NIKKOR-H Auto 1:2 F=50mm Nippon Kogaku
1964年発売の、ニコン一眼レフ用の標準レンズだ。通称「がちゃがちゃ」方式のこのレンズは、光学系の変更なしにAiニッコールシリーズに至るまで販売された。
カメラ機種で言うなら、ニコンFとF2の世代にまたがって、光学系が同一のまま販売され続けたのだ。
このレンズは距離表示が「feet」は省略されており、「m」表記のみとなっている。
次のサイトによるとかなり初期のバージョンのようだ。
Nikon Lens versions and Serial nos
また、このレンズのことは、ニコンの歴代レンズ開発の記録と言える「ニッコール千夜一夜物語」にも書かれている。ニコンは、これまでに開発してきたMFレンズの歩みを、忘れることなく残したいと考えたのだろう。
エンジニアたちの思いが表出してくるかのような「ニッコール千夜一夜物語」は、読みものとしても興味深い。
自分たちが心血を注いで作り出してきたものを忘れない。「王者ニコン」の面目の一端がここにあると感じるのだ。
このレンズは、雨上がりの水辺をめぐるのに連れて行こう。
生き物たちの気配も濃密なものになっているだろう。水辺に揺れる様々な影を、このレンズを通して描きたいのだ。
上の写真の画面上部を切り出し。
Dowland | The Frog Galliard [P 23a; Daniel Estrem, Guitar]