かつて、イングリッシュガーデンに憧れて


庭付きのマンションを購入したことがある。




《心に響く美しいものを集めて♪》



といって、都心のマンションの庭だから、


所詮笑われそうなほど小さな空間。





それでも何十種類だかの薔薇や


季節の草花やさまざまなハーブを育てていた。





トレリスを置きガーデンセットを配し


地植えのほかに、バレルやテラコッタの鉢にも苗を。




《心に響く美しいものを集めて♪》



そうやって丹精した庭だったけれど、


何年かして引っ越すことになり・・・。





次の人は薔薇が邪魔だと・・・


美意識の違いはいかんともしがたい。





そこに住む人間の自由とはいえ


ただ満艦飾の洗濯物を干すためだけの


庭に成り果てたのを見て





悔しい思いが込み上げ、住人の


美的センスの欠如と何かにつけての無粋さに





腹が立ってならず、また感傷とは知りつつ、


薔薇が可哀想でならなかった。






《心に響く美しいものを集めて♪》





この物語の人間関係は、実に複雑なのだ。


しかし、説明するのはやめておく。





花をこころから愛せない人間・・・残念なひと。






生きて咲いている花を引き抜くことができるとは


信じがたい。


ハーブが枯れてゆくさまを見てなんとも思わないのか?





こういうやからは、おそらく飼い犬や猫をも、


何か自分にとって不都合があれば


平気で棄ててしまうにちがいない。




《心に響く美しいものを集めて♪》



無機質な物置きや趣味の悪いジャージを干す


場所のほうを優先する輩、







生活するには「そうするしか仕方ないんだ」と


それはカシコイやりかたね!




《心に響く美しいものを集めて♪》



美しい庭を永く残したいと思う人間って


少ないんだろうか?!