大船にま楫繋貫き漕ぎ出にし沖は深けむ潮は干ぬとも

 

                  海に寄せた歌

                  読み人知らず 萬葉集 巻第七 (1386)

 

 

海原の水平線の見えぬ先に向けて、巨大な動力が始動する。

潮は高まり、そして干いてゆく、── だが、どこまで干いたとしても、

深淵は深淵のままに、── 見えぬものは見えぬもののままに、そこにあり続ける。

 

海はあまりにも深く、なにがあろうともその底は見えず、── だから、人がある限り、人の巨大な動力が始動する。

見えぬ先で人を待つものに、くり返し邂逅するために。

 

 

 

 

 

Toscanini "JUPITER" / W.A.Mozart Symphony No.41 K.551 (4th Mvt)