もう100年近くも前の蛇腹カメラ、ベビーパールに搭載されたレンズによって撮影した写真をご紹介したい。

ボディがジャンク状態だったベビーパールからレンズ部分を取り外し、ペンタックスのフィルムカメラ、MEに取り付けて撮影したものだ。


「ベビーパール」とは、今から80年ほど前に、六櫻社(現コニカ)で発売されていたカメラの名前だ。
レンズ銘は、「Optor 1:4.5 f=50mm Rokuoh-sha」。もちろんコーティングもされていないレンズだが、想像外の描写をしてくれた。

それをご紹介したいと思うのだ。

 


 

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落葉するのが早い木もあるし、遅い木もある。
早い木は、もうすっかり冬支度をしているかのようだ。


 

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「橋」とは不思議なもので、写真の中に写りこんでいると、どんなに小さな橋でも、不思議に存在感があると思う。
遠くには野焼きの煙が見える。焚火の煙には、どこか懐しさを感じてしまう。


 

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公園のかたすみに、誰が植えたのか秋の花々が咲いていた。
通りかかる人たちに、にぎやかに笑いかけているかのようだ。咲いている限り、いつも笑いかけてくれるのだろう。


 

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壁にさす影は、時間の経過にともなって変化してゆく。絵模様が変化してゆくようで面白い。

 

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雨の日の寸景だ。
もう少し近づいて撮影できると良かったのだが、このレンズはここまでがいっぱいだった。

すなおな描写をするレンズだと思う。

 

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陽が沈む時間帯の撮影だ。
左斜め方向上にむかって光が射している。沈み行く太陽が、自分の存在を空に示しているかのようだ。


 

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なにげなく通り過ぎてしまうような道沿いにも秋がある。
人の生活があり、季節に彩られた壁がある。そのことに、なんとなく楽しい思いがしてしまう。


 

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ススキの穂が、逆光に輝いていた。まるで、歌っているかのようだ。
手入れもされていない、ただただ雑然とした荒地なのだが、そこもまた光に彩られている。
秋なのだ。「彩り」という言葉は、夏よりも秋が似合う気がしてしまう。


 

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自室での撮影だ。左側のCDプレーヤーはかなり古いものなのだが、18枚のCDを連続演奏できるからBGM専用プレーヤーとして重宝していたりする。
CDプレーヤーの下に、太古の?LPレコードが見える。やや左のほう、背表紙にブルー帯が入ったLPが見えるが、次の曲はこのLPからデジタル化したものだ。

がっつり脱線しているが。
 

J.S.BACH "Flute Sonata in B minor BWV1030 - Andante" - [Vinyl record]


 

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振り仰げば、もう木の葉も残り少ない枝が見える。
わびしげな情景にも見えるのだが、天気の良い日には、その明るさがなにか不思議なものに思える。
わびしいのではなく、循環するものの一つの姿なのだと思えてくるのだ。


 

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階段が多い場所は、なんとなく不思議だ。
この写真の団地は、山の斜面に作られた団地で、通路はどこもほとんど階段になっている。迷路の幻惑を感じさせてくれる散歩コース?だ。


 

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画面中央、やや上に太陽が写っている。
画面に太陽を入れる撮り方は、レンズには過酷な条件と言えるのだが、この古いレンズは、大きな破綻もなく描写してくれた。


 

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皇帝ダリアだ。今年はこの花をあちこちで見かけた。人気なのだろうか。
もう花期も終わりかけているのだが、冷えた青空に映える花だと思う。


 

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木々の緑は夏の濃い色が抜け、やや乾燥したような色に変わりつつある。
夏の「形」だけが残り、しかし熱は抜け落ちて行く。
この季節、空の雲もどこか穏やかな表情に変わっていくように感じる。


 

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葉は落ちているが、やっと色づき始めた柿だ。
柿の幹って、こんな形だったかなと思います。北国では、雪に圧迫されてこのような形になった木をよく見かけるのだが。


 

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画面左上の、Uターンしている道路の意味がよくわからないのだが、子どもの遊び場なら、その形状を応用して新しい遊びが発明?されるのかもしれないと思う。

 

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ショッピングモールの駐車場で撮ったものだ。
なにげない日常の中にも、あまりにも多様な情景はあり、それは、気がついても気がつかなくてもあるということが不思議だ。


 

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竹が逆光を受けている。
このあたりでは、光る虫(鳥?)が飛んでいるのをよく見かけるのだが、いったい、なんなのだろうか。
わからないなりに、なにかが飛んでいるのだ。?


 

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常陸太田市、旧里美村の「かかし祭り」だ。いつも明るく、暖かく、秋祭りの喜びを感じさせてくれる。

 



あまりにも古いレンズだ。

当時使った人の視線も笑顔も、いまは物言わぬ痕跡となってしまっている。
しかしその痕跡が、「無関心ではない対象があった」ことを物語っている。
こうやって使うことにより、ふたたびその焦点に
「無関心ではない」映像を結像させることができるのだ。


 

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       ASAHI PENTAX ME + Optor 1:4.5 f=50mm Rokuoh-sha

 

 

 

 

LPレコードでマントバーニ ”旅情” ”ライムライト” 他 全4曲

 - Mantovani FILM encores "Summertime in Venice" "Limelight" VINYL