α9xi + インテリジェントカード 「ファンタジー2」 minolta
写真撮影に「多重露光」という手法がある。
同じコマに複数の映像を重ねる手法だ。一般的にはこの手法によって、形の面白さや非日常性が追及される。
しかし「多重」ではあっても、かならずしも明瞭な画像同士を重ね合わせる必要はない。
二回多重露光をするとして、一回目はピントの合った写真を、そうして二回目はピントを大きく外した写真を重ね合わせる手法もあるのだ。もちろん、同じ被写体に向けてだ。
これによって、ソフトフォーカスレンズとはどこか異なる、不思議系の絵を描くことができる。
もちろん、撮影には手間がかかる。気軽にスナップ写真を撮るかのように撮影することは、容易ではないのだ。
いまはソニーのカメラ部門になったミノルタは、1988年にフィルムカメラαシリーズで、「インテリジェント・カード・システム」を開発した。
カメラの基本的な機能に、別の機能をカードによって付加するシステムだ。
インテリジェント・カード・システムは進化し、「ファンタジー2」というカードが登場した。このカードにはモードが二つあった。その片方がまさに上の多重露光機能だった。
この機能により、「普通にスナップ撮影する感覚」で、ピントが合った写真とピントが外れた写真を合成する撮影が容易になったのだ。
カード対応のαはいろいろあったが、この機能が使えるのは「α707si」「α7xi」「α9xi」の3機種だけだ。
この機能ゆえにα9xiは、フィルム時代の名器α9000、α7、α9より以上に、いまだ持ち出す機会が多い。
その描写はあまりにも独特であり、光はまるで香気であるかのように描き出される。おかげで?手放せないフィルムカメラになってしまっているのだ。
J. S. Bach - Brandenburg Concerto No. 5 in D major BWV 1050 (1/2)
- Musica Antiqua Köln