KONICA HEXANON AR 40mm F1.8
撮影はα7Rで行ったが、写真のカメラは当時のコニカのオートレックスT3だ。
1979年に発売された、コニカのARヘキサノン40/1.8だ。
アサヒカメラ「ニューフェース診断室」では、写りの柔らかさが、それほど肯定的には書かれていなかった。実際、数値的データも、それほど良いものではなかった。
しかしこの5群6枚構成のパンケーキレンズは、いろいろな伝説?を持つ。
いつの頃からか、設計したのは女性技術者だという話が広まり、このレンズの中古価格は高騰した。(^^;
ところで、写真工業誌2005年12月号で、玉田勇氏がこのレンズを紹介しているのだが、次のようなことが書かれている。
なぜ40mmという焦点距離にしたのか、これは写真が好きな女性社員の提案によるものだという。
「家族写真を撮る場合、35mmでは広すぎ、50mmでは狭すぎる」。
この提案によって開発が始まったそうなのだ。
玉田氏は設計が女性だということは書いていなかった。あるいは「女性が設計した」というのは都市伝説(リケジョ伝説?)で、「女性の提案による」ということだったのかもしれないが、真偽は不明だ。
と思ったら、想桜さんからコメント欄に貴重なアドヴァイスをいただいた。
これは間違いなく、女性の設計によるレンズだ。つまりこのレンズは、製品コンセプトも設計も女性によるものなのだ。
しかし話はそれだけではない。驚くべきことも書かれている。
玉田氏はニコンのレンズ設計の総帥、脇本善司氏と話す機会があったそうなのだが、脇本氏がこう言っていたそうなのだ。
「今度、コニカさんが出した40mm1.8レンズは素晴しいレンズですよ!ぜひ撮ってみてください」。
玉田氏は、脇本さんは他社のレンズであっても、良いものは公平に褒めるのかと感激しつつ、コニカにそのレンズの貸し出し依頼をしたそうなのだ。
玉田氏の話を聞いて、コニカサイドも仰天した。
「そうか、レンズの神様がそんなに褒めてくれたか!、すぐ準備する!」。
レンズの魅力とは何なのだろうか。デザインや性能だけではなく、背後に秘められたドラマもまた、大きな要素になってくると思えるのだ。
気温も上がってきた。
このレンズを連れて、ひさしぶりに副将軍家の庭園をめぐろう。梅の花ももう咲いているだろう。
水辺の梅林を、そうして近隣の道路をこのレンズとめぐろう。
Bach: WTC1 No. 19 in A major BWV 864 (Richter)