るんだろうけど。
「よしっ気合い入った!!」
「小山さん手越さん増田さん、ホテルに向かうので準備お願いしまーす」
「はーい」
ステージからはけて楽屋に戻る。
カバンに荷物を詰め込み、シャワーを浴びる
「もー!まっすーはーやーくー!」
「ちょ、待ってよ」
「シャワーなんて部屋で浴びて~!」
「…もう終わったよ!」
そして、急いで着替える。
荷物の入ったカバンを掴み、手越と小山の待つドアまで走る。
「はい、じゃー行くよー」
「まっすーおそーい」
「ごめんって」
手越と小突き合いながら小山の後ろを歩く。
これまでは小山の隣か俺たちの後ろにもう1人いたのに。
…あ、
シゲのこと、考えるのよそうって決めてたんだった。
丸山くんにも言われたんだった。
頭を軽く左右にふる。
「まっすー?なぁにしてんの」
「あ」
「はやくおいで?」
「あ、うん」
いつの間にか車についていたらしい。
よっこらしょと車に乗り込む。
ドアが閉まり、エンジン音と共に動き出す。
なんでかなぁ、シゲ。
本当に。
たまにある記憶操作のの穴はわざと?
指輪がひとつ足りなかったり、アルバムにメッセージを残したり。
まぁアルバムのメッセージはわざとかもしんないけどさ。
「手越~、まっすー、円陣組むよー」
小山が楽屋に呼びに来る。
返事をして、2人で楽屋を出てドームの中にあるステージの上に立つ。
明日から、ツアーがはじまる。
俺たちはここでまた歌うことが出来るんだ。
4人じゃないのが残念だけど、もう振り返らない。
3人で、せめて俺だけは心の中にシゲを連れて前に進んでいく。
「明日!頑張るぞ~!!えいっえいっ」
「「おーー!!」」
スタッフ達と巨大な円陣を作ったあと、3人だけの小さな円陣を作る。
円陣はきっと明日もまた作るんだろうけど。
「よしっ気合い入った!!」
「小山さん手越さん増田さん、ホテルに向かうので準備お願いしまーす」
「はーい」
ステージからはけて楽屋に戻る。
カバンに荷物を詰め込み、シャワーを浴びる
「もー!まっすーはーやーくー!」
「ちょ、待ってよ」
「シャワーなんて部屋で浴びて~!」
「…もう終わったよ!」
そして、急いで着替える。
荷物の入ったカバンを掴み、手越と小山の待つドアまで走る。
「はい、じゃー行くよー」
「まっすーおそーい」
「ごめんって」
手越と小突き合いながら小山の後ろを歩く。
これまでは小山の隣か俺たちの後ろにもう1人いたのに。
…あ、
シゲのこと、考えるのよそうって決めてたんだった。
丸山くんにも言われたんだった。
頭を軽く左右にふる。
「まっすー?なぁにしてんの」
「あ」
「はやくおいで?」
「あ、うん」
いつの間にか車についていたらしい。
よっこらしょと車に乗り込む。
ドアが閉まり、エンジン音と共に動き出す。

