町はずれの通り。そのあたりは古びた住宅街だ。商店はほとんどない。
そんな通りに一軒、「人形の家」という店がある。人形専門店だ。手作りの人形が数多く置いてある。
── もともとの素材は形もなく、製作者の手によって、人の姿になっていく。
そうして、製作者が納得した時点で、店頭に置かれるのだ。すっかり人の姿になって。(6/8)
音楽。世界は一音の中に還元され、一音はまた世界を喚起する。
── 黒鍵。僕の天秤に投じられる光の屈折。(6/9)
古びた街外れ。草が生い茂り、古い木材が少しばかり置かれている広い土地。
古びた立て札。「**予定地」。
立て札が残る限り、予定地であることに変わりはなく、── いまは荒れているその土地の彼方には、電波塔の灰色の姿。(6/14)
鉄格子のなかで、退屈しのぎに鉄格子を強化している男。
── いくども監禁されてきたのだろう。鉄格子を破壊しているつもりなのだ。
(6/14)
「確かに住んでいた場所」が、「知識の中の場所」へと移る。
雪国に住んでいた男は、今は暖かな街の中に住み、「雪は冷たい」と頭の中で考える。
── 男の前に雪がなくても。(6/3)
嵐の後にやってくる静けさは、嵐の後でしかありえない静けさとなる。(6/17)
人生が成功だったか失敗だったか、死ぬ寸前に決めるしかないだろう。
それなら、その人間にとっての「成功、失敗」を最後に確認するのは、別の人間になる。
── 当の本人にとってどうでも良いものになったときに、結論は出る。(6/9)
夏。乾いたアスファルトの路面には陽炎が揺らめいている。
噴水。砕け散った光という光が空間へと舞い上がり、その輝きは陽炎の中に溶け込んでゆき ── 陽炎は一層激しく燃え上がる。(6/20)
「私ね、チャイナドレスが好きなの」。
夜の向こう側に住む彼女は得られないもののために、そこにいる。
「ここがね、私の居場所なのよ」。
── 明るく乾いた浜辺もあれば、霧の出たあたたかく静かな夜の街頭もある。
(6/20)
久しぶりの雨。高い気温も、冷えた風に押さえ込まれていく。(6/21)
僕の角膜を通して見た風景。目に留まるものが僕の居場所を示す。── 豊かで冷たく、透明な水の流れも、墓地の高い木々のざわめきも、僕の居場所を示す。
(6/21)
そんな通りに一軒、「人形の家」という店がある。人形専門店だ。手作りの人形が数多く置いてある。
── もともとの素材は形もなく、製作者の手によって、人の姿になっていく。
そうして、製作者が納得した時点で、店頭に置かれるのだ。すっかり人の姿になって。(6/8)
音楽。世界は一音の中に還元され、一音はまた世界を喚起する。
── 黒鍵。僕の天秤に投じられる光の屈折。(6/9)
古びた街外れ。草が生い茂り、古い木材が少しばかり置かれている広い土地。
古びた立て札。「**予定地」。
立て札が残る限り、予定地であることに変わりはなく、── いまは荒れているその土地の彼方には、電波塔の灰色の姿。(6/14)
鉄格子のなかで、退屈しのぎに鉄格子を強化している男。
── いくども監禁されてきたのだろう。鉄格子を破壊しているつもりなのだ。
(6/14)
「確かに住んでいた場所」が、「知識の中の場所」へと移る。
雪国に住んでいた男は、今は暖かな街の中に住み、「雪は冷たい」と頭の中で考える。
── 男の前に雪がなくても。(6/3)
嵐の後にやってくる静けさは、嵐の後でしかありえない静けさとなる。(6/17)
人生が成功だったか失敗だったか、死ぬ寸前に決めるしかないだろう。
それなら、その人間にとっての「成功、失敗」を最後に確認するのは、別の人間になる。
── 当の本人にとってどうでも良いものになったときに、結論は出る。(6/9)
夏。乾いたアスファルトの路面には陽炎が揺らめいている。
噴水。砕け散った光という光が空間へと舞い上がり、その輝きは陽炎の中に溶け込んでゆき ── 陽炎は一層激しく燃え上がる。(6/20)
「私ね、チャイナドレスが好きなの」。
夜の向こう側に住む彼女は得られないもののために、そこにいる。
「ここがね、私の居場所なのよ」。
── 明るく乾いた浜辺もあれば、霧の出たあたたかく静かな夜の街頭もある。
(6/20)
久しぶりの雨。高い気温も、冷えた風に押さえ込まれていく。(6/21)
僕の角膜を通して見た風景。目に留まるものが僕の居場所を示す。── 豊かで冷たく、透明な水の流れも、墓地の高い木々のざわめきも、僕の居場所を示す。
(6/21)
