HEXANON 1:1.9 f=47mm KONISHIROKU
KONICA AutoS
コニカ(小西六写真工業)のカメラ、「オートS」は1963年に発売された。
もう50年以上も昔、日本のカメラ作りがいよいよ本格化した時代に発売された、世界初の「CdS受光素子を搭載した、レンズ固定式の金属製カメラ」だ。
フィルムメーカーとして知られていたコニカだが、前身である六櫻社時代からカメラメーカーとしても老舗だったのだ。
コニカは自社設計のレンズに「ヘキサノン(HEXANON)」という名を与えた。
HEXAとはギリシャ語の「6」だ。
「小西屋六兵衛店」としての創業以来、6という数字はコニカのシンボルのように扱われているのだ。
ヘキサノンの描写性能は、現代においても高く評価する人が多い。それも、コアなファンが多いのだ。
このカメラは、5群5枚構成のヘキサノンレンズを搭載する。ややユニークな構成だが、レンズタイプはクセノターだろうか。
入手した個体は、なぜか巻き上げレバーがついていなかったり、そもそもCdSが外されていたりと、欠品だらけのジャンク¥500だった。
しかしレンズは無事だったので、ユニットごと外してEマウント化した。
レンズユニットは、中間リングによってフランジバックを合わせ、Eマウントを取り付ければ使用可能になる。
50年以上も昔のヘキサノンが、ミラーレス機によってよみがえるのだ。
このレンズを使ってみて感じたのは、なによりも「写りの瑞々しさ」だった。
レンズには個性がある。植物の葉にしても、たとえ解像力や発色が良くても、どこかカサカサの造花のように写るレンズも少なくないのだ。
個人的には、このレンズが世評通りに優秀であることに異論はない。
1963年に発売されたヘキサノンは、これまでにも多くの被写体を瑞々しく結像させてきたのだろう。
多くの笑顔を結像させてきたなら、その笑顔をふたたび見てみたいと思えてくるのだ。
Bach: Two-Part Invention No. 6 in E Major, BWV 777